突然、握手を求められても
これに対して、中国側は、「中国経済は問題ない」と説明するばかりか、「攻勢」にも転じたという。日本人参加者が語る。
「われわれ日本人を見ると、中国の経済官僚や国有企業の幹部たちが、妙に優しく迫ってくるのです。『中日両国が肩を組んでこそアジアは発展する』などと言っては、慇懃な態度で握手を求めてくる。わずか数日前に、あんなにド派手な『抗日軍事パレード』をやっていた国とは思えませんでした」
同様の光景は、9月4日と5日にトルコの首都アンカラで行われたG20(主要国サミット)の財相・中央銀行総裁会議でも見られた。
会議に同行した日本の経済官僚が語る。
「今回のG20は、まさに中国経済の急失速に対する懸念一色でした。そのため、中国代表の楼継偉財政部長と周小川中国人民銀行総裁は、食事するヒマもないほど、各国から上がる疑念の声に対する火消しに追われていました。
ついこの間のギリシャ危機の時まで、実に偉そうな態度で、『最後は中国がパルテノン神殿を買ってやるからな』などと嘯いていたのとは対照的です」
そしてここでも、中国側から日本の官僚たちへのラブコールが相次いだという。
「6月に北京で3年ぶりの日中財務対話を開いて以降、日中の経済官僚同士の個人的な交流が始まりました。先日のトルコのG20では、そんな一人から、『今年中でなくても構わないから、日本に何とか早期にAIIBに加盟してほしい』と、非公式に頼まれたのです」(同・経済官僚)
AIIB(アジアインフラ投資銀行)は、今年12月に、北京を本部にして発足する新たな国際開発銀行である。日米が中心になって1966年に創設したADB(アジア開発銀行)に中国が対抗し、57ヵ国を集めて、鳴り物入りで創設する。6月末には習近平主席が主催し、北京で盛大な設立協定の調印式を開いた。
だが創設前に早くも、うち7ヵ国が不参加となる可能性が出るなど、チャイナ・マネーの限界説が飛び交っている。ちなみに日本は、麻生財務相が強硬に反対したことなどによって、参加していない。アメリカも同様である。
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