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子どもの怒りのコントロール方法 学ぶ動き広がる10月3日 18時47分
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教員や同級生などに対する小学生の暴力行為が増えるなか、子どもの怒りの感情をコントロールする方法を学ぼうという動きが広がっています。
文部科学省の調査によりますと、教員や同級生に暴力をふるったり、物を壊したりといった「暴力行為」は昨年度、小学校で1万1468件と調査を始めた平成9年度以降で最も多くなり、増加幅は低学年ほど大きくなっています。
こうしたなか、子どもの怒りの感情をコントロールする方法を学ぼうという動きが広がっていて、3日は東京・港区で「アンガーマネジメント」と呼ばれるアメリカで開発された手法を学ぶ講座が開かれました。
講座には教員やカウンセラーなど24人が参加し、風船を膨らませて怒りをため込んだ状態をイメージさせ、破裂しないように少しずつ感情を吐き出すことの大切さを伝えたり、深呼吸や数を数えることで気持ちを落ち着かせたりする指導方法を練習していました。
講座を開いた日本アンガーマネジメント協会によりますと、子どもの怒りを対象にした講座は2年前から開いていますが、参加者は増え続け授業に導入したいという教育委員会や学校からの問い合わせも相次いでいるということです。
講師を務める篠真希さんは「自分の気持ちをうまく表現できて、人との関係も悪くならずに解決すれば楽になることを、子どもたちに体験してもらうことが大切だ」と話しています。
こうしたなか、子どもの怒りの感情をコントロールする方法を学ぼうという動きが広がっていて、3日は東京・港区で「アンガーマネジメント」と呼ばれるアメリカで開発された手法を学ぶ講座が開かれました。
講座には教員やカウンセラーなど24人が参加し、風船を膨らませて怒りをため込んだ状態をイメージさせ、破裂しないように少しずつ感情を吐き出すことの大切さを伝えたり、深呼吸や数を数えることで気持ちを落ち着かせたりする指導方法を練習していました。
講座を開いた日本アンガーマネジメント協会によりますと、子どもの怒りを対象にした講座は2年前から開いていますが、参加者は増え続け授業に導入したいという教育委員会や学校からの問い合わせも相次いでいるということです。
講師を務める篠真希さんは「自分の気持ちをうまく表現できて、人との関係も悪くならずに解決すれば楽になることを、子どもたちに体験してもらうことが大切だ」と話しています。
寂しさやストレスで暴力も
暴力行為を繰り返してしまう子どものなかには、日常生活の寂しさやストレスを抱えているケースがあると専門家は指摘します。
茨城県の小学3年生の女子児童は1年生の夏ごろから、学校などで暴力をふるうようになりました。母親には、教員からトラブルの連絡がたびたび入るようになり、思いどおりにならないことがあると、突然怒って暴言を吐き、友達を叩いたり蹴ったりしていると聞かされたといいます。なぜ暴力をふるうのか尋ねると「イライラするから」などと答えましたが、はっきりした原因は分かりませんでした。
母親は4年前に離婚、親と同居しながら生活のため、アルバイトとパートの2つの仕事を掛け持ちし、帰宅するのは午後10時を過ぎる毎日でした。
問題を1人で解決できないと感じた母親は行政に相談。紹介を受けた児童相談所の嘱託の小児科医から「母親と一緒にいられない寂しさで不安な状態に陥っていることが暴力の原因の一つではないか」と指摘されました。
母親は残業が深夜に及ばない正社員の仕事に就き、娘と一緒に食事をしたり遊んだりする時間を作ったところ、暴力は次第に収まってきているといいます。
母親は「1人親になったことで精神的にも経済的にも追い詰められ、娘に向き合う余裕がなかった。娘の話を聞くようにしただけでずいぶん落ち着いてきたと感じる」と話していました。
母親の相談を受けた、小児科の専門医で文教大学の成田奈緒子教授は「保護者が不安定になると子どもの不安は高まり、ちょっとしたトラブルで攻撃性が出てしまう。学校で暴力をふるったと聞くと保護者のプレッシャーはさらに大きくなり、それが子どもに影響するという悪循環に陥っていたと考えられる。家庭が安定した状態でいられるよう、支援することが必要だ」と話しています。
茨城県の小学3年生の女子児童は1年生の夏ごろから、学校などで暴力をふるうようになりました。母親には、教員からトラブルの連絡がたびたび入るようになり、思いどおりにならないことがあると、突然怒って暴言を吐き、友達を叩いたり蹴ったりしていると聞かされたといいます。なぜ暴力をふるうのか尋ねると「イライラするから」などと答えましたが、はっきりした原因は分かりませんでした。
母親は4年前に離婚、親と同居しながら生活のため、アルバイトとパートの2つの仕事を掛け持ちし、帰宅するのは午後10時を過ぎる毎日でした。
