原油価格の下落による物価低迷
10月2日の米国雇用統計の下振れを受けて、一段と米国の金融政策に注目が集まっている。そうした中、欧州中央銀行(ECB)に対する量的緩和の拡充期待が高まる。
ユーロ圏が抱える最大の問題は景気の回復が不十分という点ではなく、物価が低迷していることだ。当面、ユーロ圏の物価は低位に推移するだろう。中国の景気は弱含んでおり、資源価格が短期のうちに反発するとは考えづらい。そのため、追加緩和に対する期待も高まりやすい。
この動きは、世界経済にとって思わぬリスクをもたらす可能性がある。市場関係者の中で中国経済への懸念が目立つ中、先進国の景気動向もしっかり検証する必要がある。
9月29日に発表されたドイツの消費者物価指数(CPI)は、9月単月で-0.2%、前年比でも0.0%となり物価上昇率の鈍化が明らかになった。イタリアなどでも物価は予想を下回っている。
そして、ユーロ圏のCPIも前年比で-0.1%。総じて物価は低下傾向にあると考えられ、ECBが2%前後の物価目標を達成できるかはより不確実だ。
そのため、ECBは、国債を買い入れて金利低下に働きかける"量的緩和策"をさらに拡充し、「市中に供給する資金量を積極策に増やすべき」との見方が強くなっている。これが、追加緩和期待の背景にあるロジックだ。
物価低迷の要因の一つには、原油価格の下落が影響していることは言うまでもない。原油以外の資源価格を見ても、中国の需要低迷が価格を押し下げている。当面、そうした動向が続くだろう。
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