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【政治】

PKO駆け付け警護 参考人「違憲の恐れ」

 安全保障関連法の成立を受け、政府はアフリカ・南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加している自衛隊の任務に「駆け付け警護」を加えようとしている。安保法のさまざまな問題点が鮮明になった通常国会で、駆け付け警護はどのように議論されたのか。十五週にわたる審議の要点を毎週掲載した「安保国会 論点進行表」から振り返る。 (金杉貴雄)

 「駆け付け警護」はPKO参加中の自衛隊が、武装集団に襲われている国連職員や他国部隊のいる離れた場所まで向かい、武器を使って助ける任務。安保法成立前のPKO協力法は武装集団が「国や国に準ずる組織」に当たる場合、憲法九条が禁じる海外での武力行使につながる可能性があるため認めていなかった。

 審議で、安倍晋三首相は六月に「非政府組織(NGO)の救出、他国のPKO部隊に対する駆け付け警護の任務が可能になる」と必要性を指摘。中谷元・防衛相は一九九四年、ザイール(現コンゴ)のゴマで日本のNGOから救援要請があったと答弁したが、九月に「個別のNGOから駆け付け警護の要望を確認したことはない」と述べた。

 野党側は「活動現場で武器を持った人が一緒にいるとかえって襲われる」と懸念するNGOの声を紹介。中谷氏は状況によっては懸念通りの事態も起こり得ると認めた。

 参考人として六月二十二日の衆院特別委員会に出席した宮崎礼壹(れいいち)・元内閣法制局長官は駆け付け警護について「停戦合意が崩れれば、憲法違反の武力行使に至る恐れが大きい」と批判した。

 首相は八月の審議で「PKO参加五原則が満たされているなどの要件が前提なら、国や国に準ずる組織が敵対するものとして登場しない」と、駆け付け警護で武器を使っても憲法違反にはならないと強調した。PKO参加五原則は(1)紛争当事者間で停戦合意が成立(2)受け入れ国を含む紛争当事者が同意(3)中立的立場の厳守−などを掲げている。

 審議では、PKOの任務や武器使用目的の拡大にはあまり時間が割かれなかった。駆け付け警護でも、実施の是非はどう判断するのか、隊員の安全は確保できるのか、装備や訓練はどうするのかといった問題は明らかにならなかった。

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