猫のしっぽ カエルの手・選「秋の光」 2015.09.27


山里はようやく猛暑から解放された。
柔らかな日ざしに包まれた初秋の京都大原。
ほっとする季節の訪れに稲雀は喜び人は和む。
ベニシアさんが暮らす築100年の古民家。
ここでは庭に咲く花やハーブが秋の訪れを教えてくれる。
朝いつものようにキッチンに立つベニシアさん。
息子のために朝食の準備。
これ消します。
でこれ入れます。
一番必要なものはエッグタイム。
これエッグタイムって言うの。
日本で砂時計?向こうは卵のためのタイム。
これをこうします。
その間に…。
熱湯で3分半ゆでる。
ちょっと軟らかめの半熟卵。
これフィンガーを作るの。
指の形にトーストをカットする。
イギリスでは定番の朝食。
ボイルドエッグとトーストフィンガー。
夏休みを終え本格的に受験勉強が忙しい息子の悠仁くん。
まだ眠い。
きょうは遅い帰り?うん。
きょう予備校。
予備校行く?細長いトーストを卵につけて食べる。
うん。
おいしい。
おいしい?お母さん初めて日本に来た時ボイルドエッグ食べたいからまず喫茶店に入ってね…。
頼んだん?うん。
「モーニングサービス欲しいですか?」って聞かれてモーニングサービスは英語で「教会へ行く」こと。
うん。
え!ここは教会かなと思って。
フフフ。
「モーニングサービス。
どこにあるの?」って思って。
モーニングサービスはもしかして日本で違う意味?ほんでモーニングサービスのメニューを見せてくれて。
そこでボイルドエッグって書いてあったから。
フフフ。
なんか笑えたあの時。
きょう一日家族みんなが健やかに過ごせますように。
秋に咲くハーブの球根を植える。
朝のうちに涼しいテラスで一仕事。
コンポストと土混ぜてみましたね。
これはサフランの球根です。
ちょうど8月9月に植えるもの。
花もきれいだし毎年できたら植えたいと思ってます。
この球根の高さの2倍を土。
その上に。
サフランの球根を堆肥の混ざった土の上に並べる。
球根の2個分の深さに埋めてあげるのは花の付きが良くなるから。
サフランすごく体に良いから。
スペインでサフランがたくさん作れるけどあとアジアインドとか。
インドのカレーはサフラン入れてる。
染めることもできるしねサフランで。
料理の色づけや風味づけに使うサフラン。
花が咲いたらその雌しべをハーブにする。
11月には収穫できるはず。
またひとつ待つ楽しみができた。
ベリーとステビアのジャムを作る。
砂糖が入ってないジャムを作りたいと思ってます。
なぜか今年ステビアがたくさん出来たからどこまで甘さをあげるか研究したいと思って。
材料はステビア10メートルぐらい。
足りなかったらちょっとハチミツも入れようかなぁ。
あとはベリー。
この辺は桑のベリーとスグリとグーズベリー。
このちょっとグリーンのやつ。
今年私のブルーベリーサルが全部食べましたから。
それちょっと残念だったけどでも友達昨日持ってきてくれて。
まずお茶ですね。
そしてこれはローズヒップティー。
結構濃く…。
ビタミンミネラルが豊富なローズヒップを加えるのがベニシア流。
濃いめのお茶を作っておく。
このお茶の中にステビア入れるね。
茎も甘さがあるから全部入れます。
ステビアは秋になると甘さが一番強い時期でちょっと不思議ですけど。
で大体15〜20分置いといて。
今度ジャム。
ベリーは夏に少しずつ収穫して冷凍しておいた。
鍋に入れ火にかける。
最初ちょっと潰さないとあかんね。
ベリーが煮たって溶けてきたらローズヒップティーを加える。
小皿に取り分けとろみを出すためにペクチンを溶かす。
少しずつ鍋に加える。
甘さがちょっと心配。
どのくらいステビアが甘くしてくれた。
ちょっと味どのくらい甘い?うん。
ちょっと酸っぱい。
でもめちゃくちゃ酸っぱいじゃない。
