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ボンダイ

若者論から国際論まで幅広くテーマに。不寛容より多様性に富んだ世の中の方がいいじゃん!

日本に「1970年代後半」が戻ってきたっぽい

※少しネタバレがあります

このCMソングが超話題になっている

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 宮崎あおいのCMが話題だ。

 青々とした草原の上にずらりと立つ若い女性たちがなぜか中島みゆきの「Nobody is Right」を歌うものだ。空は曇っていて、どんよりしていて、宮崎の眼は涙でうるんでいる。

 このCMについて「サブカル臭い」と言う指摘もちらほらある。

  確かにいままでのCMにはそういうものもあったかもしれないが、今回ばかりはそれに当たらないと思う。

 どう考えても、これは今の日本政治に「問いかけ」をぶつけるための表現なんじゃないか。と私は直感的に思ったのだった。

 なんせ流れ始めたのは、安保デモがヤマ場を迎えた後のことだった。夏が終わり、法案が通り、これから冬にかけて寒くなっていくような季節に、こんなCMである。日本人の多くの心を揺さぶったに違いない。私は最近の企業CMについて酷評することが多いが、こればかりは満点の評価だ。というかここ5年の日本のテレビCMでもっとも名作ではないかと思う。

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 ちなみにアースミュージックといえば、コリアタウン嫌韓デモが社会問題になっていた2013年の時にも、「ヘイトスピーチって、なんですか。」と書いた大きな看板を新宿駅に掲げたことで話題になっていた。

  当時、アースミュージックの広告風のコラ画像を作るブームが若い世代(※非ネット原住民層)でブームになっており、このキャッチコピーは社会問題に疎い若者に大量に浸透した。とくに女子学生の間ではK-POPブームとの相乗効果によって、嫌韓問題への理解がかなり高まったのだった。

 たまたまJR新宿駅構内にルミネがあるから掲げていたのかもしれないが、新宿はコリアタウンの最寄り駅であり、駅構内や周辺でカウンターと対峙したり、ものものしい武装警察に囲まれながら「集団下校」をする様子も当時は毎週末常態化していた。

 私はアースの本気を感じたものだった。

 

気付けば「中島みゆき」の楽曲がやたらと多いと言う不思議さ

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 この頃は中島みゆきの音楽を用いたCMがやたら多いことに気づく。しかもどれもが、メッセージ性の高い楽曲ばかりだ。

 これは偶然ではなく、時代がそういうものを求めているんじゃないかと思う。

 

 中島みゆきといえば1970年代後半~80年代前半に若き日を過ごした世代にとってはかなり大きな存在のアーティストだと思う。つまりいま50代後半くらいの人たちだ。まだ現役世代でもあるから世の中に大きな影響力を持っている彼らに向けたCMが多いのだろう。作り手がこの世代と言う可能性もある。

 彼らはフォークソングに親しんだ最後の世代ともいえる。しかし、団塊の世代とは違い、その次の時代を切り開き、バブル時代の階段を駆け上がった人たちでもある。

 

 「3年B組金八先生第2シリーズ」が放送されたのは1980年~81年のことだ。当時はとっくに学生運動は終わっていたはずだ。しかし、そのクライマックスでは、学生運動の風刺があった。転校前の中学に殴り込み、校内を占拠していた不良生徒が警察に逮捕され、「カマボコ」と呼ばれる護送車に乗せられて署まで連れていかれる際のBGMが中島みゆきの「世情」だった。不良中学生が暴れたくらいで護送車が出てくることなんてありえないのだが、「シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく 変わらない夢を流れに求めて」との歌詞はまさに学生運動の退潮を風刺したものだったのではないか。

 

 今冬の朝ドラが始まったが、そのテーマソングもフォークソング風で驚いてしまった。秋元康も「シラケ世代」だし、朝ドラを観たがるのはもっぱら中高年だと決まっている。

 なんとなくだが、いまのマスメディアの雰囲気に、じわり1970年代後半臭さが出てきていないだろうか。

 時代のムードとして「バブルの前夜」が起きているのだとすればそれはいいことかもしれない。

 

70年代後半の広告には「バブルの足掛かり」がある

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 1970年代後半のテレビCMは、オイルショックの影響でチープなものが多い。狭いスタジオで撮ったものややすっぽいはめ込み合成みたいなものばかりで、コモディティーの商品CMなんかは今と大差ないだろう。学生運動は終わったが、高度成長期も終わり、貧相な時代であったのア。

 しかし一方で、1980年代につながるような上質なCMが出てき始めたのもこの頃のことだ。ウイスキーのCMなんかがいい感じだ。

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 「僕らは本当に豊かなのかな」と問いかけた数年後には、時代が「ああそうだよ」と答えたかのように80年代と言うバブル絶頂期を迎えているのだ。

 その頃のメディア文化の繁栄をもっとも印象付けたのは、ウイスキーのCMだったことは、当時を知る人は誰もが記憶していることだろう。

 

 そういう世の中が再び到来するのだと思えば、希望が湧いてこないか。活力も出てこないか。いまは「40年前と同じ夜明け前」の時代なのだ。