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第三話 7 さよなら宇宙犬
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広い廊下の脇にある扉を開ければ、そこはほどよく薄暗い寝室、ベッドは大きく、シーツは清潔でふわふわとやわらかいのも、こういうときばかりは都合がよくできているらしい。
美晴は恥ずかしがるようにベッドの陰でカーディガンを脱ぎ、白いワンピースに手をかけたが、途中でくすりと笑って、
「ここへくるまでいろいろあったのに、いまさら照れても仕方ないですよね」
「まあ、あれは状況が特殊だったし――」
この状況も充分に特殊だが、ともかく美晴はワンピースをぐいと脱いで、白い下着の上下、下半身はいまだ黒いストッキングに潜んで妖しい。
乱れた髪を、何度か頭を振って直し、ベッドの端、ちょこんと腰掛け、ストッキングをゆっくり脱いでいくその足先を、創はぼんやりと眺めていた。
美晴はストッキングを太ももあたりまで下げ、片足を抜いたところで創を振り返り、
「一ノ瀬先生も、脱いでください――わたしだけ脱いでるのは恥ずかしいです」
「あ、ああ、そうか、忘れてたよ」
慌ててパーカーを脱ぐ創をくすくすと笑う余裕が美晴にはあるらしく、ストッキングを脱ぎ去ると丁寧に折りたたみ、ちらと創を窺いながら背中に手を回せば、ブラジャーのホックがぱちんと外れ。
肩紐が滑り落ちる美晴の白い腕、外したブラジャーを傍らに置いて、腕で胸を隠すが、
「あ、あの、先生――こういうときって、全部脱いだほうがいいんでしょうか? わ、わたし、こういう経験ってぜんぜんないから――」
「どっちでもいいんじゃないかな。恥ずかしかったら、着たままでも平気だし」
「じゃ、じゃあ、下だけは穿いたままで」
とベッドに上がった美晴は、両足を崩して座り、ぺたんと尻をつけて、子どもじみている。
創もシャツとズボンはとりあえず脱いで、トランクス一枚という格好、ベッドに上がればぎしと軋んで、美晴はわずかに緊張した面持ちで。
「先生――」
美晴の肩に手を置いた創を、美晴はじっと見上げて、ゆっくり目を閉じれば、ふたりの唇が重なり合う。
「んん――」
薔薇のつぼみのような美晴の唇、ぐっと緊張したように結ばれているが、創の唇が離れるころにはそれを追うようにほぐれている。
見つめ合う視線が触れ合って、再び唇を重ねれば、美晴のほうからゆっくりと求めて、むにとやわらかく触れ合う。
美晴は胸を隠していた手を離し、それで創の腕にちょっと触れて。
創の舌がいたずらっぽく美晴の唇を舐めれば、美晴の身体がぴくんと驚いて、おずおずと舌が出迎える。
「ん、ん――」
熱い舌先が触れ合い、突き合って、舌先が重なり、すこし離れたかと思えば美晴の唇が開いて、創の舌を受け入れる。
美晴の口内で二本の舌が絡まれば、美晴の舌のほうが熱く、だ液が絡んで、ねっとりと糸を引く。
細かく首の角度を変える創に、美晴はほとんど受け入れる一方、創の手が美晴の細い腕を撫でて大きく張り出した乳房に触れても、美晴の身体は硬直したように動かなかった。
「大丈夫、できるだけやさしくするから」
創がぽつりとつぶやき、後頭部から首のあたりをゆっくり撫でると、ようやく安堵したような。
美晴の肩から力が抜け、乳房を撫でればぴくんと跳ねる、じっとりと汗ばんだ肌は創の手に張りついて、乳房のふくらみが指先に引っかかってぐぐとゆがむ。
「あっ――んぅ――」
創はやさしく乳房を撫でながら、美晴をベッドに寝かせた。
仰向けになって、美晴はいじらしく創から目を逸らさず、創は寝てもすこしも垂れず、横に流れることもなく、つんと上を向いて盛り上がった乳房に見とれる。
あんまり見つめるので、美晴が恥ずかしげに胸を隠すほど、そうやって隠して揺れたりゆがんだりするのもまた扇情的で。
「何度か見てるけど、ほんとにきれいな胸だな――」
「ん……先生、目がえっちです」
「そ、そうかな?」
「でも、平気です――きっとわたしも、えっちな顔してると思いますから」
「大丈夫、かわいい顔だよ」
