これでわかった!世界のいま▽米中会談・両首脳笑顔の裏では…水面下の攻防に迫る! 2015.09.27


粗相のないように。
オバマ大統領が出迎えたのは、国賓の中国・習近平国家主席です。
最近の中国といえば。
南シナ海に滑走路をつくったり、日本の領海に侵入したり、もうやりたい放題。
アメリカでも。
トゥキディデスのわな?よく分かんないこと言ってるし。
オバマ大統領、ニコニコしてるけど、習主席にびしっと言ってくれたの?こんばんは。
これでわかった!世界のいまです。
今夜のゲストは春香クリスティーンさんです。
よろしくお願いします。
きょうの時間割りです。
2時間目にはスイス出身の春香さんおすすめがありますね。
1時間目のこちら、読めますか?べいちゅうどうしゅうですね。
きょうのキーワードです。
最近、何かと対立しているアメリカと中国ですが25日にオバマ大統領と習近平国家主席が首脳会談を行いました。
共同会見でこう述べたオバマ大統領。
ただ、これに先立つ首脳会談では米中両国の課題を2時間にわたって話し合いました。
アメリカの政府機関や企業に対するサイバー攻撃の対策については。
そして東シナ海や南シナ海での中国の海洋進出については。
中国はこれまでの主張を繰り返し双方の立場は平行線のままでした。
今回の訪米で目立ったのは、アメリカの手厚い歓迎ぶりでした。
外交儀礼上、最も格の高い国賓としての招待。
前回の安倍総理大臣のときの公式訪問より上にあたります。
民間企業も。
満面の笑顔で恭しく出迎えました。
アップルのCEOティム・クック氏。
フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグ氏。
マイクロソフトの創業者ビル・ゲイツ氏までこの笑顔。
アメリカと中国。
その距離は縮まったのでしょうか。
みんなが気を遣っている感じが伝わります。
日本よりも中国のほうが大事なんでしょうか、アメリカにとっては。
きょうの先生はこの人です。
聞いていきましょう。
国際部アメリカ担当の油井デスクです。
名札がかわいいですね。
なぜ付けているのか後で分かると思います。
アメリカにとって日本よりも中国のほうが大事なのでしょうか。
大事というよりも、中国とどうつきあうかというのがアメリカにとって今、最大の課題なんです。
軍事的にも経済的にも力をつけている中国と向き合ううえで同盟国日本の重要性は変わっていません。
むしろ、アメリカ一国では対応できないですから日本の重要性は高まっていると言えるかもしれません。
日本の安倍首相よりも国賓扱いでしたよね。
習近平国家主席は国賓扱いだったんですね。
確かに国賓というのは対象が国家元首なんです。
日本の場合は天皇陛下です。
安倍総理大臣がことし4月に訪米したときも扱いは国賓級だったので対応はほぼ一緒と考えていいと思います。
ただ習近平国家主席の国賓扱いについては、アメリカ国内で反対が強かったんです。
野党共和党を中心に海洋進出や人権問題、こうした問題に対して中国の横暴なふるまいが目立つことから国賓待遇はやめるべきだという声があったんです。
これに対して中国はメンツの国ですから国賓待遇にこだわったんです。
特に習近平氏は国家主席になってから国賓という扱いで訪米したことがなかったのでなおさらでした。
さらに中国は驚いたことに同じ時期に訪米するローマ法王の日程変更までアメリカ側に要求したとも伝えられています。
そんなことが言えるんですか。
言っていいんでしょうか。
実際に言ったと伝えられていますが、アメリカ国民やメディアの関心がローマ法王に集まり習主席の存在が薄くなることを懸念したのではないかとみられています。
どうなったかといいますと、結局ローマ法王は予定どおりアメリカを訪問しました。
ワシントンやニューヨークを訪れ熱烈な歓迎を受けました。
アメリカのメディアのニュースは、習主席がアメリカに到着したあとも連日ローマ法王のことを伝えていました。
中国の思いどおりにはすべてはならなかったんですね。
オバマ政権は、中国が求めたローマ法王の日程変更については応じませんでしたが、一方で国賓待遇としては中国の要望どおりに主席を出迎えたのです。
反対があったにもかかわらず国賓扱いにした、春香さんなぜだと思いますか。
私もアメリカのニュースを見ていましたがローマ法王が飛行機で離陸するところから生中継で放送されていました。
国賓扱いというのはお金が絡んでいるんでしょうか。
そのとおりです。
米中の密接な経済関係がその背景にあるんです。
アメリカと中国の関係は片手で握手、片手でこん棒の関係と言われています。
一方で協調し、一方で対立するという関係が近年続いているんです。
この握手というのが主に経済関係です。
アメリカにとって中国との経済関係は極めて重要です。
