ロシアのシリアへの空爆開始で、あのへの状況は複雑さを増してきましたが、状況をさらに複雑にする動きがあります。
これまで、このブログの読者も含めて多くの方が、シリアのクルド勢力が米国の対IS戦略で、最も頼りになる勢力だとの認識を示していましたが、その勢力YPGがロシアの支援を要請したようです。
al qods al arabi net は、YPGの総司令官がロシアに対して武器供与を要請するとともに、ISに対する闘争を調整するように要請したと報じています。
これはロシアのスプートニクとの会見での発言で、彼はその中でロシアに対して、ISのみならずヌスラ戦線をも攻撃するように要請したとのことです。
又クルド政治勢力PYDの総務局長は、「我々はISと戦う如何なる方面よりも支援を受けることとしており、現在は米国からの支援を受けている」と語った由。
http://www.alquds.co.uk/?p=411453
PYDが、トルコの共産主義クルド独立運動のPKKのシリア分派であることを考えれば、このような動きは必ずしも不自然ではないかもしれませんが、トルコにとって最も警戒すべきクルド勢力はPKK及びPYDであることに鑑みれば、そのPYDと軍事組織のYPGがロシアの支援を要請したことが(事実であれば)、トルコにとっては重大な問題だろうと思われます。
何しろYPGはトルコ国境近くに勢力を有しており、そのYPGを通じてロシアの影響力がトルコ国境に迫ることはトルコにとっては重大な脅威だろうと思われます。
勿論、この報道の信憑性の問題もあるので、一概に決めつけるのは危険ですが、あの辺でクルド問題と言うのは、非常にデリケートな問題なので、気になったまでです。
コメント一覧
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- 2015年10月02日 00:17
- アフガニスタンのクンドゥズがタリバーンの攻撃を受けました
タジキスタンと接した地域であり、そのタジキスタンでもクーデター未遂がありました。
アフガンから米軍が撤退するとアフガンゲリラの活発化が予想され、ロシアが勢力圏とみなすタジキスタン国境のロシア軍も増強しないといけないわけです
地図を見てみますとシリアやトルコ東部とロシアのカフカス地域は近いですね
グルジアやアルメニアのようなキリスト教国家を間にはさみますが
シリアとカフカスは距離が近い
ロシアにとっては驚異なのでしょうね
イラクのフセイン時代ロシアが権益を持ってましたね
アメリカの勢力圏となりましたが、ここへきてロシアがイラクに影響を広げようとしてますね
反テロリズムもありますが、米ロ冷戦の国盗り合戦の様相もあります
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- 2015年10月01日 20:44
- 『トルコの弾圧にロシアに助け求めるクルド』は想定された話ですね。
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何しろ現在でも、プーチンのロシアは彼自身がkGB出身だったこともあり、極度の情報統制の国で、本当にロシア、というよりはプーチンがご指摘のような問題についてどこまで真剣に危機感を持っているかは不明です。
勿論ISには多数の中央アジア、コーカサスからの過激派も参加しているので、その辺の関連には神経をとがらせていると思いますが、ロシアという国自体にとってどれだけの危険な問題かとなると、どうでしょうか?チェチェンとかあの辺の過激派の動きは力で抑え込んでいるし、チェチェン戦争やその隣国で大規模テロがあった時代に比したら、客観的には、ロシアそのものに対する危険性はむしろ非常に小さいのではないでしょうか?おまけに当時と比べたら、ロシアの力も格段に増加したし・・・
今回のロシアの動きは、記事にも書いた通り、反テロというのは表向きの口実で、本質はご指摘の国盗り合戦の色合いが濃いのではないでしょうか?
まあ、考えてみれば、冷戦時代エジプトとイスラエルの平和条約までは、ソ連が米国と中東ではりあっていたのが、ソ連末期のゴルビーの時代以来、中東が米国一国により牛耳られてきた秤のバランスが少しづつ元に戻りつつあると言うだけのことかもしれません。