【ワシントン=吉野直也】オバマ米大統領は2日、ホワイトハウスで記者会見した。シリアのアサド政権支援のためにロシアが同国領で反体制派も空爆していると批判し、内戦状態を「泥沼に陥らせる。逆効果だ」と指摘した。アサド政権の退陣と新政権への移行が内戦の唯一の解決方法だと重ねて訴えた。
ロシア政府は9月30日、シリア政府の要請を受け、同国を拠点とする過激派組織「イスラム国」(IS=Islamic State)に対する空爆作戦を開始した。米政府はロシアの空爆がIS不在の地域だった可能性が高く、アサド政権に抵抗する反体制派を標的にしていると見ている。
オバマ氏は、ロシアのプーチン大統領がISと穏健な反体制派を「区別できていない」と指摘。反体制派がすべてテロリストだというロシアの考え方は、シリア情勢について「かえって事態を悪くする」と断じた。これまで反体制派への攻撃には報復措置を取ると明言してきたが、「シリアを米ロの代理戦争の場にするつもりはない」と述べ、ロシアには反撃しないとの立場を示した。
プーチン氏は9月28日のニューヨークでのオバマ氏との会談で、IS掃討のためにシリア領で空爆を開始する意向を伝えた。反体制派の空爆の可能性があったにもかかわらず、オバマ氏が拒否しなかったことからシリア情勢は一段と混沌としてきた。
シリア情勢を巡り米野党・共和党は「オバマ政権は傍観している」(ボブ・コーカー上院外交委員長)と批判を強めている。
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