<仙台いじめ自殺>父親「献花台見て心動いた」
いじめを苦に自殺した仙台市立中1年の男子生徒=当時(12)=の父親が河北新報社の電話取材に答え、在校生への公表に向け、一歩を踏み出すに至った胸の内を明かした。(聞き手は報道部・吉江圭介)
私(父親)は自殺直後のショック状態の中、「引っ越したことにしてください」と言ってしまった。息子の友達を動揺させたくなかったし、守るべき家族がいたからだ。加害者側の男子生徒11人も「きっと反省してくれる」と信じていた。
市教委がいじめ自殺を発表した8月21日以降、インターネット上などでは無関係の生徒たちに疑いの目が向けられた。このまま非公表でいいのか。何度も自問自答してきた。
最初は加害生徒たちにも将来があると考え、守ってあげようと思った。ただ、息子の死から1年。今も反省や謝罪のひと言もない。
誰が設置したか分からないが、学校近くの公園に献花台が設置された。息子の死を悼んでくれる人が地域にいることを知り、本当にありがたかった。私も現場近くで手を合わせた。息子も少しは浮かばれたと思う。
一度は「引っ越したことに…」と言った手前、(公表を)ずっとためらってきた。献花台を設置してくれた人の勇気ある行動を知り、私も校内での説明に向け一歩前に進もうと突き動かされた。
学校は今も、息子の自殺に向き合えていない。いじめの連鎖も断ち切れていない。きちんと説明し、いじめを見逃さないようにしてほしい。再発防止を心から願っている。
2015年10月05日月曜日