憲法解釈変更:公文書作成、実態点検を…内閣法制局に要請

毎日新聞 2015年10月01日 23時09分

 政府による集団的自衛権行使容認のための憲法9条の解釈変更を巡り、内閣法制局が検討の過程を公文書に残していなかった問題が波紋を広げている。公的機関の情報公開を監視するNPO法人が法制局に、文書作成実態の点検などを文書で要望。ネット上でも「歴史の検証に耐えられない議論をしていたということか」などと批判が出ている。【日下部聡、樋岡徹也】

 ◇NPO法人が要望書

 法制局によると、憲法解釈変更を巡り昨年6月30日、行使容認の閣議決定案文を検討のために内閣官房から受領。閣議決定当日の翌7月1日、法制局の担当参事官が「意見はない」と電話で伝えた。

 法制局はこの過程を公文書として記録せず、公文書管理法の趣旨に反しているとの批判が出ている。

 だが、法制局は取材に「必要に応じて記録を残す場合もあれば、残さない場合もある。今回は必要なかったということ」とし、菅義偉官房長官も記者会見で「法制局は適正に文書を保有している」と述べた。

 これに対し、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京)は、横畠裕介内閣法制局長官宛てに9月30日付の要望書を郵送。その中で「公文書管理法の趣旨を理解せず、適正な法の執行から逸脱している。市民の知る権利を侵害する」などと懸念を表明した。

 三木由希子理事長は取材に「何の文書を最低限作るかということをしっかり検討してもらいたい。作成すべき文書が適切に作られているかも点検し、その結果を公表してほしい」と語った。法制局を巡る一連の経緯はネット上でも議論を呼び、ツイッター上では「先進国といわれる国の出来事とは思えない」「記録がないと国が健忘症に陥ってしまう」などとつぶやかれている。

最新写真特集