TPP閣僚会合:交渉1日延長 知財と乳製品こう着打開へ

毎日新聞 2015年10月02日 11時35分(最終更新 10月02日 12時09分)

 【アトランタ横山三加子、清水憲司】環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会合は1日夜(日本時間2日午前)、1日で閉幕する当初の予定を2日まで延長して交渉を続けることを決めた。自動車分野の協議が決着に向かい、残る課題は医薬品のデータ保護期間をめぐる知的財産と乳製品の市場開放問題の2つに絞られつつある。知的財産では、米国とオーストラリアの対立が根深く、交渉を延長してこう着状態を打開できるか閣僚会合は正念場を迎えた。

 甘利明TPP担当相は1日夕の参加12カ国の閣僚による全体会合後、記者団に「状況は厳しいが、希望は見えてきた。1日延長して合意に全力を傾ける」と述べた。米通商代表部(USTR)のフロマン代表も「困難な課題について現実的な解決策を見いだすため、全員が懸命に努力していく」と話し、協議を続ける意義を強調した。また甘利氏は閣僚会合の結果について、3日に共同記者会見を開く見通しを明らかにした。

 TPPは貿易自由化など21分野について協議を重ねてきた。予定を延ばして交渉を続けるのは、今回を逃せば、交渉そのものが年単位で遅れる可能性が高いと見ているためだ。特に19日に総選挙を控えるカナダでは与党の苦戦が伝えられており、政権交代になれば、交渉への姿勢が大幅に変わる可能性がある。

 7月末の前回会合では、日程の延長が検討されたものの、合意の見通しがつかなかったため、予定通りの日程で閉幕した。甘利氏は1日、「今回あえて延長するのは、解決の可能性を信じて各国が最後の努力をする意思表示だ」と述べた。

 ただ、大筋合意の最大の障害とみられる知的財産分野のバイオ医薬品のデータ保護期間をめぐっては、1日夕の参加12カ国の閣僚全体会合で協議したものの、約1時間で終了。関係者によると、改めて米豪などの2国間協議を通じ着地点を探ったうえで、2日に改めて全体会合で協議することになった。

 また、乳製品の大幅な市場開放を求める酪農大国ニュージーランドと一定程度にとどめたい日米、カナダの間で間合いを詰める事務レベル協議が続いている。

 一方、協議が先行する自動車の関税優遇の基準である「原産地規則」については、日本とメキシコ、カナダの間で対立が続いていたが、部品の調達比率を4割半ば程度とすることで最終調整している。全体の交渉進展をにらみながら、最終決着を図る見通しだ。

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