京畿道富川市に住む女(27)は昨年10月、高校時代の友人の男(26)から1本の電話を受けた。「振り込め詐欺にだまされた人たちが送った金を引き出してフィリピンに送れば、1日に5万ウォン(約5100円)ずつ支払う」。男はこれに先立ち、フィリピンの振り込め詐欺グループのメンバーから、被害者たちが送った金を引き出して送金すれば、その金の10%を支給するという提案を受け、友人も犯行に巻き込もうとしたのだった。
女は今年3月22日に結婚式を予定していた。定職に就いておらず、結婚式の費用調達に悩んでいた女は、男の提案に対し乗り気になった。結局、女は男の提案を受け入れ、昨年11月から今年1月にかけ、19回にわたって振り込め詐欺の被害者たちが送った約9000万ウォン(約920万円)を引き出し、男が知らせてきたフィリピンの銀行口座に送金した。
だが、女は今年3月に警察に検挙され、結婚式の前日に逮捕された。女と結婚相手の男性の家族は警察に対し「結婚式だけでも挙げさせてほしい」と要請したが、受け入れられなかった。周囲に恥をさらすことを心配した両家は、拘置所に収監されている女の代わりに、その姉にウエディングドレスを着せ、結婚式場に立たせた。結局、女と結婚相手の男性は最近、婚姻関係を解消したという。
ソウル北部地裁刑事2部(カン・インチョル裁判長は)は2日、振り込め詐欺の被害者たちが入金した金を引き出し、送金した行為などで起訴された女に対し、懲役1年6月の判決を言い渡した。フィリピンの振り込め詐欺グループから指示を受け、被害者たちが入金した約6100万ウォン(約620万円)をだまし取り、女などの共犯を集めたとして起訴された男に対し、懲役3年を言い渡した。