地方の国立大学に「地域」を冠した学部が次々と誕生する。今春の高知大をはじめ、来春には宇都宮大、福井大、佐賀大、宮崎大で新設される。少子高齢化や地場産業の衰退などが深刻化する中、地域課題の解決に役立つ人材育成をめざす。

■現場重視、農家と田植え

 高知県の仁淀川町長者地区。山肌に広がる美しい棚田で5月下旬、大学生17人が地元の農家とともに田植えをしていた。4月に高知大に新設された地域協働学部の実習だ。前期は中山間地域を中心に県内6カ所を回り、キャンプ場の草刈りやお祭りの手伝いにも取り組んだ。

 学部のモットーは現場重視。専門科目の4割強、約600時間をこうした地域実習に充てる方針だ。上田健作学部長は「土にまみれて、というのが本当の地域づくり。まず地域でコミュニケーションできるようにし、地域のことを知る。そして住民と協力し、地域の課題に立ち向かう」と意気込む。

 1期生67人のうち50人が千葉、京都、愛媛などの県外組だ。島根県出身の富岡優太さん(19)は公務員志望。「島根も人口がどんどん流出している。この学部で地域課題の解決方法を学び、いずれは地元を元気にしたい」と話す。

 高知県は県域の84%を森林が占め、過疎に悩む。長者地区の棚田も耕作放棄地が増える一方だ。学生を受け入れた西森勇幸さん(68)は「我々の想像力では限界がある。学生のユニークな発想をどんどん採り入れたい」と期待する。

 佐賀大の新学部は、地元のブランドである「有田焼」をはじめとする陶磁器産業を支える教育研究の一翼を担う。デザインやマネジメントも学び、技術革新や販路開拓を担える人材も育てる。県内在住の人間国宝の陶芸家らも非常勤講師となる予定。佛淵(ほとけぶち)孝夫前学長は「有田焼だけでなく、文化や歴史を生かした産業の発展に寄与し、地域貢献をめざす。大学が知の拠点として地域にかかわる、地方大学のモデルになる」と話す。