2015年10月3日23時54分
■民主党・岡田克也代表
(安倍首相が8月14日に発表した戦後70年談話について)衆院予算委員会や党首討論などで議論したいと思っていたが、機会がないまま国会が終わったので、改めて私の談話についての考え方を示す。(発表)直後に示したものと同じだが、二つのことに集約した。
一つは間接話法や引用が多く、安倍首相本人がどう考えているか全く明らかではない。(植民地支配、侵略、痛切な反省、おわびといった)キーワードは入れたというが、本人の言葉かどうかわからない。「歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」というが、安倍さん以降の総理がそれぞれ考えることであり、揺るぎないかどうか、はっきりとは約束できないはずだ。
また、「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」という点も、一般論なのか日本のことをいっているのかわからない。国際紛争の解決手段として武力の行使は行わないと憲法にも書いてある。国連憲章で認められたもの以外は認められないといっているに過ぎないともいえる。日本の過去の反省に基づき、日本のことについて言及したとは必ずしもいえない。
談話はいろんな美辞麗句に満ちている。言葉のスポットライトのあてかたによっては村山、小泉談話と変わらず、ちゃんといっているという評価もできるかもしれない。しかし、注意深く読むとそうでないことがわかる。今回、外務省ホームページから村山、小泉談話が単にリンク先として紹介されることになり、今回の談話に置き換わった。今回の談話は非常に抽象的なものだ。根本にある村山談話は引き続き重要な談話として政府が継承していくべきものだが、もし抽象的な70年談話に置き換えたとしたら非常に問題だ。
2番目は「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を負わせてはなりません」という箇所だ。一部に非常に高く評価されている事実がある。ただ同じ段落で引き続き、「それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります」とある。前段だけ引き離し、もう謝らなくていいとなると誤解だ。政治指導者は和解を成し遂げる責任がある。そして先の世代に謝罪を背負わせないため、和解のため努力をしなければならない。しかし安倍総理は一体どれだけのことをされたか。
70年談話については今後も国会で議論するべきであり、出して終わりということではないと思っている。(2日、党本部での会見)
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