と創が気取って口づけをすれば、美晴もちいさく笑って、その唇で口づけを返した。
創は美晴に覆い被さり、唇を重ね、舌を絡ませながら乳房に手を添えた。
すこし指に力を込めるだけでぐにとゆがみ、指を飲み込んで、また、たぷんたぷんと波打つ。
とても手には収まりきらない大きさの、それでいながら乳輪と乳首はほんの豆粒ほど、それも白い肌と変わらない色。
「んっ――はあ――」
ゆさゆさと乳房を揺らし、あるいはゆったりと掴み、揉んで、先端ですでに硬くなっている乳首を指で撫でる。
美晴は柳眉をゆがめ、シーツをきゅっと握り締めて膝を立てた。
創はそのままするすると身体を下ろし、鎖骨や胸元に口づけを繰り返しながら乳房まで降りていって、ちいさな乳首にもちゅっと軽い口づけ、それで美晴の身体がぴくんと跳ねれば、本格的にしゃぶりつく。
「あっ、んんっ――せ、先生――」
ちいさな乳首を舌先で突き、すこし強めに揉むと、背中がぐっと反り上がって乳房にたぷんと大きな波紋。
美晴は自分の指を甘く噛み、頭を振り振り、前髪が揺れて乱れる。
美晴の乳房は、大きさも相当のものだが、弾力や形の点でも申し分なく、雪見大福のようにむっちりと膨らんでいるのは眺めているだけでも腰のあたりが鈍くうずく。
創は美晴の乳房の両側に手をやり、たぷんたぷんと目の前で揺らして遊び、美晴は困ったような、なんとなくおかしいような顔で。
しかし創がちいさな乳首をきゅっと摘み上げると敏感に身体を震わせ、全身にじっとりと汗をかいてゆく。
それも気にせず創は美晴の身体に口づけを繰り返し、徐々に胸から下へ、へそのあたりから下腹部へと降りていって、清潔な、乱れのない白い下着、ウエスト部分から前面にかけてレースがあしらわれたものに行き着けば、美晴が恥ずかしげに身体を揺らした。
創はすこし顔を上げて、
「脱がしてもいい?」
「ん――恥ずかしいですけど、先生なら」
赤い頬を両手で隠せば、また腕で胸がぐいと寄せられて扇情的だが。
創は、美晴が腰を上げたところ、パンツをするりと抜き取って、それをベッドのそばへ置いた。
見下ろせば、白い肌にうっすらと生えた恥毛、本数も数えられそうなのが多少散らばり気味に。
創は汗ばんだ太ももに手をやり、すこし開かせれば、ほとんど色づいていない一本筋、ぴたりと閉じているが、むっとするような熱気と湿気が立ち込める。
「や――やっぱり恥ずかしいですっ」
と美晴は股間を手で隠し、身体を起こして、
「せ、先生も、脱いでください。順番です」
「じゅ、順番かなあ」
言いつつ、創は身体を起こして、トランクスをぐいと下げる、そのゴムのウエストに引っかかった陰茎が外れると、ばね仕掛けのようにびんと飛び出して、美晴はちいさく声を上げた。
「すごい――やっぱり、おっきいんですね……」
美晴は身体も前のめりで創の勃起したペニスに見入り、ちらと創の顔を仰ぎ見、
「触っても平気ですか?」
「あ、ああ、そりゃ大丈夫だけど」
「じゃあ、失礼しますね――」
恐る恐るという様子で美晴はペニスに手を伸ばし、陰茎をきゅっと握れば、硬いのと熱いの、そしてびくんと跳ねるのに驚いたらしい、ぐっと目を見開いて。
しかしどのように刺激すればよいのかというのは知っているらしく、陰茎を握った手を前後に動かしてしごけば、赤い亀頭がぐっと張り出して、美晴の鼻先数センチ、びくんびくんと跳ね回る。
美晴はうっとりとペニスを眺め、しごく手つきはゆっくりで。
手首を返しながらぐいと根元あたりまで、そこから先端近くまで手を戻し、亀頭が包皮に隠れるのを見つめては熱い吐息、それが尿道口あたりに降りかかり。
「ここ、こんなふうにつるつるなんですね。ここへくる途中もちょっとだけ見ましたけど、モザイクがないのをこんなにはっきり見るのってはじめてで……」
「まあ、普通はそうだと思うけど――ん、モザイク?」
「な、なんでもないですっ」
慌てたように美晴は手の動きを速めて。
創の腰がぐいと突き出されれば、ちょっと手を止め、
「すみません、痛かったですか?」
「い、いや、その、気持ちよかっただけだよ。続けて」
「はい――わあ、すごい――」
がちがちに勃起したペニスの、ふくらんだ亀頭を指の腹で撫で撫で。
