強要されたアダルトビデオ(AV)への出演を断った20代女性に、プロダクション会社が違約金として2460万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は「意に反した出演は許されない」として、請求を棄却した。女性の弁護団が29日、会見で明かした。
会社側は控訴せず、確定した。原克也裁判長は、会社が「莫大(ばくだい)な違約金をたてに、意に反して出演を迫った」と指摘。女性に賠償義務はないとした。
弁護団の伊藤和子弁護士(49)によると女性は高校時代にスカウトから声をかけられ、会社に所属。18歳で「タレント契約書」にサインさせられ、意に反してAVに近いわいせつなビデオへの出演を強いられた。「違約金100万円」「親にばらす」と脅されながら撮影は続き、20歳になると事前説明もなくAV撮影を強要され、ショック状態だった撮影直後に「AV出演契約書」にサインさせられた。「違約金」は「1000万円」になっていた。
女性は、同様の被害者の支援を行う「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」と弁護士の支援を受け、会社に対して契約解除を通知。会社側が損害賠償を求めていた。
PAPSの代表世話人の1人宮本節子さん(72)によると、2012年以降、同様の相談は93件に上っているという。宮本さんは「被害相談で名前が挙がるプロダクションは大手も、中堅も入っている。性暴力被害に詳しい弁護士も協力してくれる。誰にも相談できずに困っている方は、相談してほしい」と呼びかけている。メールアドレスはpaps@paps-jp.org