マイナンバー制度:法施行で通知カード発送作業スタート

毎日新聞 2015年10月05日 10時45分(最終更新 10月05日 12時06分)

マイナンバー制度が始動し、首相官邸で開かれた関係省庁の担当者会議=共同
マイナンバー制度が始動し、首相官邸で開かれた関係省庁の担当者会議=共同
マイナンバー制度の「通知カード」の見本=共同
マイナンバー制度の「通知カード」の見本=共同

 国民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度が5日、本格始動した。制度を定めたマイナンバー法が同日施行され、12桁の個人番号が確定、番号の「通知カード」を簡易書留で発送する作業が始まった。対象の世帯は約5500万と膨大で、政府によると10月20日ごろから11月末にかけて順次届く見込みだ。番号は来年1月から税や社会保障などの行政事務の効率化に活用される。

 一方、国民への監視強化や、個人情報流出を懸念する声は根強い。政府には情報管理体制の強化と、慎重な制度運用が求められている。

 自治体や企業の準備作業の遅れや、国民の認知度の低さも指摘されている。政府は5日、関係省庁の担当者会議を開き、周知活動の徹底を確認。

 出席した世耕弘成官房副長官は「まだ十分に理解されていない。丁寧な広報活動をお願いしたい」と関係省庁に呼び掛けた。

 マイナンバー法は2013年に成立した。国や自治体が持つ税と社会保障、災害関連の個人情報を番号で結び付けて管理し、脱税や生活保護の不正受給を防ぐ狙いがある。国民も行政手続きが簡単になる。

 18年からは預金口座にもマイナンバーが付く。当初は利用者の了承が必要だが、政府は義務化も検討している。国民の資産状況を把握して徴税を強化する方針だ。

 企業は従業員とアルバイトやパート、扶養家族も含めて番号を収集・管理し、来年以降、源泉徴収票などに記載する義務が生じる。

 通知カードは番号を知らせるための仮カードで、希望者が市区町村に申請すれば、来年1月以降、顔写真付きで身分証明書になる「個人番号カード」が無料交付される。政府は、個人番号カードを健康保険証として使えるようにするなど利用範囲の拡大も目指す。

 ただ、年金情報の大量流出問題で、国の情報管理の甘さが露呈した。番号と結び付いた個人情報の流出を不安視する声は多い。日弁連や消費者団体は、個人に対する国の監視が強まり、プライバシーを侵害する恐れがあると指摘している。(共同)

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