あるいはペニスの下にもぐりこみ、裏筋や亀頭の裏側をじっくりと眺め、そこをいたずらっぽくくすぐって創が感じるのを楽しそうに見ている。
その顔がすこしずつペニスに近づいて、ちらと創を見上げたのも一瞬、尿道口あたりに唇の先が触れる。
「んっ――」
と鼻にかかった声を漏らしたのは美晴で、そのまま亀頭の先端に口づけを。
一瞬離れて様子を窺うように創を見上げるが、そのままなにも言わないので、美晴はもう一度すすと顔を寄せ、今度は舌先で先端をくすぐった。
尿道口からぷっくりと溢れてきた透明な先走り液も舐め取れば、もはやためらうことはなにもなく、ぎこちない仕草ながら美晴は大口を開けてペニスを喉の奥まで咥え込んだ。
上品な、お嬢さま然とした美晴が眉をひそめてペニスを頬張っている様子は淫猥以外の何者でもなく、そのままゆっくりと頭を前後させれば、もはや清楚な面影はどこにもない。
「ん、んっ、んっ――」
頬をすぼめ、太い陰茎を唇でしごく美晴に創も低くうなって、がまんならないというように腰を引けば、口とペニスのあいだにつつとだ液の糸で。
美晴はどこか呆然とした目で創を見上げ、これからの予感にちいさく身体を震わせる。
「その、前に先生とえっちしたとき――そのときはハルミさんでしたけど、そのときがはじめてだったから、もう大丈夫だとは思うんですけど」
「わかってるよ、できるだけやさしくする……っていっても、ぼくもそんなに経験豊富ってわけでもないんだけど」
美晴はベッドに寝て、その足のあいだ、太ももあたりに創が座り、ペニスの先端をヴァギナに押し当てれば、ねちゃりと音を立てる、美晴はかっと赤くなって顔を隠すが、身体の反応ばかりは隠しようがない。
「あっ、あっ――」
創がゆっくり熱い膣にペニスを沈めると、美晴は身体をぞくぞくと震わせ、腰が波打つ。
美晴の膣はごく狭く、ペニスを入れるだけで強く締め付けてくるいくつものヒダ、ぬらぬらと濡れて熱い。
奥までペニスを沈めると、腰がとんと当たり、美晴の身体が揺れた。
仰向けで、両足を開いて上げるような格好、正常位で、美晴はいまにも落涙しそうな目で創を見上げる。
「大丈夫? 痛かったらすぐに言ってくれよ」
「痛いのは、大丈夫です――でも、なんか、じんじんして――んっ――じれったいんです、せんせい……」
こくんとうなずいた創、一度腰を引けば、さっそく愛液に濡れたペニスがずるずると出てきて、そこに白濁としたものも絡みついて。
ゆっくりとした腰使い、ベッドの軋みも緩やかで、美晴の身体が前後に揺れれば、乳房も自由自在にたぷんたぷんと波打つ。
「あっ、んんっ――はあっ――す、すごい、おちんちんってこんなに気持ちいいんですね――あっ、あんっ」
薄い唇を噛んで喘ぐ美晴の、細い腰を掴んで腰を振る創、
「じゃあ、おちんちん以外は経験あるってことだ」
「い、以外っていうか――んっ、そ、その、じ、自分の指とか――」
美晴は頭を左右に振って照れるが、創は腰を止めて、
「矢筈さんも、オナニーしたりするのか」
と心の底から驚いたような声で。
美晴は愛らしく怨ずる視線を創に、
「せ、先生は意地悪ですっ」
「普段から、ひとりでオナニーしてるの? そんなふうには見えないけどな――」
「も、もう、あんまりしません――だって、これからは先生とえっちなこと、できるんですもんね?」
「え、あ、う、ううむ……」
と逆襲を食らって、創は困った顔、それをごまかすには腰を振るしかない。
「あっ、んぅ――」
深く美晴の若い膣を貫き、その奥でペニスをびくんと跳ねさせれば、美晴の身体もまたのけ反る。
創が見下ろせば、美晴のヴァギナはしっかりペニスを咥え込み、白っぽく見えるクリトリスも目立って、だ液で塗らした指でやさしく触れれば、美晴の反応も著しい。
「先生、そこっ、だめです――あっ、ああんっ――」
「うう、すごいよ――ここ触ったら、なかがぎゅっと締まる」
「あっ、はあっ、んんっ――き、気持ちよすぎて、おかしくなっちゃいます――せ、せんせい、せんせいっ」
創はクリトリスを指の腹で撫でながらずんずんとペニスで貫き、前後左右へ激しく波打つ乳房を眺めた。