アメリカの国債を大量に買ってもらっていますし貿易や投資も急速に増えていましてアメリカと中国は経済で相互に依存している関係なんです。
いわば、運命共同体で前のクリントン国務長官はこのように表現しました。
アメリカと中国は、今や同じ舟に乗っている。
このように述べまして互いに協力して同じ方向に進まなければならないと中国側に呼びかけたんです。
ただしアメリカは、中国が求める方角や目的地には進みたくはありません。
船頭は、あくまでもアメリカが務めアメリカの目的地に向かって中国を従わせたいと考えています。
そのためには、アメリカはこのこん棒が必要だと感じているんです。
このこん棒というのは軍事力です。
中国も最近は立派なこん棒を持つようになりました。
自分のこん棒を振り回して中国が自国の利益だけを追求して自分の求める方角に舟をこがないようにアメリカも、こん棒を持って警戒しているという構図です。
もし中国が自分のこん棒をアメリカに対して挑戦するそんな気持ちを持ちだしたらどうなるんでしょうか。
それは私が説明しましょう。
奥谷さんですね。
改めまして国際部中国担当の奥谷デスクです。
先生が2人ですか。
中国がアメリカにこん棒で挑戦する。
実は、習主席は首脳会談の前に西海岸のシアトルで演説をしました。
その中でこんなふうに言いました。
アメリカと中国は、対抗しない、衝突しない、そして互いに尊重する。
そのあとにぽろっとこう言ったんです。
トゥキディデスのわなはない。
トゥキディデスのわなというのは何ですか。
古代ギリシャの歴史家です。
今、米中の外交の専門家の間で流行語のようによく使われるようになっていることばです。
ヨーソロー。
千里子トゥキディデスのわな、知らないのか。
国際政治や外交の専門家ならよく知っていることばです。
春香ちゃんにも教えてあげよう。
これは、奥深い話なんだ。
昔々、紀元前5世紀のギリシャ。
スパルタって国が超強かったんだ。
そこに、アテネって国が力を伸ばしてきた。
するとお互い意識し始めちゃって。
スパルタとアテネが戦争を始めた。
結局、どっちの国も滅びちゃったんだ。
歴史家トゥキディデスはこのことを急速に力をつけてきた国ともともと大きな国はぶつかり合うって本に書いた。
トゥキディデスの分析は後の研究者たちによってトゥキディデスのわなって言われるようになったんだ。
実際。
今から500年さかのぼるとこうした危機は16回あってそのうち12回は戦争が起きたらしいんだ。
びっくりだろ。
第1次世界大戦では、時の大国イギリスにドイツが挑んだってこともあったよな。
歴史は繰り返すっていうけどトゥキディデスのわなから逃れられるのか、アメリカと中国は。
習主席はトゥキディデスのわなはない。
このわなは避けられる。
でも中国をアメリカが信用せずに警戒ばかりしていると本当にわなに陥るぞと言っています。
だからこそ新型大国関係、これを受け入れろというふうにアメリカに言っています。
アメリカは受け入れるんでしょうか。
アメリカは中国が言う新型大国関係というのは中国の利益を尊重してもらい、米中と世界を牛耳る世界観です。
受け入れるのは難しいと思います。
ただアメリカも当然、戦争は起こしたくありません。
今や一緒に経済が一体化して一緒に舟に乗っている仲ですから、だからこそアメリカはみずからが船頭になって中国が言う新型大国関係というよりもアメリカの求める方角に中国を導きたいと考えています。
それは何かといいますと今の国際秩序に中国を組み入れて国際ルールを守ってほしい、また自由や民主主義、それに人権といった価値観も尊重してほしいと考えています。
ところが中国はこれまでの国際秩序やルールに挑戦する動きを見せています。
例えば海洋進出です。
南シナ海の埋め立てや尖閣諸島での日本の領海への侵入など力によって現状を一方的に変更する行動を続けています。
さらに自由や人権といった価値観でも中国国内では弁護士や人権活動家が不当に拘束されるなど尊重されていないんです。
中国が責任ある大国として認められたいのであれば少なくとも国際秩序と人権くらいは守るべきではないかとアメリカは考えています。
このように火種は数多くあります。
このように対立の火種は存在していまして、アメリカから見てもトゥキディデスのわなというのは現実味のある話なんです。
受け入れるつもりがない中で会談をしたというのは意味があるんですか。
対立の火種を少しでも消すためには、対話や交流というのは極めて重要なんです。
油井デスクの言うとおりです。
中国としてもこん棒で殴り合うかというと準備はしていますが、本当にやるつもりはないわけです。
どちらかというと中国は大きくなっていく。
ですからその大きくなった中国に慣れてほしいという考えなんです。
ですから新型大国関係を受け入れてほしいということなんです。
