我々日本人は世界的に見て、まだまだオンラインゲームを遊ぶ人間の中で、マイノリティだ。
必然的に、海外の人々と一緒に遊ぶことを余儀なくされるし、少なくとも、我が物顔で母語の中国語やタイ語でチャット欄を占領することは、まずもってない。
肩を寄せあい、小声で「hi」とか「gj」とか「brb」とか、典型的なスラングを使っては、外国人同士の本格的な会話になるとつい萎縮してしまう、悲しい流浪の民なのだ。
(日本人の英語はぎこちなさの中に、妙な律儀さがある)
では何故、我々はタイ人や中国人、韓国人のように、ゲーム内で自国の言葉で話せないのだろうか?別に英語以外はマナー違反というはずはない。『MGSV』ではないが、人は国語に住むというじゃないか。
しかし、恐らく日本語がチャット欄を占領する日は、もう訪れないと思う。
というのも、迅速なコミュニケーションが必要なオンラインゲームにおいて、日本語で会話しようとすると、あまりに時間がかかるためだ。
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私がとあるゲームを遊んでいる間、稚拙な英語でゲーム内のチームメイトと会話していたところ、ちょっとした疑問があった。
何故、外国人は「idk」や「np」のように、英語を省略するのかという点である。
「idk」というのは、「I don't know」の略で、「ごめん、わかんねえわ」的なニュアンスだ。
ところが、私は「idk」が正しいスラングか不安だし、間違ったスラングで外人に煽られるのが怖かったので、いつも素直に「I don't know」と打っていた。
しかし、「I don't know」は「idk」より遥かに長いようで、「I don't know」でもほとんど苦もなく打ててしまう。少なくとも、日本語で「ごめん、わかんねえわ」よりは、よっぽど素直でタイピングしやすい。
例えば、
I don't know
と打てば、キーを10回叩けばよい。
一方、
ごめん、わかんねえわ
gomenn,wakannneewa
と打つなら、キーを18回も叩かねばならないためである。いや、最後に漢字に変換してspaceキーを押したり、その変換を決定する時にenterキーを押せば、もうどれだけキーを叩かねばならないことか!
もっと不躾に、「わかんねえわ(wakannneewa)」と打っただけでも、若干相手の気分を害しながら、なお11回キーを叩かねばならないのだ。
これはもう、日本人が日本語を捨て、未知なる英語の虜になるのも、致し方ないはずである。
一方、「idk」なら3回キーを叩けばいいだけのように思えるが、やはり使い慣れないスラングのためか、そもそも「i」「d」「k」と文法的に何の繋がりもない文字列のためか、個人的には素早く10回キーを叩く「I don't know」の方が、むしろ気楽だった。(当然、好みによるだろうが。)
さて、日本人がなぜオンラインゲームで日本語を使えない(或いは、英語を使う)のかという点だが、
それは、日本語より英語の方がより簡単にキーボードを叩ける上、素早いコミュニケーションが必要なFPS、RTS、MOBAのようなゲームでは、必然的に英語の方が有利なためであろう。
つまり、文字で会話するよりVCで会話した方が、よっぽど苦もなくコミュニケーションが取れるという話である。