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第三話 4 変質の町
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宇宙犬というふざけた名前の、それも目には見えぬというものを探して彷徨い歩くことの徒労といったら。
しかし創にも美晴にも、そんなことを気にする余裕はすこしもないのが現状である。
なぜといって、ふたりが繰り出した町は奇妙に変質し、道行くひとは老若男女すべて裸であり、それを恥ずかしいとも思っていないから、ごく当たり前に歩いているが、創と美晴だけはそれが尋常でないことに気づいている。
それがとにかく、刺激だらけの町なのだ。
裸でいるのはおかしいとわかっていながらそうしているしかないという恥ずかしさもさることながら。
たとえば下着屋を出て歩き出せば、五メートルほど先を行くのは髪を脱色し、肌を焼いた若い女のふたり連れ。
化粧も派手で、創よりも年下らしいのは間違いないが、普段ならなんとなく気後れしてしまうような相手も、いまではその服を脱ぎ去って全裸のまま創の前を歩いているのだ。
日焼け痕のない、ちいさな引き締まった茶色い尻が、右へ左へ、踵を鳴らすように歩けば、ぶるんぶるんと揺れている。
その若い尻にふらふらとついていけば、すれ違うのもまた若い女で、白い肌にちいさな乳房、乳輪がすこし大きめなのが生々しく、歩き去るのを目で追って、肉付きのいい尻が波打つのをつい見てしまう。
いかんいかんと頭を振り振り、となりを見れば、そこには極上の裸体、すなわち美晴が立っているから、創としては気の休まるときがない。
美晴も似たようなもので、視界に飛び込んでくる肌色には終始どぎまぎし、うつむけば創のいきり立った逸物が。
怒張して上を向き、尿道口を晒したのを視界の端に収めて、美晴はごくりと唾を飲む。
「見つかったか」
と創が宇宙刑事に問えば、宇宙刑事はすぐさま、
「気配は近いが、このあたりに姿はないな。もうすこし先へ行こう」
「そろそろアーケードも終わりだな」
創と美晴は適度な距離感を保って歩き、どちらも落ち着かない顔だが、この騒がしい町ではそれを気に留める人間もいない。
わずかに暗いアーケードの下、左右に店が立ち並ぶ通りを、全裸の人間たちが行き交う。
なぜか靴と鞄はそのままなのも奇妙である。
創はきょろきょろとあたりを見回し、たとえば前述の、すぐ前を歩く日焼けした若い女ふたりの引き締まった尻だとか、向かって左側の雑貨屋の店先、飾られた南国風のネックレスを手に取る若い女の、真っ白で大きめの肉感的な尻だとか、あちこちに視線を奪われては鼻の下を伸ばしている。
無論、若い女以外もすべて裸だが、創の詩解には興味ある若い女しか映らないらしい、どういう構造になっているのか知らないが。
前方から歩いてくる女は、黒髪を男のように短く切った、凛とした風貌。
しかし平均よりも大きいと思われる白い乳房もむき出しで、身体つきはいかにも女性らしく、股間を覆う恥毛も濃い。
その奥から歩いてくる女学生らしい年ごろの女もまた当然に裸で、小ぶりの乳房に、くびれのない腰、太もももむちむちと張り詰めて、股間はといえば体質なのかなんなのか、あるはずの恥毛がなく、代わりにうっすらと色づいた恥丘と、割れ目の上部がかすかに見える。
そのとなりを歩いているのもまた同じ年ごろの女で。
運動部でもやっているのか、手足は日焼けし、胴体は白く、乳房はうっすらと膨らんでいる程度、乳輪はすこし大きくピンク色で、まだすこし硬そうな印象さえある。
むっちりとした下半身には、ほんの薄く恥毛が浮いて。
すれ違い、振り返れば、ふたつの若い尻。
創は腰のあたりに抑えきれない興奮を覚えながら、しかしなにをどうするわけにもいかず、周囲のあらゆるものに目を奪われながらもアーケードを進んだ。
そのとなり、美晴がちらとアーケードの終わりに目をやると、そこには花屋があって、店前に茶色い巻き髪の、いかにも花が似合いそうな若い女性店員が座って花の手入れをしていた。
その白い背中にどきりとしたものの、身体のほかの部分は見えていないし、と安堵した矢先、その店員が立ち上がって、足元のちいさな植木鉢をとるためにひょいと腰を屈めれば、安産型の白い尻、つい掴みたくなりそうなのがぐいと突き出されて、そのあいだから黒い茂みがちらちら。
真後ろを通り過ぎれば、尻の谷間から薄茶色のヴァギナのひださえ見えるほど。
美晴は若干の内股で、歩幅もちいさく歩く。
アーケードを抜けた先には大きな交差点になっていて、信号を渡ればまた駅があり、宮町のアーケードは一駅のあいだを繋いでいた。
