ソウル=牧野愛博
2015年10月2日20時33分
朝鮮半島有事の際に想定される韓国在留邦人の退避をめぐり、韓国政府が日本との協議に応じていないと、複数の日韓両政府関係者が明らかにした。安倍政権は集団的自衛権を行使する一例に、邦人を乗せた米軍艦船の防護を挙げた。だが、邦人が米艦へどう移動するかについて議論は深まらない。日韓関係が冷え込み、両国の防衛協力が進まない現状も影響している。
関係者によると、日本政府はこれまで、邦人退避をめぐる協議を行うよう、実務レベルで求めてきた。韓国側が日本の呼びかけに応じないことについて、韓国政府関係者の一人は「非常に敏感な問題であるうえ、韓日関係の冷え込みも影響しているようだ」と語る。
外務省の資料によると、韓国の在留邦人数は2014年10月現在で約3万7千人。日本政府は1994年の第1次朝鮮半島核危機以降、韓国在留邦人の退避策を検討してきた。特に、邦人が集中するソウルは北朝鮮との軍事境界線から約60キロしか離れていない。北朝鮮軍が境界線の近くに配備する長距離砲を使った場合、数十分で相当な被害が発生するとみられている。
残り:937文字/本文:1396文字
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部
PR比べてお得!