花燃ゆ(39)「新しい日本人」奥御殿解散!女の再就職は? 2015.09.27


(経を唱える声)奥御殿では毛利敬親の病気が治るようにと必死の祈りがささげられていた。
(都美姫)何とぞ何とぞ大殿の病をお治し下さいませ。
美和。
(美和)はい。
大殿は美和の畑の野菜だけは召し上がられる。
何かよき料理を作ってはくれぬか?はい。
それでは早速。
(銀姫)美和。
興丸の守りはよい。
今は殿のお世話を致すのじゃ。
はい。

(テーマ音楽)・「愚かなる吾れのことをも」・「友とめづ人はわがとも友と」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「吾れをも友とめづ人は」・「わがとも友とめでよ人々」・「燃ゆ」
(敬親)楫取はそなたの義兄であったの。
はい。
あやつには一つだけ言っておきたい事があってな。
新政府にて参与の職を務めていたものを無理に呼び戻したんはわしじゃ。
この長州のためわしを支えてほしいとな。
そのせいでつらい目に遭わせてしもうた…。
じゃがこれからは誰のためでもない己の望む道を歩いていってもらいたいと思うておる。
大殿様…。
そなたとて同じぞ。
はい。
どのような思いでこれまで乗り越えてまいったか。
見違えるようじゃの。
いえ…。
美和。
まことそなたの信じるよう進め。
どうじゃ?新しい日本をつくる新しい日本人を育てたいと思うております。
そうせい。
それから数日後。
大殿…。

(素彦)大殿…。
明治4年3月28日。
幕末という激動の時代を生きた名君毛利敬親はこの世を去った。
そして喪が明けた後…。
藩の職をすべて辞し隠居の身となりとうございます。
(元徳)そなたには父亡きあとも藩のかじ取りをしてもらいたいと思うておる。
私にはもうそのようなご期待に応える力はございませぬ。
何とぞ。
明治政府は廃藩置県を断行。
旧藩主はすべて知藩事の職を解かれた。
代わりに明治政府の意を受けた県令が各地に派遣される事となる。
東京に移るとはどういう事でございますか?しかたがない。
新政府が決めた事なのじゃ。
我らは新たな場所でこれから生きていかねばならぬ。
じゃが東京は元江戸。
懐かしい所であろう?はい。
生まれ育った所なれば。
しかしそうなるとこの奥御殿も閉じる事になりましょうな。
銀。
そなた決心はついておるようじゃな。
はい。
そして奥女中たち一同が集められた。
面を上げよ。
皆の者。
新政府からのお達しにより毛利家がこの地を治める世は終わる事となった。
毛利家は東京に移りこの奥御殿はしまいとなる!皆の行く末については追って沙汰する。
どういう事でございますか?どうなるのですか?
(どよめき)
(園山)皆はここで大事なものを身につけた。
奥に仕える女としての振る舞い身だしなみ行儀作法…お花に…。
(泣き声)
(潮)美和…。
それに料理裁縫掃除のしかた…。
畑での野菜の育て方なども。
それは生きる力となりましょう。
この奥の外に出てからもご自分の力で生きていけるはずです。
(鞠)せわぁない!せわぁない。
せわぁない。
せわぁない。
せわぁない。
生きる力か。
いい事を言うの。
これで皆も少しは安心して世に出ていけるであろう。
あの者たちに自信を与えるとは一番大事な事でございます。
そなたには本当に世話になった。
礼を言う。
私の人生はこの奥御殿でお仕えした事がすべてです。
これからはその思い出を大切に余生を過ごしとうございます。
志乃様。
(志乃)ああ…。
そなたがここを作られてから何やら放っておけんくなってしまいました。
ありがとあんした。

