2015-10-01

同じく起業10戦士として重要だと思ったこと

http://anond.hatelabo.jp/20151001133903

↑を受けて、なんとなく書きたくなったので、雑文失礼。

1番重要だったこと: 忍耐

うちの会社何だかんだで数百人規模で利益も億単位で出せるようになったので、若い経営者と飲んだりすると「成功秘訣」みたいなことを聞かれることがあるんだが、正直なところ「これをやったか成功した」というよりは、幾度となく苦境が訪れたけど諦めずに続けていたら、気が付いたらそこそこ成功したと言っても良さそうな規模になっていた、というのが正直なところ。だからといって「成功したのは運が良かったから」というのはいくらなんでも謙遜しすぎて逆に嘘なので、じゃあなんだろうと考えると、やっぱり「忍耐」かなと。諦めないこと、投げ出さないこと。

必ずしも起業するのは大変でサラリーマンは楽だとは思わないけど、経営を続けるのは、特に組織を拡大させて維持させて食わせていく、というのは本当に辛いことが多い。一番メンタルをやられやすいのは赤字会社がつぶれそうな時だけど、ある程度以上規模が大きくなると頻度の多さもあって人間関係まわりがメンタル負荷が一番高いように思う。幹部同士の対立、セクハラ対応社員の不満の爆発、コアメンバー離脱、などなど。人間関係問題が発生しない月なんかほとんどない。もちろんその逆で「こいつと一緒に働けて、こいつが部下で本当に楽しい」というやつに巡り合うこともあるし、狙い通りに事業が上手くいったとき快感ハンパない嬉しさもあるけど、正直トータルとしてはストレスの方が大きいと思う。

からこそ「そこそこ成功している経営者」って、このあたりのストレス/負担/痛みに慣れて鈍感になるか、常人には信じがたいメンタルHPの持ち主か、そもそも超自分勝手ストレスを感じないタイプか、どちらにせよ一個人としては人間性に問題があるとしか思えない人が多い。ただ人間性に問題を抱えて進めるのは「そこそこ成功レベルまでのようで、ワタミしかゼンショーしかGREEしかり、やはりファンを作りにくく敵を増やすタイプ経営者は、どこかで必ず社会からしっぺ返しをくらって止まるので、突き抜けた成功者になると人格者比率が上がるっぽい。もっと人格者完璧偽装できるようになった人格破綻者なのかもしれないが、完璧偽装できていればもはやそれは本物と変わらないだろうし。

結局のところ、成功するための必要十分条件は「成功するまで続けること」以外には存在しないのですよ。

とは言っても成功やすBETの仕方

この2つの条件を満たす事業は「割と」成功やすい、というのがあるんじゃないかと思っていて、1つはカワンゴ(ドワンゴ創業者川上さん)が言ってることとだいたい被るんだけど、「よく分からない事業をやる」「自分ですら成功確信できない事業をやる」こと。これは要するに、不確実性の低い市場では単純に戦力が強いものが勝つことが多くまぐれ勝ちが起きにくいので、弱小勢力たるベンチャー企業は、できるだけ「まぐれ勝ち」が発生しやすい不確実性の高い市場勝負すべし、ということ。不確実性が低かろうが高かろうが、弱小会社成功確率なんてどっちにしろ低いんだけど、参入する会社10しかいない市場で、極論勝率ランダムであれば、勝率10%もあるわけで。

そしてもう1つが、「独占・寡占が可能な事業をやる」こと。なんか経済学的な話ばっかりだけど、結局のところ利益の源泉は、素晴らしい社員でもなければ、優れたテクノロジーでもなく、素晴らしいプロダクトでもなく、独占なわけですよ。ソーシャルゲームがなぜ儲かるかと言えば、パズドラの「魔法石」をガンホーが「独占」しているからなわけですよ。独占価格で売れるから儲かる。カルテルのようなタイプの独占・寡占は独禁法禁止されてるけど、ブランドによる市場分化による独占とかF2Pを使った独占は真っ白な合法なわけで、合法的に「独占」が可能になる事業をやるべし。

長期における「信頼」の重要

これは大学同級生とかでもそうなんだけど、大学卒業後1年目はだいたいどこの組織就職したやつもペーペーなのが、卒業10年後・20年後・30年後と時間が経てばたつほど皆偉くなって、極端な例だと大企業トップ官公庁トップと○○大臣大学からの知り合い、とかなるわけですよ。で、片方だけが偉いパターンはあまり役に立たないんだけど、お互いに偉くなればなるほど、「信用できる外部の有力者」が増えるわけです。

これはベンチャー企業にも言えて、10年前はお互いにマンションの一室でやってた他の起業家が、お互いに10年たつと上場企業社長同士とか、もしくは提携していた大企業担当係長10年後は執行役員になってるとか、経営を長く続けていると「こちらを信用してくれる外部の有力者」がどんどん増えていくので、大きな事業提携とか資本調達とかが、本当に楽にできるようになる。なので、1つ1つの「偉くない人」「自分とタメor目下の人」との取引/人間関係で、横柄な態度を取らない、裏切る/嘘をつくような行動をとらない、ということの積み重ねが長いタイムスパンで見たときに本当に重要

恩を仇で返してくるようなやつがいないわけじゃないけど、応報は割と人間行動の原則なので、特に今はショボイけど時間が経てば偉くなりそうな人には、大きな不利益にならない範囲で色々と恩を売っておくのが吉。ついでにいうと、ベンチャー業界だと真面目な話、誰が成功するか・誰が偉くなるかは本当に分からないので、とりあえず接する人全員に謙虚な態度をとっておくのが尚よし。

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