ですが譲れないものは譲れない、だからこん棒は隠さないんです。
人権を守れない、そんな国が大国になっても世界を乱してしまいますね。
今回の会談でも1つ大きな課題になりました。
サイバー攻撃について両デスクはどうお考えですか。
今回の首脳会談で大きな問題となったのがサイバー攻撃による産業スパイです。
企業のコンピューターを攻撃して企業の秘密を盗み出す行為です。
アメリカは中国が頻繁にアメリカの企業を狙ってサイバー攻撃を行っていると非難してきました。
例えばこちらです。
上はアメリカの次世代戦闘機F35です。
こちらは中国の次世代戦闘機殲31、似ていませんか。
似ていますね。
アメリカは、サイバー攻撃でアメリカの防衛企業からF35の情報が盗まれたとみています。
アメリカの防衛企業が作っている戦闘機なので。
偶然ではないんですか。
それは分かりません。
これ以外でも結構多くのものが盗まれているのではないかとアメリカは危機感を抱いています。
産業スパイは怖いですね。
ちょっと待ってください。
中国の立場からするとアメリカも中国に同じようなことをしているではないかということなんです。
中国はアメリカみたいにこんな被害に遭いましたというのは発表しません。
その理由は発表してしまうと、こんなことに気付いている、こんなことには気付いていないという手の内を見せてしまうからだと考えられます。
中国はハッキングの被害国だと言っています。
もしかするとアメリカがいろいろ調べているというのを分かっているのかもしれません。
実際にCIAの元職員スノーデンという人の事件がありました。
あの人は、アメリカ政府が中国の通信企業に対してハッキングを行ったということを暴露しました。
サイバー攻撃、今回の会談ではどうなったんですか。
今回、オバマ大統領は米中両国政府は、サイバー攻撃で企業の機密を盗み取る行為はしないと発表しました。
アメリカは企業秘密ではなくて政府相手のスパイであればOKあるいは政府関係なく個人としてハッカー行為はOKということなんでしょうか。
そういうふうに聞こえなくもありません。
政府による産業スパイこれはだめですが、それ以外はいいのか、確かにそのように聞こえますね。
サイバーセキュリティーというのは新しい分野ですからまずは合意を足がかりにして今後の対策を強化していきたいということだと思います。
中国というのは、個人のせいにして逃げたりしそうな気がするんですが。
そういう懸念はありますね。
例えば海洋進出も最初に漁船が出ていってそのあとに政府の船が出てくることもかつてはありました。
その辺、アメリカも織り込み済みでしょうか。
アメリカは個人の裏に実は政府がいるのではないかと疑っています。
ですから今回、政府が関与していれば、そういう証拠があれば制裁措置などさらに厳しい対応を取りますと主張しています。
今回の合意は中国政府に圧力を加えるねらいがあります。
まずはこれで様子を見ようという考えなんです。
ではここで両デスクに今回の会談の採点をしてもらいたいと思います。
このハートマークは何ですか。
離れれば離れるほど、この会談に不満足だということです。
これが真ん中にいけば両者満足ということです。
経済はどうでしょうか。
これでいいですね。
はい。
サイバー攻撃はどうでしょうか。
これはちょっと難しいですね。
ある程度の合意はあったのでアメリカからすると一定の効果があったからいいのですが、これから中国の対応が焦点となります。
ですからこの辺ですかね。
中国から見ますと通常軍備でアメリカには負けています。
でもサイバー空間では互角にやっていけるのではないかと思っていますので取締りをことばで約束させられたというのは少し不満があるのではないかと思います。
これはお二人の気持ちではないですよね。
アメリカと中国ですよね。
そうです。
次にいきます。
南シナ海、こちらも難しいですね。
共同記者会見で習近平主席はオバマ大統領の横で南シナ海の島々は古来より中国の領土だと言い切りました。
ですので中国は既成事実を積み重ねていけば、それがいちばんいいと思っています。
ということで僕は満足ではないかなと思います。
これぐらいでしょうか。
アメリカからすると、中国から譲歩を引き出せなかったという点では、かなり不満だと思います。
ただ重要なのはアメリカがどの程度強い口調で、ちゃんとメッセージを中国側に伝えたかということです。
中国がそのメッセージをどう受け止めたのかということを見なくてはいけません。
厳しいことばで、あの場で言えたということは、もう少し近づいてもいいのではないですか。
奥谷さん、納得できましたか?このくらいですね。
いちばん中国が求めていたもの、新型大国関係です。
オバマ大統領は記者会見でひと言も言いませんでした。
