上場に向けた株式会社はてなが管理するコミュニティで、ある種のジェントリフィケーションが進むことについて、久しぶりに狼煙が上がっているのを見た。
思うに、昔を嘆いても、現在進行中の現象は止まらない。去った恋人が自分に再び振り向いてくれるまで待っていても、報われない。心をなくした人たちが心を取り戻すことを期待していても、その日は訪れない。
ならば、いっそのこと、株式会社はてなが管理するサービスとコミュニティを去り、別のところへ自分のデジタル資産を蓄積していこうという動きがあってもおかしくはないのではないか。
そのように考え、私は以前から使っているアカウントで、ソーシャルブックマークという資産の蓄積を、はてなブックマーク上で行わないことにした。
具体的には、Pocketへ移行した。
移行はそれほど難しくはなかった。
まず、はてなブックマークの設定画面で「データ管理」のタブをクリックし、ブックマークデータをエクスポートする。
次に、アカウントを作っておいたPocketへ、はてなブックマークのデータをインポートする。
ブラウザのはてなブックマーク拡張機能はアンインストールし、Pocketのそれに切り替える。
これだけである。
はてなブックマークのRSSなりトップページなりを見ていて、興味深いエントリがあったとする。それを見て、ブックマークしたくなったときは、ブラウザ上のPocketボタンを押す。
このようにすることで、情報源としてはてなブックマークを利用することはあっても、自分ではてなブックマークに「1ブクマ」追加することはなくなり、はてなのサーバー上に自分のブックマークを保存せず、さらに、当該エントリのはてブ数を増やすことによってはてなブックマークに向けるユーザーの注意を増やすことに加担せずに済む。
このようにする人がひとりずつ増えることによって、理論上は、はてなブックマークは少しずつ過疎化してゆくだろう。
はてなブックマークとPocketのユーザーインターフェイスは設計思想がまったく異なり、後者のほうがシンプルにできている。
そのため、Pocketではブックマークをあとから検索するのに不便ではないかと危惧していたが、使い始めて1ヵ月経った現在、とくに不便は感じていない。