耳朶には子どものような美晴の甲高い嬌声、ペニスを強く締めつける膣の感触に、目には魅力的な乳房が揺れて、美晴は創の腕をぎゅっと握った。
「あっ、んんっ――せ、せんせい、わたし、頭が真っ白になっちゃいそうです――」
「ん、ぼくもそろそろ――」
ここまでの度重なる興奮で、創も余裕がない、腰の動きを速めれば美晴の声はさらに甲高く、かわいらしく響いて、乳房は取れてしまいそうなほどに揺れて波打ち。
「あっ、ああっ、んんっ、あんっ――せ、せんせい、わたしもう――はあっ、あっ、ああっ!」
ぐっと目を閉じて身体を丸めた瞬間、美晴の膣がぎゅっと締まって、創は慌てて腰を抜くと、愛液が絡みついたペニスをしごいた。
びゅっと飛び出した精液は美晴の乳房から腹へ飛び散り、染みひとつないきめ細かな肌を汚していって、最後には亀頭からぼとぼとと流れ落ちたのが薄い陰毛の上に溜まりを作る。
美晴はペニスを抜いたあとも両足を開いてわずかに掲げた体勢のまま、びくんびくんと何度も痙攣、ようやく落ち着くと、今度はぐったり四肢を伸ばして腕を上げる力もないというふうで。
全身がじっとりと汗ばみ、細い髪が額や頬に張りついているのも妖艶だが、創が指先でさっと払ってやると、美晴はその手をきゅっと握り口元に、指に唇を押し当ててなにをするのかと思えば、そのまま両手で握り締めてうずくまり、くうくうと寝息を立てはじめる。
創は驚くやら呆れるやら、声もなく苦笑いして、裸の身体にシーツをかけてやる。
「――宇宙犬は、どうなった?」
と宙に問えば、すぐ返答、曰く、
「うまく体外へ追い出すことができた。これから地球へ及ぼす影響を説明し、ここからの退去を求めるつもりだ」
「ってことは、そのへんにいるのか、宇宙犬は」
創はあたりをきょろきょろ、無論いかなる光も反射しない思念体が網膜に捉えられるはずもないが。
「いったいどんな形なんだろうなあ、宇宙犬って。これだけの騒動を起こした発端だし、ちょっとくらいは見てみたいな」
「思念体において見目形というものはおおよそ無意味だ。識別に必要なのは姿形ではなく思念そのものなのだから」
「まあ、そうなんだけど――でも犬っていうくらいなんだから、犬っぽいんだろ?」
「犬というのは単なる比喩にすぎぬ。それを地球の言語に翻訳すれば、宇宙犬、となるだけなのだ」
「宇宙犬、か――そういうわけがわかんないやつが宇宙にはいっぱいいるんだろうな。宇宙刑事もよっぽどわけわかんないけど」
「――宇宙犬との交渉が成立した。宇宙犬はすぐにこの時空間から離脱する」
「へえ――」
と他人事のように呟いた創、次の瞬間、眠っていたベッドがぱっと消え、あたりの風景も消しゴムでなぞったようにさらさらと失われて、気づけばちいさな児童公園のベンチ、ちゃんと服を着て、創と美晴は並んでいた。
創はめまぐるしく変化する現実に目をしばたたかせ、美晴は創の肩に頭を預け、両手でしっかりと手を握り締めたまま、変わらずぐうぐう。
空は変わらず晴れ渡り、児童公園に植わったクヌギが風に揺れれば、ざらざらと心が静まる葉擦れの囁き。
そこに子どもがひとり、とことこと近づいてきて、まんまるな目で創を見上げながら、
「おじさんとおねえさん、恋人なの?」
「お、おじさん?」
「こら、健一、戻ってきなさい」
と若い母親、砂場のなかで手招きするのに、子どもはちょっと振り返ったが、あくまで創の返答を待つ覚悟。
創は眠っている美晴の、やわらかな産毛の生えた頬を風が撫でていくのを見て、子どもに目をやってから、
「恋人とはすこしちがうかな。友だちだよ」
「ふうん……」
子どもは黒い瞳いっぱいに好奇心を浮かべていたが、心変わりが早いのも特権で、くるりと踵を返したころにはもう振り返りもしない。
苦笑いの創は子どもを見送って、あとには風もなく。
幻のような現実が荒れ狂い、過ぎ去ったいま、残ったものは記憶だけで。
創は、美晴が目覚めるまで、その場でじっと待った。
やがて目を覚ました美晴は、肩に頭を預けて眠っていたことを恥ずかしがって、顔を真っ赤にしていたけれども。
了
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