平和的で責任ある中国の台頭は歓迎する、このようにしか言いませんでした。
ですので中国は不満なのではないかと思います。
そういう意味で言いますと、アメリカは中国の思惑をはねのけたという意味である程度は満足しているのではないかと思います。
ただ1点、謎があります。
中国外務省の発表がありました。
ホームページに載っているんですが今回の会談の成果として両国は新型大国関係を築くこれに対して努力することで同意したと載っています。
何らかのことばのやり取りがあったのか分析が必要です。
オバマさんは一切言っていないわけですよね。
アメリカは発表していないのでよく分かりません。
記者会見は表面的なもので詳しい中身はしばらくしないとよく分からないんです。
重要なのは、この会談を受けて米中が今後どのような行動を取るのかということです。
日本にはどういう影響がありますか。
アメリカ担当の油井さん、お願いします。
私は海洋進出の問題は非常に深刻だと思います。
アメリカは中国の埋め立てを止める有効な手段を持ち合わせていません。
このままですと中国は南シナ海に拠点を築きアジア太平洋地域の軍事バランスが崩れる可能性が高いです。
日本の安全保障にも大きく影響を及ぼすおそれもあります。
中国が軍備の増強を進め、それに対抗するように周辺国もそしてアメリカもアジア太平洋地域で軍備を増強するという一種の軍拡競争が当面続くことになるのではないかと思います。
そしてアメリカの同盟国である日本も負担を求められることになります。
どうしたら、このアジア太平洋地域の軍拡競争、負の連鎖を断ち切ることができるのか考えなければいけないと思います。
中国はどうでしょうか。
アメリカと中国の関係が複雑であればあるほど日本の重要性というのは増えてきます。
相対的に日本の外交がしっかりしていることが大事です。
米中ともに大事にしてもらえるようにということです。
くっついたのは経済だけでしたね。
ここまで米中首脳会談について油井デスク、奥谷デスクでした。
それでは2時間目です。
音楽の時間です。
ここは春香さんのふるさとスイスです。
最近、注目しているバンドがあるので紹介したいと思います。
これでわかった!世界のいまをご覧の皆さん、こんにちは。
ペガサスです。
こちらはスイス出身の4人組バンド、ペガサスです。
歌うのは全部英語の曲です。
この英語というのがポイントです。
実はスイスの公用語ではないんです。
なぜ英語で歌っているんですか。
それにはスイスならではの理由があるんです。
スイスは、地域によってドイツ語フランス語、イタリア語、そして山岳部に古くから伝わるロマンシュ語の4つの公用語が使われています。
ちなみに私はドイツ語圏出身です。
ですからスイスのアーティストがどの地域からも支持を集めるのはすごく難しいんです。
そこでペガサスの4人が選んだのは英語で歌うことでした。
この曲のアルバムは去年の発売以来、先週まで70週以上連続でチャートイン。
スイスの中にある見えない国境を超えた奇跡なんです。
歌の力はすごいですね。
スイスは経済的には安定している国なんです。
ですがそんな現状に満足して夢を追わない人たちにもっとチャレンジしようよという思いを彼らは込めているそうです。
シンプルなメロディー、そして前向きで力強い歌詞、それがスイス人みんなの心に届きました。
シンプルですがぐっときますね。
目が離せないバンドだと思います。
スイス全体でヒットするというのは難しいものなんですね。
英語の曲のほうがヒットしていますね。
ですので外国の曲を聞く人も多いです。
認知症と診断されてから2015/09/27(日) 18:12〜18:44
NHK総合1・神戸
これでわかった!世界のいま▽米中会談・両首脳笑顔の裏では…水面下の攻防に迫る![字]

約10か月ぶりの米中首脳会談。中国の海洋進出やサイバー攻撃など課題山積の中どんな攻防が繰り広げられたのか。オバマ大統領が笑顔で出迎えた訳は?米中担当記者が分析!

詳細情報
番組内容
【ゲスト】春香クリスティーン,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴
出演者
【ゲスト】春香クリスティーン,【キャスター】坂下千里子,井上裕貴

ジャンル :
ニュース/報道 – 定時・総合
ニュース/報道 – 海外・国際
ニュース/報道 – 解説

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 1/0モード(シングルモノ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:994(0x03E2)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: