ロシアのシリアへの空爆開始で、あのへの状況は複雑さを増してきましたが、状況をさらに複雑にする動きがあります。
これまで、このブログの読者も含めて多くの方が、シリアのクルド勢力が米国の対IS戦略で、最も頼りになる勢力だとの認識を示していましたが、その勢力YPGがロシアの支援を要請したようです。
al qods al arabi net は、YPGの総司令官がロシアに対して武器供与を要請するとともに、ISに対する闘争を調整するように要請したと報じています。
これはロシアのスプートニクとの会見での発言で、彼はその中でロシアに対して、ISのみならずヌスラ戦線をも攻撃するように要請したとのことです。
又クルド政治勢力PYDの総務局長は、「我々はISと戦う如何なる方面よりも支援を受けることとしており、現在は米国からの支援を受けている」と語った由。
http://www.alquds.co.uk/?p=411453
PYDが、トルコの共産主義クルド独立運動のPKKのシリア分派であることを考えれば、このような動きは必ずしも不自然ではないかもしれませんが、トルコにとって最も警戒すべきクルド勢力はPKK及びPYDであることに鑑みれば、そのPYDと軍事組織のYPGがロシアの支援を要請したことが(事実であれば)、トルコにとっては重大な問題だろうと思われます。
何しろYPGはトルコ国境近くに勢力を有しており、そのYPGを通じてロシアの影響力がトルコ国境に迫ることはトルコにとっては重大な脅威だろうと思われます。
勿論、この報道の信憑性の問題もあるので、一概に決めつけるのは危険ですが、あの辺でクルド問題と言うのは、非常にデリケートな問題なので、気になったまでです。