(興丸)美和!東京には行かぬとはまことか?はい。
美和が一緒でなければ嫌じゃ!興丸様はご立派に大きくなられました。
この美和がおらんでもご自分で何でもおできになられるはず。
今度お会いする事ができた時には興丸様の夢を美和に聞かせて下さいませ。
楽しみにしております。
潮様…。
美和殿。
うんと幸せにならんといけませんよ。
はい。
美和様はどうされるのです?皆さんのこれからを見届けたあと私は一度萩の親元に戻ろうかと。
鞠様は?私は縁談が。
相手は幼なじみでそれもまたよいかなと。
もしやそのお方の事…。
はい。
(鞠)日出様は上海に行くとか。
えっ?奥を出るのも日本を出るのも同じ事だと。
それなら見た事のない異国の地に行ってみたいと申されて。
それはまた思い切った事を…。
…というより何か一つでも美和様より先にしたかっただけかと。
決意は固いのじゃな。
お許し下さりませ。
私もまたこの奥の外に出て己の力で生きていってみたいと思います。
銀姫様にお仕えし興丸様の守り役として過ごしたこの年月生涯忘れませぬ。
お前には随分と助けてもらった。
私が子を授かり母となれたのはそなたのおかげじゃ。
守り役としても十分すぎるほど務めてもらった。
なのに子を産んだ事もないのにとひどい事を言うてしもうて…。
すまぬ事をした。
銀姫様…。
この奥にとってそなたは花のようじゃった。
どんな時も皆を朗らかにさせてくれた。
いつかまた会おうぞ。
はい。
必ず。
戦国の世より続いた毛利の奥御殿は閉じられた。
新しい時代に旅立つ者見送る者。
それぞれの女たちの門出でもあった。
よいではないか!気に入った。
私はそのような訳の分からぬ服は着とうもない。
そうおっしゃらずに!母上様もほら。
だから私は着ないと申しておる。
そうおっしゃらずにほら。
そして美和は萩の杉家に戻っていた。
(銀姫)「横浜の港には外国の船がたくさん立ち寄り生糸やお茶を買っていきます。
日本は今豊かな国づくりを掲げ世界中から優れた文物を取り入れているそうです」。
世界を相手に…。
(亀)これがビスケツト…。
う〜ん…。
弟の敏三郎も萩に戻ってきた。
だが戦で多くの友や仲間を失い心の傷を抱えていた。
(滝)よう戻ってきた。
お帰り。
敏…。
(文之進)敏三郎。
討ち死にしたせがれの…。
おい。
あれじゃ。
えっ?さっきお前たちが食っとったやつじゃ。
はい。
食え。
顔を上げて食え。
よう帰ってきた。
敏。
くよくよしとったらいけんよ。
彦介さんやみんなの分も頑張って生きていかんと。
そしたら気晴らしに二条窪に行ってきたら。
(亀)ああ。
二条窪?楫取さん二条窪で暮らす事に決めたんやそうです。
えっ?
(滝)畑仕事をやりながら家族で暮らしたいと寿に話したんて。
やけど初めての畑仕事でしょう?どうやろか?手伝いがてら。
では私も行きます。
(滝)あんたも?姉上たちがどねな暮らしか心配やしそれに兄上にお伝えせんとならん事もあるんです。
萩郊外の山あいにある三隅村二条窪。
楫取はここで家族と共に暮らしながら慣れない畑仕事に精を出していた。
(寿)よう来たね。
美和敏。
しばらくごやっかいになります。
よう来たな。
兄上…。
あっおけがを?まめ潰しただけじゃ。
すまんな。
いえ。
疲れたじゃろう。
しばらくのんびりと…。
ここは自給自足。
休んだら早速働いてもらわんと。
旦那様はまだまだ畑仕事には素人やし当てにして待っとったんよ。
本当大助かり。
私は炊事や裁縫の合間にしかできんから。
何か今までと違いますね。
兄上と姉上。
えっ?今更変やけど何か夫婦らしゅうなって。
何を言うとるん。
禄ものうなってこれからは一家力を合わせて何でもせんとやっていけんの。
まあ昔と同じ貧乏暮らしに逆戻りやけど。
おうおう。
本当にあのお侍さんここで暮らすつもりかいな。
だまされんな。
あいつはわしの仲間を見殺しにしたやつじゃ。
回想維新は民の力によってこそ成功したのだと私も思うとる。
ではなぜ虫けらのように追い払われるのか。
必ず善処致す。
なかなか受け入れてもらえんでな…。
あの人どこかで…。
奇兵隊に入っとった若者じゃ。
この村の出やったか戻ってきたんじゃろう。
恨まれて当然じゃ。
篤太郎は明倫館で勉強するため寮に入っとるんよ。
そう。
それで久米次郎は…。
(久米次郎)ただいま戻りました。
お帰り久米次郎。
えっ…?しばらく見ん間にこねぇに大きゅうなって。
ご無沙汰しております。
あっ…。
てれとるだけやから。
今この近くの私塾に通わせとるの。
久坂家の養子として恥ずかしゅうないようにと毎日張り切って勉強しとるんよ。
そのころ京にいる辰路は久坂の子の秀次郎を育てるため料亭で仲居として働いていた。
(辰路)おこしやす。
(幾松)どんだけ心配した事か。
ねえさん…すんません。
ほやけど久坂の子を奥様が捜していると知って…。
どうしてそれを?ばったりお会いしたんです。
奥様に。
そう…。
その時はうちの事もあの子がそうだとも気付かれまへんどした。
けど知られたら取り上げられるんやないかって…。
あんたさんの気持ちは分かります。
そやけど秀次郎はご維新で大働きをされた久坂玄瑞様のお子さんなんどすえ。
学問して身ぃを立てる事も考えてやらんと。
木戸もその事を気にかけてるんどす。
木戸は明治政府の参議となり不平等条約改正のため岩倉使節団の一員としてアメリカに来ていた。
(木戸)何度も言うようじゃが関税率について日本独自に決めさせて頂きたい。
(英語)
(笑い声)
(英語)
(通訳)無理だと言っています。
(靖)木戸さん。
今し方日本から知らせが。
知らせには日本に残った西郷たちが次々と新たな政策を実施。
そのため国内情勢が不安定になっていると書かれていた。
兄上…。
本気なんですか?本気でこの荒れた土地を開こうと…。
ああ本気じゃ。
私はこれから家族と一緒にこの地で暮らしていく。
その思いを村人たちにも分かってもらいたいんじゃ。
それだけでしょうか。
兄上はまだご自分を責めておいでなんでは?回想私のせいじゃ…。
あの者らの国を思う声を生かせんで…。
何が政じゃ…。
いやそねな事はない。
どうしてやろうね?このごろ時々左手がしびれて…。
こねな事じゃ畑仕事はおろか針仕事もできゃせん。
それは?お城の畑で育てていた野菜の苗です。
元は杉の家の種ですけど。
心を込めて耕した畑にはきっと根づきます。
(久米次郎)ほら持ってけ。
遠慮せずともよい。
父がいつも言うとるんじゃ。
人は侍も百姓もみんな同じ。
分け合い仲良うせねばならん。
(子どもたち)はい。
(久米次郎)ほら。
ありがとあんした。
(久米次郎)ほら。
(子どもたち)ありがとあんした。
(久米次郎)これもやろう。
ありがとあんした!
(久米次郎)これも大きいじゃろう。
ありがとあんした。
(雷鳴)このままでは流されてしまう。
なんとかせんと。
(中原)手伝わしてつかぁさい!えっ?あんたがわしらを裏切り仲間を死に追いやったと思い込もうとしちょった。
やけどそうやない。
あんたはわしら百姓や町人のために必死に頑張って下さった。
分かっとったんです。
やけどわしは仲間を救えず一人助かった。
そのふがいなさや申し訳なさから逃げたかったんです。
それをあんたにぶつけとったんです。
(水が流れる音)頼む。
手を貸してくれ。
(中原)はい!兄上。
兄上ももうご自分を責めるんはおやめ下さい。
そうやってご無理なさっとると何か私まで先に進めんような気持ちになります。
気恥ずかしゅうてな。
えっ?お前には誰にも見せんような姿見せてしもうとる気がしてな。
(笑い声)おい。
いや…ごめんなさい。
フフフ…。
いやでも安心しました。
えっ?私も兄上の前では本音をぶちまけてしまいましたから。
兄上にお伝えせねばならん事があったんです。
大殿からのお言葉です。
大殿の?これからは誰のためでもない己の望む道を歩いていってもらいたいと。
己の望む道…。
大殿がそのような事を…。
はい。
兄上ならきっと。
私もそのために兄上をお支えします。
兄上が私を支えると言うて下さったように。
同志じゃな。
はい。
あっ。
私も逃げておっただけかもしれんな。
日本のため民のためにと突き進んできたつもりじゃったが…。
その肝心の民の暮らしが初めてこの身にしみた。
あの者たちと地に足をつけて生きていこうと思う。
新たな道の始まりじゃ。
はい。
あっ敏どうしたん?手紙…私に?その手紙は母滝からのもので急ぎ戻るようにとあった。
その理由は…。

