モータージャーナリスト森慶太が、サスペンションの神様の異名をとるサスペンションエンジニアの國政久郎氏に、道具として気持ちのいいクルマをどのように選らべばいいのかを聞いた書籍「営業バンが高速道路をぶっ飛ばせる理由」の中身をちょっと公開。「いまは性能が上がったから、どのクルマを買ってもいっしょ」という世間の定説を壊します。
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國政「某メーカーの技術者いわく、バン車は“貨物車です”と。要はトラックと同じような扱いで、乗用車とはハッキリ区分けが違うということです。バン車のほかにタクシー車両も貨物車扱いだそうです。つまり、人を運ぶ貨物車(笑)ですね」
--ほう。
國政「乗ってみると、貨物車は明らかに車体の強度が違っている感じがあります」
--もちろん、乗用車よりも高いわけですね。
國政「なぜそうかというと、貨物車は重たい荷物を運ぶためのクルマだからです。強度や剛性や耐久性といったところに関して、乗用車とは考えかたが違います」
--はい。
國政「貨物車の車体はたんに頑丈なだけではダメで、軽さも求められます。これは大型トラックの場合を考えるとわかりやすいと思いますが、クルマ側の重量が増えるとそのぶん、最大積載重量が減ることになります」
--クルマと荷物の合計で最大何トンまで、というレギュレーションがありますね。あとはそう、荷物でもない余計な重さはジャマなだけ。
國政「バン車と乗用車の違いに関しては、余計な装備がついていないぶんバン車は軽い、というのがあります」
--はい。あとは、音がやかましい(笑)とかですか。
國政「防音や防振の対策が簡素なぶん、乗用車基準だとそういえるかもしれません。ノイズが大きめだとかバイブレーションが強めだとか。室内の足元にはうすーいカーペットかゴムマットぐらいしかなくて、だから音がする。振動がくる。でもそんなのは、計測したら数値が大きいだけともいえます」
--はあ。
車種:プロボックスバン