聞き手・池田伸壹、平和博
2015年10月2日05時10分
米ニューヨーク・タイムズ(NYT)の社長兼最高経営責任者(CEO)で、英国放送協会(BBC)の会長も歴任したマーク・トンプソン氏は、メディア界の中でも最も果敢にデジタル化を進める代表格だ。来日を機に、急速に変化するメディア環境とジャーナリズムの未来について聞いた。
――過去から現在に至るニュースメディアの役割とは何でしょう。
「時代が変わっても、本質的な役割は変わらないと思います。家族や友達とつながる社会がある一方、その外には広い世界がある。そこで何が起きていて、どう理解すればいいのか。それを伝えるのが常にニュースの役割です」
――人々の好奇心を満たすということですか?
「もう一つ大切なのは、記録することです。古代ギリシャの歴史家トゥキディデスは『戦史』でアテネとスパルタの間のペロポネソス戦争を記録しました。彼はこう言っている。人間の本質は変わらない。将来、同じようなことが繰り返されるだろう。だから、何が起きたかを後世に伝えることが重要なのだと。もちろん我々は歴史家のようにはできないが、メディアの素晴らしいところは、広く流布させ、多くの人に読んでもらうことができることです」
――インターネットの登場で、新聞など既存メディアは大きな影響を受けています。
「ネットは『パンドラの箱』を開けたとも言われます。テロリズム、流言、混乱、新聞社のビジネスへの脅威などすべてのあしきものが、インターネットによってもたらされたと。だが、私は違うと思う」
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