問題を1人で解決できないと感じた母親は行政に相談。紹介を受けた児童相談所の嘱託の小児科医から「母親と一緒にいられない寂しさで不安な状態に陥っていることが暴力の原因の一つではないか」と指摘されました。
母親は残業が深夜に及ばない正社員の仕事に就き、娘と一緒に食事をしたり遊んだりする時間を作ったところ、暴力は次第に収まってきているといいます。
母親は「1人親になったことで精神的にも経済的にも追い詰められ、娘に向き合う余裕がなかった。娘の話を聞くようにしただけでずいぶん落ち着いてきたと感じる」と話していました。
母親の相談を受けた、小児科の専門医で文教大学の成田奈緒子教授は「保護者が不安定になると子どもの不安は高まり、ちょっとしたトラブルで攻撃性が出てしまう。学校で暴力をふるったと聞くと保護者のプレッシャーはさらに大きくなり、それが子どもに影響するという悪循環に陥っていたと考えられる。家庭が安定した状態でいられるよう、支援することが必要だ」と話しています。
授業に取り入れる例も
子どもの暴力行為を防ごうと、感情をコントロールするプログラムをすべての小学校の授業に取り入れている自治体があります。
このうち東京・品川区では9年前から、小学1、2年生を対象に暴力防止プログラムを導入し、現在37ある区立小学校すべてで行っています。
プログラムは「セカンドステップ」というアメリカで開発されたもので、さまざまな場面を想定した写真を見ながら、写真の中の子どもの気持ちになって問題の解決方法を順序立てて考えていきます。衝動的な行動を抑えコミュニケーション力を向上させることがねらいです。
先月、区立第四日野小学校の2年生のクラスで行われた授業では、静かに勉強したいのに隣の友だちに邪魔をされている男の子の写真が示されました。そのうえで1「今何が起きているか」、2「何ができるか」、3「もしやったらどうなるか」、そして4「何をするか決める」という4つのステップで順に考えていきます。
話し合いを始めると、子どもたちからは「『いいかげんにして』と言う」などと感情的なことばも出ましたが、「相手が嫌な気持ちになる」という声が上がり、「静かにするよう身ぶりで伝える」とか、「優しく『だめだよ』と言う」といった意見に賛成する子どもが相次ぎました。
最後に子どもたちは、2人1組になってロールプレーを行い、攻撃的にならないコミュニケーションの方法を確認していました。
授業を受けた男子児童は「自分も授業中に邪魔をされたことがあるので、これからは教えてもらった方法でやろうと思いました。人の気持ちを考える授業はみんなはこう思ってるんだなと分かるからおもしろいです」と話していました。
品川区では、暴力行為を防ぐには人間関係作りの基礎となる小学校入学直後から取り組むことが効果的だと考え、1、2年生で年間10時間ずつこの授業を行っているということです。
2年生の担任の市岡裕美教諭は「感情のコントロールがきかなかったり、ことばで表現できなかったりする子どもが増えていると感じます。感情的になったときや、手を出しそうになったときに、ちょっと落ち着いて我慢するすべを身につけてくれたらいいと思います」と話していました。
このうち東京・品川区では9年前から、小学1、2年生を対象に暴力防止プログラムを導入し、現在37ある区立小学校すべてで行っています。
プログラムは「セカンドステップ」というアメリカで開発されたもので、さまざまな場面を想定した写真を見ながら、写真の中の子どもの気持ちになって問題の解決方法を順序立てて考えていきます。衝動的な行動を抑えコミュニケーション力を向上させることがねらいです。
先月、区立第四日野小学校の2年生のクラスで行われた授業では、静かに勉強したいのに隣の友だちに邪魔をされている男の子の写真が示されました。そのうえで1「今何が起きているか」、2「何ができるか」、3「もしやったらどうなるか」、そして4「何をするか決める」という4つのステップで順に考えていきます。
話し合いを始めると、子どもたちからは「『いいかげんにして』と言う」などと感情的なことばも出ましたが、「相手が嫌な気持ちになる」という声が上がり、「静かにするよう身ぶりで伝える」とか、「優しく『だめだよ』と言う」といった意見に賛成する子どもが相次ぎました。
最後に子どもたちは、2人1組になってロールプレーを行い、攻撃的にならないコミュニケーションの方法を確認していました。
授業を受けた男子児童は「自分も授業中に邪魔をされたことがあるので、これからは教えてもらった方法でやろうと思いました。人の気持ちを考える授業はみんなはこう思ってるんだなと分かるからおもしろいです」と話していました。
品川区では、暴力行為を防ぐには人間関係作りの基礎となる小学校入学直後から取り組むことが効果的だと考え、1、2年生で年間10時間ずつこの授業を行っているということです。
2年生の担任の市岡裕美教諭は「感情のコントロールがきかなかったり、ことばで表現できなかったりする子どもが増えていると感じます。感情的になったときや、手を出しそうになったときに、ちょっと落ち着いて我慢するすべを身につけてくれたらいいと思います」と話していました。