ちょっとハチミツ入れます。
酸味を少し抑えるハチミツはお好みで。
ハチミツもステビアも自然の甘味料だから安心して使える。
もういいかなぁ。
うんバッチリ!すごい!ジャムが熱いうちに煮沸消毒した瓶へ。
ステビアの自然の甘さとベリーの程よい酸味の。
ベニシアさん満足の一品。
ベニシアさんきょうは町へ買い物に出る。
秋のさわやかな風に誘われるように向かったのは…。
京都市の中心部三条。
30年前京都にやってきたベニシアさん。
この昔ながらの町をブラブラするのが楽しみ。
あ!こんにちは。
おいでやす。
なんか久しぶりです。
いつもありがとうございます。
ここはたわしやほうきなど掃除道具を扱っている。
天然素材を材料に職人が手作りしたものが並ぶ。
これ値段みんな一緒?みんな一緒です。
でも全部手で職人が作りますので。
あの…機械と違うのでねちょっと太めとかお持ちになる竹の太さはどうでしょうかね?あんまり太くない方がいいですか?こっちの方が持ちやすいかな。
これ重いですね。
アハハハハ…。
アハハちょっと重いですね。
だからこれ2〜3年大丈夫よね。
そうですそうです。
これが欲しい。
はい。
ここのお店どのくらい古いの?1818ですね。
1818年です。
200年ちょっとならないんです。
代々作って続けていかないとっていうのが自分が当主になったら思いますので頑張って。
また息子が「する」言いますので。
お客さんもそうじゃない?同じ人が買いにくるというのが…。
そうですそうです。
人の手で作られた家を人の手で作った道具で守っていく。
次にベニシアさんが向かったのは創業300年の老舗。
ここは和雑貨をそろえている。
和紙で作られた小物や匂い袋など見ているだけでも楽しくなる。
この香り嗅いでみる。
これは何ですか?はい。
こちら香木を使った和の香りの匂い袋になってまして香り自体を楽しむ文化は1千年前ほどから伝わってます。
そのブレンドはずっと誰か覚えて…。
はい。
平安時代から伝わっていたものを受け継いで。
それを日本で作ってるのね。
日本独自の香りになっております。
たおやかな日本の香りを愛するベニシアさん。
どれにしようか。
こちら「菊花」というものになります。
季節に香りはないんですけれどもこちらを炊いて頂くと本当に秋をイメージする香りが漂ってまいります。
これを頂きます。
秋の香りを手に入れた。
もう一軒お気に入りのお店に立ち寄る。
いらっしゃいませ!こんにちは!こんにちは。
ご無沙汰しています。
迎えてくれたのは…ありがとうございます。
新しいのにどこか懐かしい梶村さんの作品。
ベニシアさんは一目惚れした。
ここ初めて来た時は3〜4年前ですけど。
はいはい。
この辺を歩いたら変わった店があると思って入ったの。
なんかデザイン的に…。
こっちは結構日本的なデザインでしょ。
デザイン自体は日本のちょっと古い時代の花鳥風月というああいう画が僕も好きだからそれを取り込んでいるんですけど。
これすごいですね。
これ作ったんですか?作りました。
すごい時間かかったんじゃない?1か月ぐらいかかりました。
きれい!初めてこういう大きい作品に挑戦したんですけどね。
自分でも今でもよう出来たなと思って。
このデザインも自分で描いて?やりました。
やりました。
すごい。
センスっていうかなんって言うか…アーティストよやっぱり。
へぇ〜。
光の見えることが美しくなることよね。
ガラスは「お神酒徳利」って言うんですか「仲良し」だよね。
光があってガラスがある。
ガラスがあって光がある。
そういう感じですから光を受けると全然…ガラスならではの美しさというかなぁ。
この鳥もかわいいし。
鳥ね。
ベニシアさん鳥お好きやからね。
先日ベニシアさんダイニングのランプシェードを梶村さんにオーダーした。
