JAバンクあいち ドームドッジ2015
2015年11月29日
ナゴヤドーム
社会中国人、愛知に「爆来」 観光せず宿泊のみ◆高速に「ゴールデンルート」 愛知県内の高速道路沿いにあるビジネスホテルが大勢の中国人に沸いている。「爆買い」に象徴される中国人観光客の急増で、ホテルの多い名古屋市だけでは収まりきらなくなってきたためだ。「移動に便利」なのが選ばれる理由のようだが、大半は関東から関西への移動中に立ち寄って泊まるだけ。夜が明けると早々に愛知県を去って行き、目の前にある地元の観光地は素通りされている。 豊田市の東名高速豊田インターチェンジ(IC)から車で5分のビジネスホテル「松風」。日が暮れた午後7時ごろ、京都から走ってきた観光バスが到着する。降りてくるのは、にぎやかに中国語を話す40人前後のツアー客だ。中国は国慶節(建国記念日)を迎えて大型連休の真っ最中だが、松風には暦に関係なく、年明けから大勢の中国人が訪れている。 昨年末、旅行会社から「ICに近くて便利なのでぜひ」と頼み込まれ、団体宿泊を週3〜5日受け入れ始めた。会長の宮沢清人さん(67)は「『可能なら毎日でも』とお願いされたが、他のビジネス客もいるのでこれが精いっぱい」と大忙し。ツアー客が困らないように慌てて中国語で案内文を作り、館内のあちこちに張り出した。 旅行各社によると、中国人には京都や富士山、東京などを結んだ「ゴールデンルート」を巡るツアーが依然人気だ。その中間に位置し、高速道路網も充実した愛知県は移動途中の宿泊先として「適地」。従来は名古屋市が一般的だったが、訪日外国人の増加を受けて旅行各社が移動に便利なIC近くの豊田や岡崎、刈谷、豊川、一宮市などにまで手を伸ばし始めた。 ツアーを手掛ける名古屋市の旅行会社「大地エージェンシー」の中国人社長、鮑尓吉徳(ボルジド)さん(38)は「名古屋はどこも満員。広い駐車場を備え、バスが止めやすい周辺部のホテルが奪い合いになっている」と話す。一般のビジネス客に快適に過ごしてもらうため、中国人団体客を分ける形で「専用フロア」を設けるホテルも多い。 活気づく宿泊先の近くには香嵐渓や岡崎城など地元が誇る観光地もあるが、足を延ばすことは少ない。 大阪市の旅行会社の担当者は「人気はやっぱり京都、富士山。愛知県は宿泊に便利だが、観光までしたらツアー時間が足りなくなる」と明かした。 ◆豊田などIC近く「素通り」対策を 観光庁によると、ことし上半期の外国人宿泊者数は延べ3138万人で、前年同期比50%増と大幅に伸びている。うち愛知県は113万人で全国平均を上回る68%増を記録した。中部国際空港(同県常滑市)で相次ぐ新たな中国直行便就航も、宿泊者増加を後押ししている。 根強い人気の「ゴールデンルート」に対抗するべく、愛知県など中部9県は東海から北陸を結ぶ「昇龍道」への観光誘致に力を入れている。だが知名度はまだ低いのが現状だ。中国人の旅行事情に詳しい鮑尓吉徳さんは「世界的なトヨタ自動車を中心とした産業観光、徳川家康らを生んだ歴史、隣県のアウトレットなど、この地方らしい観光資源はいっぱいある。魅力的なストーリーを打ち出し、海外へアピールすれば十分チャンスはある」と話す。 (豊田支局・河北彬光)
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