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平成27年 (2015年) 3月 3日
このコーナーでは、毎回、山口・防府地区の様々な分野で活躍し、この地域の未来を担い、地域を元気にする人や企業・団体をご紹介していきます。 第1回は、山口市の地域おこし協力隊として活動されている松本宏之さんにインタビューしました。 |
そこで生まれるものをみんなと育てたい
■北九州市の出身ですが、山口県へ来られたきっかけは? ▲大学入学を機に東京へ、卒業後は大手のマーケティングリサーチ会社に入社し、企業を相手にデータ分析のコンサルティングに従事。その間中小企業診断士の資格を取り、将来は東京でなく地方で独立・開業したいと考え、実家の北九州に近い福岡、山口、大分あたりで適地を探していました。ただ、いきなり独立は難しいので何か別の仕事をしながらと考えていたところ、山口市で「地域おこし協力隊」を募集していることを知ったのです。 その募集ではりんご組合、梨組合を中心として、地域の特産品の販売企画や加工品開発を行うという職務内容で、将来の開業に向けた生業づくりもできるということでした。農業についてのコンサルティングもしてみたかったので本当に自分にピッタリの内容でした。 | |
■来るまでの山口のイメージ、そして来てからの印象は? ▲それまで北九州に住んでいながら山口とはほとんど縁がなく、たまに下関市や萩市へ遊びに行く程度で、山口市に至っては全く馴染みがありませんでした。実は山口でりんごや梨を作っていることもここに来て初めて知りました。 住んでみて、のんびりとしていて人を非難することがない山口の「人」の良さを知り、住み心地の良いところだと感じています。 ただ来て早々、冬の寒さにはビックリしました。今はだいぶ慣れましたけど…。 | |
■地域おこし協力隊として、具体的にどのような活動をしているのですか? ▲徳佐りんご組合においては、ホームページ(http://www.tokusa-ringo.net/)のリニューアルや、津和野町観光協会と協力して津和野町とりんご園を廻る旅行プランを作成、今後営業展開していくようにしました。 また、これまで未活用だった売上等のデータを使い、データ管理するPDCAサイクルのモデルを作成しました。今後はそれをまわすことで、業務改善が可能になると思います。 | |
長門峡梨組合に関しては、会計業務の電子化に取組み、決算報告の電子化を実現しました。 また、昨年8月に初めての「長門峡梨まつり」を開催、その企画と運営を行い、それをキーにして、その時だけでなく年間を通じたイベントを行い、長門峡の梨を継続的にPRすることにより売り上げを伸ばしていくという仕組みづくりをしました。 その他、地福のほほえみの郷トイトイの活動にも携わり、それぞれ成果を出せたと思っています。 ■就任1年後のこの1月末で協力隊は辞められる予定だそうですが… ▲協力隊の委嘱期間は1~3年の毎年更新ですが、この1年で予定していた任務はほぼ終了しました。しかし、今後も中小企業診断士としてこの地に定住し仕事を続けていきます。 元々協力隊の最終目標は、活動先でのミッションを達成し、その活動地域で仕事に従事し定住定着をすることですが、活動先からの理解と同意を得て、正にその理想の形で協力隊を「卒業」するということになります。 | |
引続き生活の拠点を山口市阿東に置く訳ですが、ここでは対象の企業が少なく収入を得ることが難しいので、生活費は専ら地域の外の県内や北九州など県外で得たいと思っています。 しかしゆくゆくは、阿東地区でも6次産業化やふるさとものづくり補助金の申請やプラン構築等に関わって、前年と比較した売り上げ増や補助金等の何パーセントかをもらうような「完全成果報酬」での提案もしてみたいと思っています。 更に将来的には、僕一人が収入を得るのではなく、阿東の人達と一緒に潤っていけるようなビジネスモデルを、できれば5年スパンくらいで作っていきたいと思っています。こうしたことが上手く進めば永住も可能になってきます。 この地域はよい意味で競争心がなく、現状に満足していて、いいものを作っているから高く売ろうとか考えず、人がよすぎる面があ | |