はいはいお待たせしました。
きょうはそのデザイン画を見せてもらう。
これはグラス?はい。
デザインしましたんで。
どうぞ一遍見て下さい。
いやぁかわいい。
きれい。
ベニシアさんが鳥と蝶々が好きだからということを聞いたから自分でば〜っとイメージを膨らませて。
私ホント庭の中に鳥見たら毎回感動するの。
あ〜そう。
蝶々が来たらもっと感動するの。
この羽の感じやら出るかちょっといろいろ思案しながらやってみようかなと思ったんですけどね。
すごいすてきこれ。
この図案をガラスに彫ってもらう。
梶村さんの店にはガラスを彫刻する工房がある。
今作っているのはガラスの行灯。
梶村さんが自らデザインした下絵をガラスの板に貼っていく。
トンボをイメージしまして。
この画壇さんの始めてからいまだに続けて作らしてもおてるからでして。
イメージにぴったり合うように何回も線を描き直してそれを20回30回40回描く時もあると思うんですけど。
それでようやく自分のこなれた線こなれたその風合いとかそのトンボやったらシッポぷっと上がってるところとか下がってるとかそこまで細かく意識してこれならいいだろうというとこまで突き詰めてそれは僕大変しんどいんだけども非常に楽しい時間でしてできるかぎり自分で考えてやっております。
「しんどいけれど楽しい」。
梶村さんが仕事についてそう語るには理由がある。
幼い頃実家はガラス屋を営んでいてキラキラ光るガラスが好きだった。
けれども梶村さんが家を継ぐ頃には土産物屋に転向。
場所柄順調だった商いはやがて不況のあおりを受け傾き始めた。
世の中絶対ってことはなくてやっぱり時代の変遷と共にすごく環境変わりましたしこの際何か思い切って転換というんですかね。
もしあの場面で決心してなかったらおそらくもうチャンスはなかったかもわからんしぎりぎりの選択ということもありますけれどもちょうど満50歳でした。
ちょうど50でした。
その時あのキラキラ光るガラスを思い出した。
そして少年時代夢中になっていた絵を描くことの楽しさこの2つを組み合わせてものづくりをしてみたい。
ガラスに自分の絵を彫刻してみよう。
そう思った。
50歳の時梶村さんはその技術を持つ職人のもとへ弟子入りをし5年間の修業をした。
習得したのはサンドブラストという技だ。
ノズルから出る砂がガラスを研磨し表面に凹凸を付けていく。
左手は砂を吹きつける圧力の操作。
これが彫りの深さを決める。
最初は彫りすぎてガラスに穴を開けてしまったこともあった。
今では彫りの具合を指の感触で決めることができる。
砂を当てている時間や当て方の角度で仕上がりが全く違うという。
この技術を自分のものにし店が軌道に乗ったのは60歳の頃。
それから今まで7年間手を抜かずに一生懸命作ってきた。
オッケー。
出来ましたよかったよかった。
色づけは粉末の塗料をガラスに塗り込む。
色を塗り重ねる時ガラス板に光を当てて何度も何度も確認をする梶村さん。
やっと出会った一生の仕事。
だからこそしんどいけれど楽しい。
1回より2回2回よりも3回というふうに重ねて塗っていくほうが色はきれいに出ますし光が通った時に全然違ういい具合なんですね。
これは苦しいんですけどねでもここが一番の…きれいに上がるか上がらんか自分の納得いくかいかんかの一番の今分岐点なんですよ。
トンボがねうまく飛んでくれればいいなぁというそういう感じでしょうね。
行灯に光をともすと柔らかくてどこか懐かしいトンボの柄が浮かび上がる。
ガラスというのはやっぱり光とのかみ合いで美しくなるものですからそういう素材ですからそれをお客様が見て頂いて「いいのが出来たわね」とそういうふうにおっしゃってくれはる。
「あ〜良かったな」と。
その瞬間が一番100パーセントいいですね。
