こういうことは、終わってしまえば忘れられるので、ここに書いておきたい。今季のNPBではシーズン終盤におかしなことがいくつも行われようとしている。
1.退任が決まった監督が、ポストシーズン争いの指揮を執っている

セ・リーグ3位の阪神は、1試合を残して4位広島に0.5差をつけている。広島の残り試合は3試合。阪神の1試合は広島との直接対決。
阪神が日曜の直接対決に勝てば、ポストシーズン進出が決まる。負けた場合は、広島が他の2試合を連敗しない限り敗退が決まる。

ファンが気をもむようなこのきわどい接戦を、阪神は、先日、実質的に解任された和田豊監督が指揮している。
監督が代わればコーチなどのスタッフも代わると思われる。指導者たちは「勝っても明日にはつながらない」試合の指揮を執っている。

阪神が3位になった場合、10月10日から巨人とのCSファーストシリーズを東京ドームで戦う。
阪神は、このシリーズも「死に体」の指導陣で戦おうとしている。

ファンは阪神が逆境から底力を出してCSファーストステージ、ファイナルステージを勝ち抜いて日本シリーズに進出することを夢見ている。その可能性は少なくはない。

しかし阪神経営陣は、それを望んでいないと思われる。クビを切った監督が日本一に輝いた場合、解任を決めた経営陣の見識が疑われる。場合によっては責任問題が生じると思われる。
この間、阪神は、金本知憲に、監督就任を要請するため、南球団社長が金本と会談した。
この段階で、次期監督との交渉を始めたということは
球団が、「どうせ負けるだろう」との予断を持っているのではないかと思われる。

必死に応援するファンを置き去りにして、来季に向けて走り出した阪神タイガース経営陣は、背信を行っているのではないか。

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2.ポストシーズン進出がかかる試合を、相手チームが “引退試合”にしようとしている

前述のように、広島カープは、不利な状況ながら、まだポストシーズン進出の可能性が残っている。
最終戦は、10月7日、本拠地マツダスタジアムでの中日戦だ。広島が10月3日のヤクルトに負け、4日の阪神に勝った場合、この試合がポストシーズン進出をかけた大一番になる。

中日はこの試合に50歳で今季限りでの引退が決まった山本昌を投げさせることを内定した。
山本昌「7日に決め打ちでやることになりました。(投げるのは)1人だと思います」
一部には先発登板ともいわれている。
これを主催試合ではなく、敵地でやろうとしている。

中日は、必勝の構えで応援する広島ファンの前で、数分とはいえ、気の抜けたサイダーのような茶番試合を演じようとしている。
たった1人とはいえ、戦力ではない投手が投げることが試合を左右することも大いにありうる。
失礼を通り越した、あきれた判断だ。中日首脳陣の見識を疑う。
たとえ、山本昌に投げさせるとしても、広島、阪神の3位争いに決着がついてから、つまり完全に消化試合になってから発表すべきではなかったのか。

同様の事態は、日本ハム、中嶋聡の引退試合でも見られた。
日本ハムは、10月1日、西武と熾烈な3位争いをしているロッテとの試合で、今季限りで現役を引退する中嶋聡に9回からマスクをかぶらせた。
日本ハムの主催試合であり、2-10と勝敗が決してからの出場だったが、ロッテにとっては負けられない試合を「花相撲」にした。

中日は谷繁元信の引退試合を9月26日のDeNA戦で、小笠原道大の引退試合を9月21日の巨人戦で行った。
DeNAは、高橋尚成の引退試合を10月2日の巨人戦で行った。
いずれも主催試合だったが、巨人はわずかながら優勝の可能性を残した戦いだった。

最近の球団は、自分たちにとって「どうでもいい試合」であれば、相手の立場を気遣うことなく、アトラクションを公式戦に組み込むようになった。それをファンサービスだと思っている。
相手チーム、ファン、公式戦、そしてプロ野球を軽視した「ひとりよがり」だ。まともな神経ならこういうことはしないだろう。
誰かがそうしたから、それを真似したのだ。
「モラルハザード」が進行している。

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昨日のヤクルト対阪神の大一番で、阪神は8回、これも引退を表明している関本賢太郎を大和の代打に送った。
関本は、久古に代わってマウンドに上がったバーネットの初球を叩き、同点に追いつくタイムリーヒットを打った。

阪神は関本を「引退のはなむけ」で代打に送ったわけではない。その時点でベンチにいる最強打者として打席に立たせたのだ。
引退を表明していようと、実力があり、戦意も喪失していなければ戦力として起用することができる。

引退を表明した選手を試合に起用するなら、こういう使い方に限定すべきだ。チームの浮沈がかかった真剣勝負の場で、最後の燃焼をさせる。

それができる選手はそうする。

そうでない選手、もう一線級の力がない選手は相手に「敗退行為とまぎらわしい」プレーをさせないためにも、出場しないのが良識だろう。

自分の実力を知っている選手は、たとえ出場を言われても辞退するべきだろう。
「晩節を汚す」と言う言葉を知るなら、そうすべきだと思う。


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