中国経済の底が抜けた
これまで約70冊の中国関連の著作がある中国ウォッチャーの宮崎正弘氏が解説する。
「一言で言えば、いま中国は、焦っているのです。中国はもともと、自国のGDPを水増しして発表する習慣がありましたが、これまでは海外からの投資が相次いだため、ごまかせてきた。
ところが3年前に、大規模な反日暴動が起こったことで、日本企業が次々と中国から撤退を始めました。
急激な賃金上昇で、アメリカも手を引き始め、いままた南シナ海の埋め立て問題で、ASEANの企業が引き始めている。このため海外からの投資が激減し、中国経済は底が抜けてしまったのです」
たしかに今年上半期の対中投資は、前年同期比で日本が16・3%、アメリカは37・6%も減らしている。世界最大の経済大国と、中国に次ぐ3番目の経済大国が、中国から引き上げにかかっているのである。
北京の中国日本商会幹部も語る。
「俗に、日系企業2万3000社が1000万人の中国人を雇用していると言っていますが、いまはもう2万社を切ったかもしれません。
中国がGDPの増加にこれほどこだわるのは、GDPの増加イコール雇用の増加と考えているからです。このまま雇用が減り続ければ、ますます経済失速していき、失業者の増大が犯罪やデモを増やし……という悪循環に陥ってしまうでしょう」
こうした危機がヒタヒタと迫ってきていることは、習近平政権は百も承知である。そのため、中国国務院(中央官庁)はあらゆる手段を使って、経済崩壊の引き金となるリスクを孕んだ株価下落を防ごうとしている。
ゴールドマンサックスの試算によれば、この3ヵ月ほどで、中国政府が株価下支えに投じた金額は、2360億ドル(約25兆円)にも上るという。
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