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火星には今も水が存在か 観測結果を発表
9月29日 0時14分

火星には今も水が存在か 観測結果を発表
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赤い惑星、火星には今も水があって、季節や地域によっては地表を流れているとする観測結果をアメリカの研究チームが発表し、火星では今も水が存在している可能性を示す新たな成果として注目されています。
これは、NASA=アメリカ航空宇宙局がイギリスの科学雑誌「ネイチャージオサイエンス」の電子版で発表したもので、火星の周りを回る探査機を使って火星の地表を調べました。
なかでも注目したのは、温度が上がると火星の特定の地域に現れて、温度が低くなると消える黒い「筋」で、山肌に沿って細く伸びる姿は水の流れのように見えるため、上空から赤外線などを使ってその成分を詳しく分析しました。
その結果、黒い「筋」から水と塩類の化合物が観測され、研究チームは黒い「筋」は塩類を多く含んだ水が火星の地表を流れた跡である可能性が高いとしています。
アメリカは複数の探査機で火星の研究を進めていて、これまでの観測から、火星にはかつて大量の水が存在し、地表には川や湖があったとみられることが分かっています。
研究チームは「火星では今も季節と地域によっては、水が液体で存在する可能性を示す観測結果だ」としていて、火星に生命が存在したのかなど、赤い惑星の成り立ちの解明につながる成果として注目されています。

NASA「非常に興奮する成果」

今回の成果についてNASAは28日、記者会見を開きました。この中で、惑星科学部門のトップを務めるジム・グリーン氏は、「非常に興奮する成果だ。生命が存在するためには水は極めて重要な要素だ。われわれはまだ地球以外に生命が存在するか答えを持っていないが、今回の成果で火星のどこを探査すればいいのか分かってきた。将来の探査で、果たして火星に生命が存在するのか、答えが見いだせるかもしれない」と述べ、今回の成果の意義を強調しました。
また、今後の具体的な探査については、「この水がどうやって発生しているのか分かっていないし、火星の表面の数%しか調べられておらず、ほかの場所もさらに調べる必要がある。無人探査機で黒い『筋』の周辺を調べることは、探査機が持ち込んだ地球由来の物質で汚染する可能性があるので、慎重に検討する必要がある」と述べました。

専門家「今も確実に存在 議論に決着」

今回の研究について、国立天文台の副台長で惑星科学が専門の渡部潤一教授は、「季節的に現れる『筋』は水が流れて出来たのかもしれないとは、これまでも考えられてきたが、証拠がなかった。今回の調査によって、水が短期間ではあるが火星に今も確実に存在していることが分かり、議論に決着がついた」と述べました。
そのうえで、「もし火星にかつて生命が存在していたのであれば、短期間、水が発生する場所で、地球上の生物が冬眠するかのように生き延びている可能性もあるのではないか。興味深い研究だと思う」と話していました。

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