トイレの作法。
昔、自分の家のトイレは汲み取り式だった。
今でもまだあるのだろうか、汲み取り式トイレ。いまの若い人はそんなもの知らないだろうか。念のため、 Wikipediaのリンクを貼っておこう。
で、当時のトイレは当然和式だった。和式トイレはまだ結構残っているので、流石に知っている人は多いだろう。念のためイラストを貼っておくが、下記のようなものが和式トイレだ。かわいい。
当然これだと、男性がちいさい方の用を足したい時に非常に困る。普通に考えてやりにくい。というわけで、当時の自分の家には男性専用トイレが別に設置してあった。男性専用トイレというものは、下記のイラストのようなものだ。
だから、自分が子供の頃は当然「小は立ってするもの」だった。古い作りの家は、今でも男性用と女性用で別れてたりする。
だが、現代の家は大抵の場合トイレは一つ、そして洋式だ。それは、生活習慣の変化や、建築スペースを小さくするためなど、いろいろな理由が絡んでいるのだろう。むしろ、新築の家で和式にする人なんて今時いるんだろうか?
まあ、それはともかく、トイレが洋式になったことで新たな問題が浮上している。それが、「男もちいさい方の用を足すときに座ってするべきか否か」という問題だ。
比率ってどうなってるの?
少し古いものになるが、2009年にTOTOが行った調査結果がある。
これによれば、和式トイレと洋式トイレの比率が逆転したのは1976年の事らしい。現在の洋式トイレの普及率は記述されていないが、恐らく9割くらいまでは普及しているんじゃないかと個人的には思っている。
そんな中、ちいさい方を立ってするのか座ってするのかについてもTOTOは調査している。それによれば…
2004年の調査では23.7%の人が座っていたのに対し、2009年では33.4%と大きく伸びていることがわかりました。
という事らしい。この伸び率で行くと、下手すると現在は4割以上の人が座ってするという事になっていてもおかしくない。
興味深いのは年代別調査のグラフで、30代〜50代の男性までは座ってする派が年代が上がるに連れて増えているのだ。
60歳以上の高齢者が座ってする習慣が無いのは仕方ないにしても、意外と高い年齢層の人達も座ってする派だったのにはちょっと驚いた。
最近は草食系男子ブームなんかもあって、なんとなくフェミ男(死語)っぽい男性がもてはやされる傾向もあり、若い人たちが座ってするというのは理解できるが、最も座ってする派が多数だったのが50代だというのは、意外である。
なんで座ってする派が増えたのか。
正直、男性にとってちいさい方を座ってするのは実はちょっと面倒くさい。だって、立ってすればチャックを開け閉めするだけで済むのに、座ってするとなればズボンを下ろさなければならない。その際、ポケットに長財布なんかを入れていると落ちてしまうこともある。
それでも座ってする派が増えたのは、色々な理由が考えられるが、やはり「汚れるから」なんだろうと思う。
前述のTOTOの調査結果でも、最後に…
「座ってする」派の理由は「尿が飛び散らない」「掃除が楽」「姿勢が楽」。
「立ってする」派の理由は「そういうものだと思っているから」「姿勢が楽」「早く済む」でした。
どちらのタイプにも見られる傾向としては「姿勢が楽だから」という理由を挙げる人が多く、「自分にとってはこのスタイルが一番」と感じている傾向が見られます。
というようなことが書いてあり、まさに両方の言い分はこの通りなんだろう。それは、下記のグラフからも読み取れる。
先のアンケート結果で、座ってする派の最多が50代の男性だったのは、彼らがトイレ掃除をしないからじゃないかと個人的には思う。「掃除をしないんならせめて座ってしてよ」とかなんとか奥さんから言われてるんじゃないかと。50代の男性が自分の意志で「汚さないように座ってするか」という考えに至るとは思えないからだ(偏見)。
自分も、独身の頃は特に気にはしていなかった。一人暮らしの時はトイレと風呂が一緒の典型的なユニットバスだったので、それ程熱心に掃除をしなかったし、実家に帰ってきてからは母がトイレ掃除をしていたからだ。
だが、結婚して、アパートに引っ越して夫婦暮らしをするようになって、少し考えを改めた。自分でトイレ掃除を(必要に迫られた時だけだけど…)することもあって、やはりあまり汚してしまっては良くないと考えるようになり、座ってする派になった。
やっぱりね、自分に火の粉が降りかからないとわからないものなのである。立ってする派の「そういうものだと思っているから」と答えた8割の人達は、お掃除する人の苦労をわかってあげたほうがいいかな、と思う。
「日本の男は弱くなった」とかって変な意地は張らなくてもいいと思うよ。