2001年に「ファンの皆様、おめでとうございます!!」とスピーチした若松監督。名言は14年後、真中監督に受け継がれた【拡大】
選手たちの熱い手に支えられ視界に広がった夜空が、涙でにじんだ。降り注ぐ大歓声に抱かれ、真中監督が7度、宙に舞った。
「ファンの皆さん、優勝おめでとうございます!」
優勝インタビューで口をついたのは、「1番打者」を任され優勝した2001年の若松勉監督と同じ言葉だ。44歳のルーキー監督は、開幕戦で延長戦を制して始まった波乱の今季を延長サヨナラで締めくくり、141試合目に大混戦を制した。
「最後も苦しい勝負でしたが、選手が粘って一つ一つ戦った結果です」と、眼鏡を外し、泣き顔を手で覆った。
「優勝を目指します」
昨年10月8日の就任会見ではっきり口にした。
「まさか…」。誰もが思ったはずだ。チームは2年連続最下位。昨季は12球団ワーストのチーム防御率4・62の投手陣と、計97失策の守備。若い才能はきらめきの一方で、粗くもろかった。
就任直後、オフを迎える選手に通達した。
「俺に年賀状は出さなくていい」
効率主義で『無駄』が嫌い。“虚礼”にかける時間とストレスをなくし、体と心を休めてほしいとの思いがあった。春季キャンプは「自主性」を掲げ、個人練習を増やした。「上司が残っているから帰れない、というような日本的な習慣は無駄」。選手もコーチもアピールプレーは無意味だ、と断じた。