ダーウィンが来た!「世界で唯一!サンゴ礁に暮らすアシカ」 2015.09.27


愛きょうたっぷりのアシカ。
水族館の人気者ですよね。
今日の主人公はちょっと変わった場所で暮らしているアシカ。
世界で唯一サンゴ礁の海に住むオーストラリアアシカです。
世界にわずか3,000頭の絶滅危惧種。
暖かなサンゴの海。
アシカたちの楽園…かと思いきや幼い子どもたちには危険がいっぱい。
母親とはぐれた子どもがよその親に投げ飛ばされたりさらに巨大なオス同士のけんかに巻き込まれ子どもが踏みつぶされそうになることも。
お母さんは命がけでわが子を助け出し体を張って守ります。
サンゴの海で命をつなぐ固い絆で結ばれたアシカ親子の物語です。

(テーマ音楽)今日の舞台はオーストラリア大陸の西側。
海岸から数キロの沖合には小さな島がいくつも点在しています。
こうした島の周りでオーストラリアアシカは暮らしています。
早速アシカの姿を探しに行きましょう。
水温は25度。
海底には広大なサンゴ礁が広がっています。
うわ!いきなりのご登場。
オーストラリアアシカです。
好奇心が強く人を見るとこうして集まってくるんだそうです。
こちらはメス。
体長1.5メートル体重は100キロにもなります。
おや?サンゴの上でじっとしています。
今は休憩中。
サンゴのベッドでひと休みなんて何だかぜいたくですね。
世界中に広く分布するアシカの仲間でサンゴ礁の海に暮らすのはこのオーストラリアアシカだけ。
サンゴの海での暮らしぶり詳しく見ていきましょう。
オーストラリアアシカの最大の特徴は大きく長いヒレ。
このヒレで水をかいて泳ぎます。
最高速度は時速30キロにもなるんだそうです。
あっ大きな魚をくわえています。
スピードを武器に泳いでいる魚でも追い回して捕まえてしまいます。
獲物は魚だけではありません。
サンゴの間に顔を突っ込んでいます。
隙間に潜んだエビなどを探しているんです。
この時頼りになるのは口の周りにたくさん生えたヒゲ。
ヒゲの付け根にはいくつもの神経が集まっています。
獲物の出すわずかな水の流れや震動でも感じ取ることができるんです。
おや何か見つけたようです。
イセエビです。
手前の黄色いのがイセエビの触角。
これにアシカのヒゲが触れサンゴに隠れたイセエビに気付いたんです。
必死に逃げようとするイセエビ。
あっヒレで挟んで動きを封じました。
大きなヒレは狩りの時にも役立つんですね。
逃げないようにヒレで挟みながら浮上していきます。
今度はイセエビを放り投げ始めました。
水面にたたきつけ弱らせてから食べるんです。
多くの生きものが集うサンゴの海。
アシカたちが食べ物に困ることはありません。
海でたっぷり食べたアシカたちが体を休めるために集まってくる場所があります。
周囲800メートルほどの無人島フィッシャーマン島です。
海にぽつんと浮かぶこの島にはアシカを襲うような天敵はいません。
誰にも邪魔されることなくのんびりお昼寝。
うらやましいですね。
3月。
島にメスたちが次々に上陸してきました。
出産と子育てのためにやってきたんです。
浜辺に赤ちゃんを連れたメスの姿を見つけました。
赤ちゃんの大きさはおよそ60センチ。
産まれて3日ほどしかたっていないようです。
かわいいですね。
オーストラリアアシカが一度に産む赤ちゃんは1匹だけ。
お母さんは赤ちゃんが産まれてから1週間はず〜っと付きっきりでお乳を与えます。
楽園のようなこの島。
しかし幼い赤ちゃんには意外な危険もあります。
それは猛烈な日ざしです。
遮るものがない砂浜。
日中の気温は40度近くにもなります。
昼下がり。
親子が歩き始めました。
どこへ行くんでしょうか?「お母さん待ってよ〜」。
赤ちゃんは懸命についていきます。
親子がやってきたのは木陰。
ここなら日ざしを避けられます。
まだ泳げない赤ちゃんは海で体を冷やすことができません。
(鳴き声)砂浜に長時間いると暑さで命を落とすこともあるといいます。
多くの緑が広がり木陰の多いこうした島でなければ子育てができないんです。
それぞれの親子ごとに使う茂みもほぼ決まっているんだそうです。
暑い日中。
親子は多くの時間を茂みの中で過ごします。
しかしこの辺りの海にはこうした茂みのある島はほとんどありません。
時に木陰をめぐって争いが起こることもあります。
波打ち際へやってきたこちらの親子。
お母さんが赤ちゃんを海へといざなっています。
赤ちゃんは生後1週間ほど。
そろそろ海に入る練習を始めるころです。
でも波が怖いのか引き返してしまいました。
なぎさに寝転ぶお母さん。
「ほ〜ら怖くないから早くおいで」とでも言っているようです。
すっかりおじけづいてしまった赤ちゃん。
お母さんの誘いを無視して1匹で茂みの中に入ってしまいました。
しかしこの木陰この赤ちゃんがいつも使っている場所ではありません。
しばらくすると赤ちゃんの休む木陰に別の親子がやってきました。
