今年度、所属している5年生チームのキャプテンを務めている長男・とん吉。とん吉を知っている人なら、「えぇっ!あのとん吉くんが!」と思うはず。人前で話すのはお断りできるものなら、ぜひお断りしたいタイプだし、大声はりあげて指示を出したりするタイプでもない。キャプテンなんてまったく向いてないと、本人が言ってるくらいだから、相当自覚があるんだと思う。
「今年のキャプテンは成長させたい人を指名する」と前置きした上でとん吉がキャプテンに指名されたと聞いたとき、気持ちはわかるけど人には向き不向きっていうものがあるってばーと思った。そもそもキャプテンというようなポジションが苦手と思ってるタイプの子を、うまくサポートしたり声かけしたりして育成する気があるようには全くみえなかったので、「でたー丸投げー」と思ったし、期待のあらわれだとか、いい体験だとか、ポジティブにとらえればそうだけど、たぶん本人にとっては迷惑な話だったろうと思う。
リーダーは向いている人がやればいい
そもそもチームキャプテンがどんなことをするかっていうと、
- 練習前後の挨拶を取り仕切る
- 対外試合の挨拶を取り仕切る
- 試合時のコイントス
- 円陣を組んだときの声かけ
業務的にはこのくらいだと思う。これだけなら特にむずかしいことではないし、なんなら交代制でもいいくらいの内容なんだけど、もちろんそれだけじゃない。
チームキャプテンには、「リーダーらしくチームのみんなをまとめる」とか「積極的に声をかけてチームの士気を高める」というような、みんなが理想とするリーダー像に近い言動が求められている。子どもたちからというより、コーチや親から。実はこれが一番やっかい。
とん吉は先述のとおり、そういうタイプじゃない。そういう風に決めつけるのもどうだろうと、自分でも思うけど、でも本当にそういうタイプじゃないんだよ。チーム内に適任の子がいないというのなら、まだ話はわかるのだけど、ものすごく向いている子がいるのに、なぜとん吉なんだろう?リーダーに向いている子がキャプテンをやればいいのに。ずっとそう思ってた。
元キャプテンに助けられる現キャプテン
実際にどんな風にキャプテンをやっているかっていうと…業務はもちろんちゃんとこなしているけど、リーダーらしくチームをまとめている風でもなく、試合中にチームメイトの士気を高めるような声かけをしている風でもない。いつもとたいして変わらない感じ。ほんの少し変わったかなと思うことがあるとすれば、対外試合のときに堂々と振る舞えるようになってきたってことくらい?
ここで、とん吉のキャプテンぶりがよく分かるエピソードを一つ。てんでばらばらに散って遊んだり、練習したりしているチームメイトに集合をかけるときのこと。とん吉なりに大きな声で「しゅうごーーう!」と声をかけるのだけど、いまひとつ迫力にかけるのか、聞こえないのか、集まりが悪いということがあった。そのときに、去年キャプテンを務めていた子が「キャプテンが集合っていってるよ!!!」と声をかけてくれた。おかげで無事に集合し、時間どおりに出発することができた。
ね?こんな感じなんです。すごくがんばっていると思う。でも決して向いては…いない。
リーダーシップ体験を一つ一つ積み重ねること
そんなある日、ちきりんさんのブログの過去記事でこんな記事を読んだ。
この記事を読んでハッとした。そういうことか!と思った。リーダーシップがどうこうという話になると、深く考えもせずに「リーダーシップをとれる一握りの優秀な人の話でしょ」という気持ちになってしまってた。でも、ちきりんさんのこの記事を読んで、そうじゃないんだなと思った。
とん吉にあてはめて考えてみると、とん吉はたしかにキャプテン(リーダー)としてのスキルは足りていないかもしれない。でも経験値は確実に1増えた。もともとキャプテンシーを持ち合わせている子に比べれば、亀の歩みかもしれない。でも、次にもし同じようなリーダーをつとめるときには、今よりもう少し上手にまとめられるかもしれないってことだよね。
大事なのは、リーダーシップを身につけて個人的に成長することだけでなく、チームのためにその経験を生かすことなんだろうなと思う。
人はリーダーシップ体験を積むことにより、「高い成果を出せるチームの構成員」になれるのです。そのために、全員にリーダーシップ体験が必要なんです。
上記の例でAさんは、リーダーとしてはスキル不足だったかもしれません。それでも彼がその経験から得たモノは、彼の「チームメンバーとしてのパフォーマンス」を大きく向上させます。
元キャプテンの子が現キャプテンのとん吉を助けてくれたエピソードなんて、これそのものじゃないか!元キャプテンの子は、ちゃんとチームメンバーとしてのパフォーマンスを向上させ、現キャプテンを助けてくれている。…涙がでそうよ、お母さん。
ちきりんさんの記事のおかげで、ようやくいただいたチャンスの意味が分かった。危うく愚痴ばかり言って1年を過ごしてしまうところだった。見守る側の心構えとしても、このことを知ることができて本当によかったなぁと思ってる。
まとめ
最近、とん吉にはこんな風に声をかけている。
チームのみんながしてくれることで助かったこと、感謝したこと、こうしてくれたらいいなぁと思ったことをよく覚えておこう。そして次はそれを自分がやってみようね。
残り半年のキャプテン期間を、有意義に過ごしてもらえたらいいなぁと母は願っております。
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