ふたりはそこから人通りを避け、高架をくぐってごみごみと入り組んだ町へ入ってゆく。
指針となるものはなにもないが、ともかく宇宙犬から遠ざかってはいないらしい、ハルミも宇宙刑事も口をつぐんだままで。
創はちらと美晴を見て、美晴のほうでもうつむいたままちらちらと創を窺っているが、お互いにかける言葉がない。
しかし無言というのも気詰まりで、あたりは休日のビル群、居酒屋の看板もさみしげで、人通りがないのを確認しながら、
「宇宙犬の影響って、どれくらいまで広がってるんだ。まさか地球全体がこんなふうになってるわけじゃないんだろ?」
「宇宙犬の影響を受ける範囲は、宇宙犬の思念場の広がりと同等だ。距離でいうなら、半径数キロというところか」
「ふうん――その外は、影響を受けてないわけか。だったら、思念場の内側から外側へ出たときはどうなるんだ。自分が全裸だってことに唐突に気づくのか?」
「いや、その場合は宇宙犬の特殊な思念場の影響を逃れ、服ももと通りになる。いってみれば、本来そこにあるべき思念場に戻る、ということだ」
「じゃあ、宇宙犬が人間たちのあいだで騒動になることはないんだな。みんな、影響下にあっても影響を脱しても、そのことに気づかない」
「そういうことになる。われわれのような、特殊な場合を除いては」
「なるほどなあ」
とうなずいた創、晴れ渡った青空をちらと見上げ、車の通りもほとんどない静かな町にしばし騒動を忘れるが、歩道を前方から歩いてくる若いカップルが裸であることに気づく。
どちらも派手な若いカップルだが、女のほうは金髪を腰のあたりまで伸ばして、仲良く手なんぞつないでいるものの、ちいさな乳房や比較的濃い恥毛は創にも見えている。
「そういえば、宇宙犬はどれくらいの現象を起こせるんだ?」
創はまだすこし遠いカップルのほうをぼんやり眺めながら、
「量子の状態を変えるっていうのも、いまいちぴんとこないけど」
「基本的にはなんでもできる。量子の組み換えが可能なら、あらゆる物質を作ることができるのだ。それに、宇宙犬の影響は三次元空間だけではない。時間にも影響を与えるから、たとえば昨日や明日というものを変えることも可能であり、また思念場を通じて思念へ直接働きかけ、自我境界の弱いものであれば境界を侵食して物質同様変質させることが可能である。地球人の自我境界は総じて弱いものであるから、原則としてなんでも可能だ」
「たとえば――そうだなあ」
とカップルとすれ違い、それをちらと振り返って、創はぎょっと立ち止まった。
先ほどまで手をつないで歩いていたのが、すれ違ったすぐ後ろ、女のほうがその場に跪いて、むき出しになった萎えた男のペニスを頬張っているのである。
片手を男の太ももに、もう片手でペニスを支えて、ちいさくやわらかい陰茎を口に含み、唇ではむはむと挟み込む。
女のほうも、両足をぐいと左右に開くように屈んでいるから、足の付け根の濃い恥毛の奥、茶色く色づいたヴァギナと、そこからびらびらとはみ出すひだがはっきりと見えていた。
もぐもぐと動く口、往来で口淫をはじめるのも、男のほうはそれが当然というように女の頭に手を置いている。
車道を過ぎていく車もなんらそちらには目を止めず、だれひとり、その痴態に違和感を持っていないらしいのだ。
それもこれも、創がそんな妄想をしたせいで、それが宇宙犬の影響を受けて周囲に伝播したにちがいない。
見とれたのは一瞬で、創ははっと気づいて、
「や、矢筈さん、あっちを見ちゃ――」
生徒にこんなものを見せられるか、と振り返った創、しかし肝心の美晴は、すでにうっとりした顔で、創の前に跪いている。
カップルの女のように、大股開きで座るようなことはせず、アスファルトに両膝揃え、美晴は創の太ももに手を置いて、上目遣いでちらり。
「ちょ、ちょっと待って、矢筈さん、これは――な、なんで矢筈さんにまで影響してるんだ。矢筈さんは大丈夫なんじゃないのか?」
「おそらく、われわれの関係とちがい、半分地球人の思念体、もう半分が宇宙刑事になっている分、自我境界が弱いのだろう。普通の地球人に比べれば強いが、きみから出た思念波が彼女の自我境界を破ったにちがいない」
「ど、どうすりゃいいのさ、そんなの――あっ」
と声を上げたのは、すでに勃起している創のペニスを、美晴がなんのためらいもなくぱくりと咥えたせい。
いかにもお嬢さま然とした美晴は、流れる髪を耳に引っ掛け、上目遣いで創を見つめながら、太く硬く勃起したペニスをぎゅっと握って、亀頭を口いっぱいに頬張る。
「んっ、んん――」
「ちょ、ちょっと、矢筈さん――」
