日歯連寄付:迂回前提1.4億円予算化 13年参院選控え

毎日新聞 2015年10月01日 15時00分(最終更新 10月01日 17時47分)

 日本歯科医師連盟を巡る政治資金規正法違反事件で、日歯連が2013年参院選の組織候補の石井みどり参院議員(自民)=比例代表=を支援する「石井みどり中央後援会」に対し、12年度に計1億4000万円を寄付する予算計画を作成していたことが、内部文書で分かった。日歯連が計画的に法定上限を超える寄付をした証拠の一つとみられる。東京地検特捜部もこの文書を入手し、「迂回(うかい)寄付」容疑の裏付けを進めている模様だ。

 決算報告書類によると、日歯連は12年度の「政治活動運営会計収支決算書」の中で、「中央後援会へ寄付」として1億5000万円の支出を予算計上。さらに決算の欄には1億4000万円を支出したとの記載があった。同時に作られた12年度の「石井みどり中央後援会会計」でも「収入(寄付)」の予算欄に1億5000万円、決算欄に約1億4000万円の記載があった。

 政治資金収支報告書によると、実際に、日歯連は12年11月に石井後援会へ4500万円を直接寄付。年度内の翌13年1月には、西村正美参院議員(民主)=同=を支援する「西村まさみ中央後援会」に5000万円を寄付し、西村後援会から同額が石井後援会に即日寄付された。さらに同3月に石井後援会へ直接4500万円を寄付し、12年度中に計1億4000万円の資金移動を計画通りに完了していた。

 この資金移動を巡り、日歯連の会計責任者だった前副理事長、村田憙信(よしのぶ)容疑者(70)は参院選前後の13年3〜9月に複数回開かれた幹部会議で、予算に沿った形で12年度の収支を報告。残された音声データによると、「石井後援会会計については、予算立てで1億4000万円とさせていただきました」「決算額は約1億4500万円で、石井みどり中央後援会会計へ支出している」などと述べていた。

 特捜部は、13年1月の資金移動は、政治団体間の年間の寄付上限額(5000万円)の超過違反を隠すための「迂回寄付」だとして、村田容疑者のほか、日歯連前会長の高木幹正・現日本歯科医師会会長(70)、堤直文・日歯連元会長(73)の2容疑者を9月30日に逮捕した。3人はいずれも容疑を否認しているとみられるが、特捜部は1日に改めて東京都千代田区の日歯連事務所を捜索、資金移動を計画した経緯についても解明を進めているとみられる。【飯田憲、近松仁太郎】

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