習近平の本心
だが、市場は中国政府の改革をまったく信用していない。そのため、中国株の代表的指標である上海総合指数は、「レッドライン」と呼ばれる3000ポイントのすぐ上を「低空飛行」するばかりだ。
8月の貿易統計は、前年同期比で輸出額が6・1%、輸入額が14・3%も減らしている。製造業の先行きを示すPMI指数も、8月に49・7と過去3年で最低水準。また中国を代表する巨大国有企業の中国石油が、1兆元(約19兆円)を超す負債を抱えていることが発覚し、大騒ぎになっている。
こうした経済統計を見る限り、長く躍進著しかった中国経済は、完全にメッキが剥がれてしまったのである。
実際、数年前から「鬼城」と呼ばれるゴーストタウンが、中国各地で問題になってきたが、最近は都市部の「鬼商城」(ゴーストデパート)が深刻化している。消費がまったく伸びず、建てすぎたデパートが次々に倒産しているのだ。
この上、日系企業が引き揚げれば、1000万人の中国人が職を失うことになる。そこでさすがの「反日闘士」習近平主席も、背に腹は代えられないということで、日本企業の引き留めに躍起になっている。
中国経済の分析が専門のシグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミストが、そんな習近平主席の心情を推察して語る。
「これまで中国の製造業の牽引役となってきた自動車の販売台数は、7月に前年同月比で7・1%も減りましたが、日系メーカーだけは22・4%も伸ばしています。これは、日本の製造業へのラブコールです。
中国政府は5月に、『中国製造2025』という12ページからなる10年戦略をまとめました。それを読むと、中国お得意のパクリや企業買収ではなく、25年かけて地道に製造業を発展させ、『中国ブランド』を確立しようと書いてあります。
そうなると、日本企業の助力が絶対に必要です。
習近平は一方で、抗日軍事パレードをやりながらも、本心では『日本よ、中国の製造業を助けてくれ!』という心境なのです」
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