創はガードレールにもたれて、美晴はその前に膝立ちで。
剥けた包皮をずるずるとしごき、熱いだ液と舌を亀頭に絡ませ、うっとりと目を細める美晴、一度口を離し、首を傾けながら亀頭の裏側を舌先でちろちろ、
「せんせい、気持ちいいですか?」
と舌足らずに訊く。
両腕のあいだ、ぎゅっと寄せられた胸の谷間も深く、やわらかそうにぐにぐにと変形して、創の視線を奪う。
美晴は三日月のような目でペニスを下腹部に押さえつけ、裏筋をつつと舐めて、尿道口を舌先でちろちろとくすぐった。
なぜかずいぶんと手慣れた様子、ろくに男と会話したことすらないが、「勉強」は熱心な美晴である。
創が快感にうめくのに、美晴はうれしそうに笑って、その唇で再び亀頭を咥え、はむはむとカリ首あたりをしごく。
すぐ後方で車が行き来する、人通りもないわけではない野外でのことである。
すこし離れたところではカップルが、すでに口淫をやめて、女がガードレールに手を突き、男が後ろから覆いかぶさって、女の身体をがんがんと突き立てている。
その嬌声が響くなかで、美晴は顔を上げ、上半身をすこし持ち上げた。
「せんせい、おっぱいでしてあげますね」
創のペニスを手で押さえ、そこに大きな乳房を押しつける。
ふわりとやわらかく温かいのがペニスを包み込み、谷間から亀頭の先端がひょっこりと顔を出す。
半ば熱いような乳房にはさまれてびくんびくんと暴れるペニス、美晴はぐっとあごを引いてうつむき、舌を伸ばしたかと思えば、そこからつつとだ液が流れ落ち、ペニスにぽとりと落ちたあと、陰茎と乳房の谷間を濡らしていく。
そうして滑りをよくしてから、美晴は創を見上げ、身体全体を上下に揺らした。
「うっ、うう――」
両手で強く寄せられた乳房、その白い肉を、ペニスが出たり入ったり。
亀頭が乳房を割って、ぬっと現れ、引っ込むときには陰茎がしごかれて、得も言われぬ快感に、創は思わず腰を突き出した。
美晴は髪をぱっと払って背中へ流し、胸をぐいと突き出して、創のペニスを谷間にこすりつける、そうするとちいさな薄紅色の乳首が創の腰にこすれるらしく、美晴もぴくぴくと身体を震わせる。
徐々に乳首が勃起して、こりこりと硬くなるのが創にもわかり、それがまた興奮となって。
そもそも創はここまで歩いてくるあいだに散々興奮していて、もはや抑えが利くわけもなく。
「や、矢筈さん、もっと早く――」
「ん――こ、こうですか、先生」
背中を反らして、美晴はさらに早く身体を上下に動かした。
ずりずりと擦れる陰茎と乳房、そこがほんのりと赤くなり、うつむいた美晴はさらにだ液を垂らしてすべりをよくしながら、ぬっと顔を出した亀頭の先端をちろちろとくすぐる。
やわらかく潰された乳房、美晴の外見に似合わぬ積極性に、創はびくりと腰を震わせて、あっという間に絶頂する。
「あっ、あんっ――」
乳房の谷間からわずかに顔を出した亀頭から、びゅっと白濁とした液体が飛び出す。
それが美晴の顔にさっと飛び、赤くなった頬を濡らして、あごからぽとり、零れ落ちるのは谷間で、そこにはすっかり精液が水溜りを作っている。
一部は可憐な唇に、つつと滴る途中で、赤い舌がぺろりと拭い取って、口のなかに運ぶ。
ぽっと熱くなった晴海はそのまま乳房でペニスを挟み込み、しばらく呆然としていたが、なんの拍子かふとわれに返ったらしく、
「わっ、わっ――わ、わたし、あ、あの」
寄せていた乳房を離せばぷるんと揺れて、溜まっていた精液が谷間を伝って腹のほうへと流れてゆく。
創は慌ててティッシュを差し出そうとして、そもそもズボンを穿いていない、ティッシュなんぞあるわけもない、ただ自分の尻を探るのみで。
幸い、美晴の鞄は消えていなかったから、そこに入れていたティッシュで身体を拭い取って、美晴はそばをちらり。
ふたりから十メートルほど離れたところで、若いカップルが抱き合って、熱烈な口づけを交わしながら腰を振っている。
女のほうは片足を上げて、その接合口が創と美晴からははっきりと見える。
浅黒い陰茎を咥え込むヴァギナもまた色づいて、しかし内側は鮮やかなピンク色、ずんずんと出入りして、男の睾丸が揺れた。
「す、すごいですね――」
美晴は赤い顔、精液をぬぐって丸めたティッシュをなぜか口元に持って。
「と、とにかく、早く宇宙犬を探し出さなきゃ」
アーケードを歩いていたときから、ようやく萎えはじめた創のペニス、それをぶら下げ、創は踵を返した。
美晴もとことこと追うが、その白い太ももの内側をつつと伝うのは、どうやら汗ではないらしい。
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