(2015年10月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
インドのナレンドラ・モディ首相ほど大勢の群衆を引き寄せられる指導者はいない〔AFPBB News〕
広報の面から見れば、ナレンドラ・モディ氏による「デジタル・インディア*1」のキャンペーンはダントツに優れている。国のトップといえども、国内で2万人以上の聴衆を集められる人はほとんどいない。国外であればなおさらだ。ところがインドのモディ首相は9月28日、米国シリコンバレーのサンノゼ市にあるSAPセンターに1万8000人もの人々を集めてみせた。
モディ氏は11月にロンドンのウェンブリー・スタジアムでも講演する予定で、当局は7万5000人の来場を見込んでいる。
昨年、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンに姿を見せた時には、往年のビートルズ・ファンを思わせる熱狂的な聴衆が詰めかけてニューヨークのミッドタウンが機能停止に陥った。
片や先週訪米した中国の習近平国家主席は、ワシントンに向かう道中で、米国に住む同胞が沿道に出て礼儀正しく小旗を振ってくれるだけでよしとせざるを得なかった。
中国に大きな差をつけるインド人の活躍
とはいえ、国家の指導者はフェイスブックの「いいね」の数で格付けされるわけではない。また、習近平氏やローマ法王フランシスコの訪問とは異なり、モディ氏の訪米の目的はほとんど商業にあった。
「デジタル・インディア」とともに推進されている「メーク・イン・インディア(インドでモノを作ろう)」のキャンペーンは、中国で何百万人もの雇用を生み出してきた製造業への大規模な投資をインドで再現することを目指している。この点において、モディ氏の見事なマーケティングは諸刃の剣になっている。
米国企業に著名な中国人幹部がいるというケースはほとんどないが、シリコンバレーやウォール街の企業の取締役会には、サクセスストーリーを体現したインド人がたくさんいる。
*1=インド国内のデジタル・インフラの充実、行政サービスのデジタル化などを目指す政策