【類似のノベルティ配布に関するマナー啓発】

 先日フォロワーさんから「10月発行予定になってるアンソロのノベルティって、4月にあなたのところで出したアンソロのノベルティと似てない?」と連絡がありました。サンプルを確認したところ多くの類似点が見られました。そのため主催者へ問い合わせを行ったところ、話し合いの末、類似が見られたノベルティの頒布は相手側の主催が自主的に取り下げる結果になりました。

 今回のやりとりの中で、ノベルティグッズへの認識の甘さが見られたため、この度のマナー啓発を行うことに至りました。
 なお、この啓発文は、今回協議をさせていただいた主催者様と合意し、文面も相手側の主催様にも確認をしてもらった上での掲載をさせて頂いております。相手側の主催者様、並びに該当アンソロジーを攻撃するものではないことを予めお断りさせていただきます。※対象のお名前やCP名なども伏せさせて頂きます

★問題の発端

同一ジャンル、同一受キャラクターによる、同一媒体(ペアスプーン)でのノベルティの発行であり、更にデザインが酷似していたため、盗用や無断使用ではないかとの指摘が多数寄せられた。

※なお、当方のアンソロジー(以下、Aアンソロ)のノベルティデザインは、主催者本人ではなく、Aアンソロの執筆者様に外注したものです。そのため、ノベルティのデザイナー様にも連絡したうえで、対象アンソロジー(以下、Bアンソロ)の主催者様にお問い合わせを行っております

★ノベルティ発表と頒布中止の経緯

①Bアンソロ主催は、当方アンソロのノベルティを含む複数のペアスプーンデザインを見本にし、基礎デザイン(アルファベット、モチーフデザイン、モチーフカラーなど)を参考にして、素材を使用したデザインを作成。
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②同一ジャンル、同一アイテムのモチーフデザインのグッズであるため、当方から問い合わせがくる懸念をしつつも、この程度なら問題ないだろうと判断し、事前確認などは行わなかった

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③デザイン公表後、AノベルティとBノベルティのデザインの類似性が多数見られたため『デザインの無断使用ではないか』という問い合わせが相次ぐ

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④当方Aアンソロ側は、B主催に説明を求め、参考にしたのであれば、参考元としてAノベルティのデザイナーの名前を明記するか、デザインを差し替えるよう求める
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⑤B主催側は、複数ジャンルのペアスプーンデザインを見本にしたが、特に同ジャンル、同キャラクターであるそちらの影響が色濃く出てしまったのかもしれない。決して悪意はなく真似たつもりもない。一貫して自分が考えたオリジナルデザインだと主張
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⑥しかし、結果として第三者から多数『無断使用をしたのか?』と誤解を受ける類似性の高いデザインが完成してしまっており、参考や影響の域を超えたものになっている点。見本にしてる段階で、全て自分で考えたという主張も難しいという点をA側から指摘
※借用素材も、素材自体の著作権は作成者のもの
※この点でも、全て自分が考えたものとは主張できない
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⑦これを受けてB主催は、既に入稿・入金済みでキャンセルも不可のためデザイン差し替えは行えないと回答。また、参考元を明記しても、事情を知らない第三者に『盗用』と思われる危険性があるため、自主的に頒布中止をすると返答
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⑧同様のトラブルを起こさぬよう、本件の事案をまとめた本マナー啓発文を掲載
※B主催側にも内容の確認、掲載の了承を得ています

★経緯の中で発生した問題点

①同一ジャンル、同一キャラクターアンソロで、同一媒体によるノベルティの発行を企画し、更にそれが先発のAアンソロのノベルティと第三者が見ても感じるほど類似してしまった点

②B主催はAアンソロを含む多数のジャンルのペアスプーンデザインを見本にし、基礎デザインも参考にした上で本ノベルティを作成したが、各ノベルティのデザイナーへの確認連絡を行わなかった点
※他の参考画像をA側も拝見したが、明らかに突出して類似性の高い見本がAノベルティを含めて数件見受けられた。中でも最も類似していたのがAノベルティだった
※見本・参考にした上で特に類似してしまった場合は、やはりデザイナーに一度確認すべきだった

③多くの人が関わる媒体のアンソロジーの主催であるにも関わらず、問題に発展するかもしれないと感じていながら、このくらいなら大丈夫だろう。と自己判断し、事前確認を怠り、ノベルティの頒布を行おうとした点
※結果、確認が遅れたために、デザイン差し替えが不可能となってしまった

★今後の再発防止について

B主催者様が最終的に、自主的に頒布の中止を決定したのは、様々な影響を考えた上での判断です。また、当方デザイナーにも迷惑をかけたとして、謝罪も頂き、和解しております。

ただ、本件に対して、どうして頒布中止までするのか? そこまで神経質なことなのか?
複数の疑問も寄せられておりますので、それに対しての経緯の説明と、ご回答をさせて頂いております。

アンソロジーの主催というのは、様々な肩書がついてまわります。
それは何も、複数名の作家をまとめる編集者としての責任だけではないのです。
カップリングの代表作品として見られることもございます。
そのアンソロジーが発行されることによって、CPのイメージも大きく変わります。
ジャンル外の方から見れば、あのジャンルのアンソロジー。という見られ方もします。

そして何か問題が起きた時は、責任を取らねばならない。主催とは、様々な責任を負った存在なのです。トラブルが起きると、執筆者様へのご迷惑にもなります。だからこそ、慎重に企画せねばなりません。

相手側の主催者様も、より良いアンソロジーを作ろうとご尽力されていたのだと思います。
しかし、その順番やルール、やり方を踏み外してしまったために、今回のような事態に発展してしまいました。

今回の件については、法律を犯しているですとか、そういった大げさな内容のものではありません。これは、線引きも明確にされていない、同人界における『マナー』や『モラル』の問題であると思います。

そして今回のようなことは『マナー違反』であると私は考えます。

発行時期もほど近い、同一ジャンル、同一キャラクターでの、同一媒体のノベルティ。という段階で、本来ならば避けるのが妥当です。これは先にやった方に遠慮をしろ、というわけではありません。当事者同士が良くても、第三者が見た時に、後発側が先発側の真似をしたのだと取られてしまいがちだからです。
しかし、それでもどうしてもやりたいのであれば、まったく別物の、似ても似つかないデザインであれば、問題なかったと思います。
万が一、類似してしまったものができてしまったのなら、事前に確認を取れば、やはりここまでのトラブルにはならなかったでしょう。このプロセスを怠った点が、一番の問題点だったと感じます。

私も、これが個人誌でのトラブルでしたら、ここまで声を上げることはしませんでした。しかし、今回はアンソロジーのノベルティであり、他の絵描き様に発注させて頂いたデザインで、発行時期も近く、同一受キャラクターの購買層も近い狭いジャンル内でのアンソロジーのノベルティ。
偶然同じデザインになってしまったということであれば問題視しなかったのですが、そうではなかったためトラブルに発展してしまいました。

もし、この状況で私が本件を黙認してしまっては、ジャンル内で「この程度ならやってもいいのだ」というボーダーラインができかねないと感じたのが、一番懸念していたところです。

この程度はいいだろう。このレベルはダメだろう。それは、目にした方の裁量に委ねられるものだと思います。私もその尺度を本件で決めるつもりはありません。見る人が見れば、今回の件も神経質すぎるだけだと取られる方もいらっしゃるでしょう。

ただ、本件のようなことを、自分の媒体でされたらどんな気持ちになるか。周りはどんな目で見るか。それを今一度、考えてみてください。
そのうえで、今後の活動の参考にして頂ければ幸いです。

@kagemusya_kei