多くの富裕国におけるインフラの老朽化問題は、いくら強調してもし足りないところまで来ている。ドイツでは鉄道橋の3つに1つ、ロンドンでは水道本管の半分が100年以上前に造られたものだ。米国の橋は平均して建造から42年、ダムは52年が経過している。全米土木学会(ASCE)は、国内のダム約1万4000について「極めて危険」、15万1238の橋について「不完全」と格付けした。
このように崩れゆくインフラは危険で、しかも高くつく。米国都市部の高速道路における交通渋滞によって浪費される時間と燃料の価値総額は年間1000億ドル(約12兆円)を超える。空港での混雑では220億ドル(約3兆円)が、停電によっては1500憶ドル(約18兆円)が失われている。
経済大国が集うG20(金融世界経済に関する首脳会合)のビジネス版にあたり、各国首脳や国際機関トップらと経済界が交流するビジネスサミット「B20」の試算によると、全世界のインフラを一定水準にまで整備するのに必要な経費は2030年までに15兆ドル(約1817兆円)から20兆ドル(約2422兆円)に達するという。
コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーは、富裕国の2007~12年の年間インフラ投資額は国内総生産(GDP)の約2.5%だったと見ている。本来ならば3.5%を充てるべきだったという。
世界金融危機で財政が困窮した一部の国が経費を削減していることで、この問題はますます深刻化している。欧州委員会によると、ユーロ圏の13年の一般政府投資(インフラが大部分を占める)は金融危機前のピークとなった3兆ユーロ(約408兆円)を約15%下回っていた。イタリアでは25%減、アイルランドでは39%減、ギリシャでは実に64%減であった。同じ年、米国政府のインフラ支出はGDPの1.7%で、20年ぶりの低水準となった。
■道路の舗装で就学率が倍に
これでは、またとない好機を逃しているようなものだ。過去6年間、古いインフラを修繕したり新事業を立ち上げたりするのに必要なコストは従来よりずっと安くなっている。金利が最低水準をつけ、建設業界の生産能力があり余っているためだ。
インフラ関連のコンサルティング業務を行うアルカディスのサイモン・ローリンソン氏は、例えば英国における建設費は金融危機の直後には2割低下したと考えている。ここ数週間の市場の混乱により、金融危機後初となる米国の利上げは数カ月先送りされる可能性が出ているが、とりわけ米国と英国では経済が活発化するとともに失業率が下がっており、それに伴い建設費が上昇中である。
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