(亀)鶏がたまげとるでしょう。
もう!卵産まんくなったらどうするん!姉上。
ああ美和さん!やっと戻ってきた。
旦那様の子が来たと。
どうにかしてつかぁさいもう!あの子ですよ。
確か京で会うた…。
辰路の産んだ久坂の子秀次郎との再会であった。
(利助)このままでは内乱が起こりかねません。
(亀)行儀作法からですね。
(辰路)秀次郎は久坂さんの子。
(秀次郎)お母ちゃんに捨てられたん?あの子を育ててみようと思います。
日本海を望む山口県長門市。
藩政から身を引いた楫取素彦は山あいの農村二条窪で暮らしました。
楫取は村人と共にクワを握り荒れ地を開墾。
更に植林なども行ったといいます。
植林した山は現在楫取山と呼ばれています。
二条窪に程近い…
激動の時代を走り続けた楫取はここで心と体を癒やしました
楫取と共に移り住んだ寿は村人のために宗善寺など近隣の寺院から毎月2回僧侶を招き法話を聞きました
この法話は140年以上たった現在も続けられています。
人々は今も楫取夫妻への思いを大切にしているのです
2015/09/27(日) 20:00〜20:45
NHK総合1・神戸
花燃ゆ(39)「新しい日本人」奥御殿解散!女の再就職は?[解][字][デ]

美和(井上真央)は閉じられることになった奥御殿から去り、杉家へ帰ってきた。そして政治から距離を置くことを宣言して農業を始めた楫取素彦(大沢たかお)を訪ねると…!

詳細情報
番組内容
美和(井上真央)は閉じられることになった奥御殿に別れを告げ、杉家へ帰ってきた。そして政治から距離を置くことを宣言し、農業を始めた楫取(大沢たかお)を訪ねる。長州の兵士の多くの命が失われたことで自分を責めている楫取を心配する美和だったが、そんな折、大雨が楫取の畑を襲う。そこに仲間の死について楫取に恨みを抱く中原復亮(堀井新太)が現れ…。そして杉家には亡き夫・久坂玄瑞の忘れ形見の秀次郎がやってきて?!
出演者
【出演】井上真央,大沢たかお,北大路欣也,優香,久保田磨希,森永悠希,大野拓朗,檀ふみ,奥田瑛二,東山紀之,田中麗奈,三浦貴大,石橋杏奈,銀粉蝶,鷲尾真知子,江口のりこ,高橋由美子,鈴木杏ほか
原作・脚本
【脚本】小松江里子

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
ドラマ – 時代劇

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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