民主主義の本質と価値 他一篇 (岩波文庫)
安保法制をめぐる騒ぎで、野党が「強行採決」を阻止するドタバタを演じたのは、日本の政治にいまだに「家」システムの全員一致方式が残っていることを示している。みんなが納得するまで際限なく話し合い、全員一致できない問題は先送りするのが、稟議に代表される日本の意思決定である。

これに対してケルゼンは、議会制度の本質は多数決にあるという。多様な利害の衝突する社会で全員一致はありえないので、多数決で決める代わりに少数意見を弾圧しないことが議会の条件だ。ここでは稟議とは違って、紛争と妥協が前提とされている。

日本でも全員一致になったのは江戸時代以降だ、と丸山眞男はいう。戦国時代までの流動的な社会では全員一致は不可能なので、紛争は暴力で決着をつけた。それを徳川幕府が統一し、「家」の連合政権として秩序を凍結した時代から稟議が始まった。ここでは一人でも異をとなえると何も決まらないので、紛争を抑圧するために同調圧力が強まる。

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