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米で自動車部品カルテル摘発相次ぐ 日本の商習慣がリスクに

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米で自動車部品カルテル摘発相次ぐ 日本の商習慣がリスクに

自動車部品カルテルで米司法省に摘発された主な企業と罰金額

 さらに米司法省は近年、談合に関与した個人に何の人事処分も行わない企業について、法令順守意識に欠けるとして処罰を強める傾向にある。しかし、談合は「納入先の値下げ圧力に対抗するため」「個人利益は得ていない」など個人について同情的な側面もある。

 平尾弁護士は「カルテルが悪とされるのは日米同じ。ただ米国は直接証拠がなくても間接的な証拠を積み上げて訴追を行う傾向が強く、日本と比べて訴追されやすい。リスクを減らす対策が必要だ」と話した。

 どうすれば訴追リスクを減らせるのか。

 「『日米は商習慣が違う』と何度も米当局に説明したが理解されなかった。日本企業も米国のルールに合わせる必要がある」。米国を拠点に活動する渡辺泰秀弁護士はそう指摘する。

損害賠償の恐れも

 渡辺弁護士によると、米国で摘発された場合、罰金などの刑事罰に加え、取引先などから罰金の何倍もの損害賠償請求訴訟を起こされるリスクもある。

 渡辺弁護士はリスク対策として、同業他社同士で接触しない▽メールなどで談合を疑わせる文言は使わない▽明確な談合否定の証拠を残す-などを挙げた。

 9月13日には韓国当局が日本のベアリング大手「ミネベア」を海外企業として初めて起訴するなど、カルテル排除の動きは世界的に強まっている。

 渡辺弁護士は「自動車カルテルは収束に向かっているが、米司法省は今後も別業界の摘発に乗り出すだろう。欧州連合(EU)や韓国も摘発を強めている。摘発後に専門家に相談する企業が多いが、それでは遅い。日頃からリスクを減らす経営を心がけるべきだ」と話している。

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