この木陰のあるじです。
穴の中から赤ちゃんの声。
どうしたんでしょう?休んでいた赤ちゃんをあるじのメスが追い出そうとしているんです。
かみついて攻撃するメス。
何とか逃げ出した赤ちゃん。
しかしメスが追いかけてきました。
あっ!激しく振り回しています!この時期限られた木陰をめぐりこうした争いがあとを絶たないんです。
ちょっとちょっと待った!あヒゲじいどうしました?どうしたもこうしたもないでしょ。
いくらよその子だからって赤ちゃんをあんなに振り回すなんてひどいじゃないですか。
そう思うかもしれませんがメスにとって木陰は自分の子どもを守る大切な場所。
いくら赤ちゃんでも他人が入り込むことは決して許さないんです。
そうか。
でもね木陰をめぐってこんな争いが起こるならもっと涼しい所で子育てしたほうがいいんじゃないですか?うん確かにそう思いますよね。
でもこの島には暖かな海ならではの魅力があるんです。
えっ魅力ですか?はい。
それは島を取り囲んでいる広大なサンゴ礁です。
ほうサンゴ。
はい。
サンゴ礁は小さな生きものの隠れがになりそれを狙って大きな魚なども集まります。
だからアシカたちが子育て中に食べ物に困ることはないんですよ。
ああああそうでしたそうでした。
サンゴの魅力はそれだけではないんです。
アシカにとっての最大の天敵はサメやシャチなんですが島を取り囲むサンゴ礁がバリアーとなってそうした天敵が島に近づいてくることがないんです。
うんそれは安心ですな。
でしょ?サンゴの魅力まだまだありますよ。
この辺りの海はこの時期しばしば荒れることがあるんですがサンゴ礁が防波堤の役割をしてくれるので浜辺の近くではいつも波がおだやかなんですよ。
そうなんだ。
波がおだやかですと幼い赤ちゃんが波にさらわれる危険もありません。
だから赤ちゃんが泳ぎの練習をするのに最適なんです。
なるほど。
ホントいいことずくめですなぁ。
はい。
こうした条件がそろっているからこそ暑さを我慢してでもこの島で子育てをするというわけなんです。
う〜んそうか。
アシカにとってこんなに魅力があるのはこの島あ〜シカないということですかな。
なんてね。
こちらはメスに振り回されてしまったあの赤ちゃん。
幸い大きなケガはないようです。
(鳴き声)浜辺ではお母さんが赤ちゃんを探していました。
疲れたのか止まってしまった赤ちゃん。
(鳴き声)お母さんの声を頼りに力を振り絞って歩きだします。
ようやくお母さんに会うことができました。
赤ちゃんは夢中でお乳を飲み始めました。
ホントよかったですね。
もう迷子にならないように気を付けてね。
第2章では巨大なオスが登場します。
メスをめぐっての激しい戦いが勃発。
あっ子どもが踏みつぶされそう!懸命にわが子を守るお母さんに迫ります。
突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
動物園で大人気の動物コアラ。
でもその飼育には頭の痛い問題があるんです。
それはエサ代がかかること。
この動物園にいる5匹の合計で年間なんと…コアラはユーカリの木の葉しか食べないうえとっても好き嫌いが激しいんです。
毎日新鮮なユーカリを与えても食べてくれるのはわずか1割ほど。
コアラを養うためには3万本ものユーカリを育てなければならず経費がかさむんです。
8月。
この問題を解決するため大学と共同でコアラの好みを調べる調査が行われました。
まずはコアラのユーカリの食べ方を徹底的に観察。
すると…クンクン。
食べる前に念入りに匂いを嗅ぐことがわかりました。
そこでコアラがよく食べたユーカリの葉と食べなかった葉の匂いの成分を分析しました。
その結果よく食べられていたほうには「テルペン類」と呼ばれる匂い成分が3倍以上多く含まれていたことがわかったんです。
今後さらに調査を続けコアラの好みを詳しく分析していく予定です。
研究を生かしてコアラにも動物園にも「おいしい」未来が来るといいですね!オーストラリア西部のフィッシャーマン島。
サンゴ礁に囲まれたこの島でオーストラリアアシカは子どもを育てます。
ある日のこと。
島にこれまで見ることのなかった大きなアシカが現れました。
オーストラリアアシカのオスです。
体長2.5メートル。
体重はメスの3倍なんと300キロにもなります。
ふだんオスは沖合の海で単独で暮らしています。
メスは出産するとすぐオスを受け入れるようになります。
オスは恋の相手を探すため島にやってきたんです。
浜辺はメスを求めるオスたちでいっぱいです!突然オス同士の戦いが始まりました。
分厚い皮を引きちぎらんばかりにかみついています。
1頭が逃げ出しました。
決着がついたようです。
勝者も敗者も傷だらけ。
強いオスほどたくさんのメスに受け入れてもらえるんです。
こちらの2頭もただならぬ様子。
相手のメスを奪い取ろうとしているんです。
あっと!いきなり攻撃。
