このままでは総選挙を戦えない
今、突然、あちこちのアンケートで、メルケル首相(CDU・キリスト教民主同盟)の人気が落っこちている。
メルケル人気は、ここ数年、破竹の勢いだった。SPD(ドイツ社民党)の政治家、あるいは支持者の間でも、彼女が首相である事には異議なしという人は多かった。
その証拠に、今年7月、シュレスヴィヒ−ホルシュタイン州の州知事(SPD)が、「2017年の総選挙にSPDがメルケル氏に対抗馬を立てても無駄なのでやめてはどうか」と言いだし、党内の顰蹙を買うという一幕もあった。「戦わずして白旗とは何事か」と。
ともかく、施政11年目に入った首相の座は、それほどまでに安泰。メルケル氏は8月初め、非公式にではあるが、4選目の出馬も匂わせていた。
ところが、このたびの人気の急落だ。アンケートでは、ひとっ飛びに3位、もしくは4位にまで下がっている。かなり衝撃的だ。このままではCDUは総選挙を戦えない。党の幹部は大慌てだろう。
思いがけない人気急降下の原因は難民問題だ。
メルケル首相が、ハンガリーにいる難民をダブリン協定を無視して大量にドイツへ移送させていること、さらに、「政治難民の受け入れに上限はない」と豪語し、無制限の受け入れを促したことに対して、とくにメルケル氏自身が所属するCDUと、その姉妹党CSU(キリスト教社会同盟)の中で批判が膨れてきている。
さらに、このたびのアンケートの結果では、国民の間でも批判が増していることが明らかになった。
ドイツでは、すでに今年になって、極右グループによる難民収容施設への放火事件が相次いでおり(300件以上)、国民は、現在の難民政策が、このような極右勢力の台頭を促してしまったことも含めて、異議を申し立てているのだろう。
また、メルケル氏の変則的な難民政策のおかげで大変な迷惑を被っているEUの他の国々でも、批判が増していることは言うまでもない。EU、およびドイツの難民問題の混乱に関しては、『正論』11月号で詳しく書いたので、お読みいただければ幸いだ。
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