「自分は職人だから自己満足では駄目」と梶村さんは言う。
こんにちはママ。
ご無沙汰しております。
(女将)お元気でしたか?おかげさんで。
ボチボチ頑張ってます。
ご無沙汰しておりまして。
何言うておりやす。
いつもご贔屓になってありがとうございます。
このお店は3年前にガラス行灯を納めてからのおつきあい。
以来季節の変わり目には新しい絵柄を作って差し替えに来てほしいと頼まれている。
無事交換できました。
ありがとうございます。
川口さん無事付け替え終わりまして。
(女将)やっぱりきれいですね。
ガラス1つでもきちっと見てくれる人が多いものですからやっぱりこうやって飾りが上がりますね。
「おもてなしの心」がやっぱりお客様に通じてる感じでうれしいかぎりです。
斬新なのがあったらまた見せて下さいね。
あそうですか。
庭の片隅ひっそりと灯る光が見る人の心を癒やしてくれる。
この家でも梶村さんを待ちわびている人がいる。
やっと出来ました。
楽しみやな。
結構箱が大きい。
うん。
大事な娘を嫁にやる感じ。
うん。
わ〜きれい!すごい!すごいきれい。
きゃ〜すごい。
う〜ん。
わ〜すごい!きょうの秋の空。
真っ青な空ね。
うん。
イメージどおりです。
うん。
下に雲がサーっとあって。
あ…。
世界に1つの電気傘だと思って大事にして下さい。
なんか白のコントラストだけですごくオシャレを感じるよね。
色はある意味でいらないよね。
この感じだったら。
うんうん僕もそう思うんですよ。
早速光を入れてみる。
あ…きれい。
アハハハハ…。
楽しい楽しい。
良かった。
ブラボーって感じだね。
あ〜ブラボーね。
ブラボー!わ〜。
うん。
ありがとう。
いえいえいえ。
ガラスの良さが出てるなぁというかこれ以外のものないんとちゃうかと思ったりもするんですけどね。
いい線いってる?アハハハ…というふうにまぁあんまり自画自賛してもいかんので。
この部屋にすごくあってるね。
うんうんうん。
ここの家夕方になると電気全部つけるんじゃなくてよく雰囲気が出るランプをつけてほんでリラックスする。
それだけでなんか楽しくできるのね。
薄暗い古民家に広がる柔らかな光。
影があるからこそ光は引き立つ。
ベニシアさんは言う。
秋の夜長。
お香をたいた。
ベニシアさん刺し子に初めて挑戦している。
手を使うのは大事ですからね。
こういう事は少し時間があったらチャレンジしなきゃ。
チャレンジの満足みたいなもんあるし。
満たされるっていう感じやね。
刺しゅう私子どもの時あんまりじょうずじゃなかったけどこれは私でも出来るっていう感じ。
満ち足りた時間無心になって針を進めていく。
2015/09/27(日) 18:00〜18:30
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手・選「秋の光」[字]

稲穂が黄金色に染まる京都・大原。ベニシアさん、イギリス定番の朝食を作る。秋咲きのサフランの球根を植え、ハーブのステビアを砂糖代わりに使ってベリーのジャムを作る。

詳細情報
番組内容
稲穂が黄金色に染まる京都・大原。ベニシアさんは、イギリス定番の朝食、ボイルドエッグとトーストフィンガーを作る。秋咲きのサフランの球根を植える。たくさん採れたハーブのステビアを砂糖代わりに使い、ベリーのジャムを作る。京都市内にガラス工芸職人・梶村秀男さんの店を訪ねる。実はベネシアさんは、ダイニングに取り付ける新しいランプシェードを注文していた。出来上がったランプシェードを見て、ベニシアさんは大感激。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

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