不意を突かれたほうもかみついて応戦します。
とその時です。
なんと後ろにいるメスがオスにかみつきました。
するとオスはメスのそばに戻っていきます。
メスはけんかを止めるためにかみついたんです。
どうしてメスはオスたちのけんかを止めたんでしょう。
それはわが子のため。
オス同士のけんかはメスと子どものそばで起こることがほとんど。
子どもが巻き込まれれば踏みつぶされる危険があるためメスは体を張ってけんかを止めるんです。
あっ!またけんか。
近くに子どもがいます。
メスたちがその周りを取り囲みますがあまりに激しい戦いで手出しができません。
(鳴き声)おや?子どもの姿が見えなくなってしまいました。
どこにいるんでしょうか?いました。
今にも踏みつぶされそうです。
大丈夫でしょうか。
お母さんがギリギリのところで急いで助け出します。
それでもまだけんかは続きます。
子どもを抱くお母さん。
オスたちのけんかが収まるまでお母さんは子どもを守り続けていました。
こちらでは別のメスが茂みに入っていきます。
何かに頬を寄せました。
これは死んだ子ども。
オスの争いに巻き込まれたのかもしれません。
母親はこのあと数日間子どもから離れようとはしませんでした。
この島がいかにアシカにとって楽園だったとしても子どものそばにはいつも危険が潜んでいるんです。
4月。
島にいるオーストラリアアシカの数が減ってきました。
メスがオスを受け入れるのは出産後の数週間だけ。
メスと結ばれ目的を果たしたオスは沖合の海へ戻っていきます。
オスのいなくなった砂浜にメスのアシカが残っていました。
そこに近づいてきたのは子ども。
親子で移動を始めました。
大きさから見て子どもは生後1か月ほど。
海に向かっていきます。
子どもは泳ぐ練習を始める時期です。
お母さんが海の中で待っています。
子どもはなかなかふんぎりがつかない様子。
しばらくしてついに海に入りました。
でも波にもまれてうまく泳げません。
オーストラリアアシカの子どもが一人前に泳げるようになるには2か月もの練習が必要だと言われています。
それまでお母さんとの特訓の日々が続きます。
十分泳げるようになると多くの時間を海で過ごすようになりやがてこの島から旅立っていきます。
フィッシャーマン島から数十キロ離れた別の島です。
若いオーストラリアアシカの姿を見つけました。
これは1歳を過ぎた子どもたち。
毛の色は黒から茶色に変わっています。
こちらの2頭は同じぐらいの大きさですが…。
なんと一方がお乳を飲み始めました。
実は2頭は親子だったんです。
オーストラリアアシカは長ければ4年近くもお乳を与え子育てを続けます。
時間をかけてゆっくりと育児をするんですね。
別の親子に大きな子どもが近づいてきました。
お母さんが警戒する様子はありません。
大きさから見て3歳ほどの子どもです。
これはお乳をせがむしぐさ。
このメスが以前に産んだ子どもです。
お母さんは嫌がっているようです。
でも大きな子どもはこの場を離れようとしません。
突然お母さんが子どもを攻撃しました。
よく見ると威嚇するだけで本気でかみついてはいません。
お母さんは大きくなった子どもに独り立ちを促しているようです。
メスが一度に2頭の子に授乳することはありません。
今はこの小さな子どもを必死に守らなければならないんです。
その後大きな子どもは島からいなくなりました。
親子が海へ向かっていきます。
一緒に狩りに出かけるようです。
大きな子どもと同じようにこの子にもいずれ独り立ちの時が来ます。
それまでお母さんの姿を見て狩りに必要な技術や生きる知恵を身に付けていきます。
世界で唯一サンゴの海で暮らすオーストラリアアシカ。
母と子の固い絆を頼りに命をつないでいます。

(経を唱える声)2015/09/27(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「世界で唯一!サンゴ礁に暮らすアシカ」[字]

世界で唯一サンゴの海に暮らすアシカの子育てに密着。オスの戦いに巻き込まれ、踏みつぶされそうになる子どもを母親は必死に守り抜く。固い絆で結ばれたアシカ母子の物語。

詳細情報
番組内容
世界で唯一サンゴ礁の海に暮らす珍しいアシカがいる。オーストラリア西部に生息する絶滅危惧種、オーストラリアアシカだ。今回、特別な許可を得て子育てに密着。幼い子どもには様々な危険が襲いかかる。母親が目を離したすきに、別のメスに攻撃されたり。オス同士の争いに巻き込まれて踏みつぶされそうになることも。母親は子どもを抱きかかえ、身をていして我が子を守る。強い絆で結ばれたアシカ母子の感動のドラマ。歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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