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【社会】

安打新記録の秋山選手 母子家庭の子に「夢」を

5月、西武プリンスドームに招待した親子と記念写真に納まる西武の秋山選手

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 プロ野球西武の秋山翔吾選手(27)が一日、京セラドームでのオリックス戦でシーズン二百十六安打のプロ野球新記録を打ち立てた。今季はプロ五年目で初めて、自分と同じ母子家庭の家族を観戦に招待する企画を実施。「夢を見続けてほしい」という子どもたちへの思いも好調の打撃を支えた。 

 父肇さんが四十歳の若さで、胃がんで亡くなったのは小学六年の時。それでも「僕がプロになることを望んでいた」という父の願いを実現できたのは、母順子さんのおかげだ。

 順子さんは地元の神奈川県で中学校の非常勤講師として復職し、妹と弟を加えた三人を育て上げた。「体をつくるため、とにかく食べさせてくれた」。母の献身があったからこそ、翔吾少年は夢を諦めずに済んだ。

 この経験からことし五〜八月に月一度、本拠地がある埼玉県内の母子家庭を自費で観戦に招いた。五月には十組二十二人が来場。はしゃぐ小学生らに「苦しいときもあるが、楽しいときもある」と言葉を贈った。観戦招待の仲介をした同県母子寡婦福祉連合会では近々、子どもたちが書いた手紙を秋山選手に送るという。内容は「野球が大好きになった」「プロになりたい」というものも。木暮美奈子事務局長(68)は「日々の生活で精いっぱいの家庭も多い。取り組みはありがたかった」と感謝した。

 「自分と同じような(境遇の)子に喜んでもらえれば」と秋山選手。大記録だけでなく、もう一つの夢に向かっても打ち続ける。 (対比地貴浩)

 

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