るように思います。もっと阿東以外との比較や、外に対してのアピールを促していくこともやっていきたいと考えています。 ■仕事以外でハマっていることは何ですか? ▲こちらに来て犬を飼い始めました。借家に一人住まいなのですが、一部屋が完全に2匹の犬専用になっています。もしかして周りの人には“怪しい人”って思われているかもしれませんね。(笑) 2匹のうち1匹は、防府で野犬の保護活動をされているところから里親募集で譲り受けた雑種、そしてもう1匹は佐賀県まで行ってもらってきた秋田犬です。 | |
しつけをしたり、遠出をするときは車で連れて行ったり、一人で世話をするのは楽しいですがなかなか大変です。 ■将来の夢を教えてください。 ▲今は「企業」が相手ですが、将来は「地域」をコンサルしていきたいですね。 ちゃんと、定数管理とか販売管理、人材管理等の管理・オペレーションをしっかりやった上で地域の活性化計画を担えるようになりたい。そのためには、まずは阿東地域を活性化させるような仕組みづくりを成功させ、その後それを全国に展開していく。そんな地域をコンサルティングできるような人間になれればいいなと思っています。 ■市外や県外の人にPRできるこの地域の魅力は? ▲僕の言葉ではないのですが、以前この地域で緑のふるさと協力隊として活動された方が “何もない阿東”と言われたその言葉がすごくいいなと思って、パクらせていただいています。(笑) 「何もない」というのは、ここでは、しがらみがない、自分で作れる、住んでみたいということです。 | |
東京から北九州へは帰りたいとは思いませんでした。北九州はいわば“ミニ東京”みたいで魅力を感じなかった。ここはすごく魅力があって、満員電車や高層ビルから一度離れて、ゆっくりした時間を過ごし、のんびりと犬でも飼って暮らすにはすごく良い場所だなと思います。 何もないと言っても、車さえあれば30分で買い物にも行ける。阿東で暮らしながら山口県内で働くというのは、東京で言うベッドタウンのような感覚で、住む場所と働く場所を分けたい東京の人には意外とマッチするのではないかと思います。 ■最後に、地域の皆さんに一言! ▲一緒に「阿東」を盛り上げましょう!!! |
プロフィール
1980年生まれ。福岡県北九州市出身。 早稲田大学大学院卒、心理学専攻。心理統計、データ分析を研究。国内大手マーケティングリサーチ会社外資大手統計解析ソフトウェアベンダにて、データ分析コンサルタント、システム構築に従事。 平成25年に中小企業診断士登録、平成26年2月から地域おこし協力隊員として山口市阿東で活躍。平成27年1月末で卒業後も定住の予定。 |
松本さんのブログ↓
田舎で犬と地域おこし
【編集好機!~スタッフの一言】
里親になって2匹(雑種の「ハチ」と秋田犬の「小六(コロク)」)も犬を飼っているのは、きっと放ってはおけない性格からなのでしょう。 「2匹が上下関係の構築をするまで、何度も腕を噛まれて…」と笑って話す姿には、地域やそこに住む人たちの良さを語る言葉同様に優しさがあふれていました。 その優しさは、きっと地域への新しい活力をもたらす大きな原動力ともなるでしょうね。 |
※※「地域おこし協力隊」は、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に誘致し、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とする取組です。
具体的には、地方自治体が都市住民を受入れ、地域おこし協力隊員として委嘱し、一定期間以上、農林漁業の応援、水源保全・監視活動、住民の生活支援などの各種の地域協力活動に従事しながら、当該地域への定住・定着を定着を図っていくものです。
★現在、山口・防府地区で活躍中の隊員はこちら
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a12307/tiiki/kyouryokutai/taiin-shokai.html
「コロク」&「ハチ」@船平山