2015年10月5日(月)

モンスターペアレントの「口のきき方」何がアウトなのか?

親技のカガク【12】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
松尾 英明 まつお・ひであき
千葉大学教育学部附属小学校教諭

1979年宮崎県生まれの神奈川県育ち。千葉県の教員14年目で、現在は千葉大学教育学部附属小学校で体育指導の研究をしている。「教育を、志事にする」という言葉を信条に、自身が志を持って教育の仕事を行うと同時に、志を持った子どもを育てることを教育の基本方針としている。野口芳宏氏の「木更津技法研」で国語、道徳教育について学ぶ他、原田隆史氏の「東京教師塾」で目標設定や理想の学級作りの手法についても学ぶ。著書に『やる気スイッチ押してみよう!元気で前向き、頑張るクラス作り』(明治図書 共著:http://www.meijitosho.co.jp/detail/4-18-164614-1)がある他、体育の分野では雑誌『楽しい体育の授業』での連載、『準備運動指導のすべて てんこ盛り事典』『器械運動指導のすべて てんこ盛り事典」(いずれも根本正雄編 明治図書 部分執筆)、学級経営の分野では『クラスを最高の雰囲気にする!目的別学級ゲーム&ワーク50』『最高のチームを育てる学級目標 作成マニュアル&活用アイデア』『一人残らず笑顔にする学級開き 小学校~中学校の完全シナリオ』(いずれも赤坂真二編?明治図書?部分執筆)他多数。メルマガ「二十代で身に付けたい!教育観と仕事術」(http://www.mag2.com/events/mag2year/2014/free/sch.html)が「2014まぐまぐ大賞」教育部門大賞を受賞。ブログ「教師の寺子屋」(http://hide-m-hyde.blogspot.com/)も主宰。

千葉大学教育学部附属小学校教諭 松尾英明=文
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なぜ、正当な要求が「モンスター」に見えるのか?

1. 要求を出す親は即モンスターなのか?

モンスターペアレントという造語は、近年作られたある種のレッテルで、「学校に対し自己中心的かつ理不尽な要求をする親」を指すそうです。直訳すると「化け物親」でしょうか。いくら最近、妖怪ブームだからといって、こんなレッテルを貼られてうれしい親はいません。

確かに、無茶苦茶な要求をする親が世の中に存在することは事実かもしれません。

しかし、親がわが子のために要求や相談をするのは、当然の権利です。学校は、子どもの幸せのためにある機関だからです。

それなのに何か言うとすべて「モンスター」扱いされたら、親の側もたまりません。本当にごくまれに、無茶苦茶な要求をする人が存在するために、学校に要求をする親は即「モンスターの仲間」という誤認を、学校側だけでなく父兄側でもしかねない現状があります。

これは、ごく一部の教師のとんでもない不祥事が一つ報道されるだけで、「今の教師はろくでもない」と全体にレッテルを貼られ、一緒くたにされてしまう批判と同じ構造です。

まず親と学校、両者が安直なレッテル貼りをやめる大人な対応が健全な関係のスタートです。

2.なぜ、正当な要求が「モンスター」に見えるのか?

私個人としては、親を「モンスター」呼ばわりすることを好みませんが、一般的な用語となりつつあることを踏まえ、本稿では便宜的に「モンスター」の用語を使います。

では、親から学校への要求の事例を具体的に挙げてみます。みなさんならどう判断しますか? 「正当な要求」と思うなら○、「モンスターな要求」と思うなら×をつけながら読み進めてみてくだい。

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