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【政治】

安保法公布で国連外交も変質 首相「PKO拡大」で常任理狙う

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 安倍晋三首相は三十日、訪米日程を終えた。国連総会や各国首脳との会談では、三十日に公布された安全保障関連法を受け、「積極的平和主義」を進めていく考えを表明した。国連平和維持活動(PKO)で自衛隊任務が拡大したと主張。人的貢献を果たせる「普通の国」として、集団的自衛権や他国軍の戦闘支援が可能になったことも踏まえ、国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指す考えを示した。首相の発言は、平和主義に基づく日本外交を変質させたことを各国に印象づけた。(関口克己) 

 「積極的平和主義を高く掲げ、日本は安保理改革を行い、常任理事国として世界の平和と繁栄に一層の貢献をする」。首相は二十九日午後(日本時間三十日午前)、国連本部での一般討論演説でこう語った。

 第二次安倍政権発足後に臨んだ過去二回の一般討論演説でも、常任理事国入りの意欲は語った。しかし、今年は初めて「積極的平和主義」の実現と結び付けた。米国などとともに世界をリードしていく考えを示したといえる。常任理事国は米国、英国、フランス、ロシア、中国の五カ国で、日本は理事国拡大とメンバー入りを目指す。

 首相はバイデン米副大統領との会談で、安保法成立を受けて「国際社会の平和と安定のため、日米で緊密に連携して取り組みたい」と呼び掛けた。副大統領は「首相が日米同盟強化に向けた努力を続けていることに感謝する」と応じた。二人は海洋進出を強める中国に、日米で連携して対処していくことで一致した。

 首相は日米同盟を強化することで、国際的な日本の存在感を高め、PKOなどで国際貢献し、常任理事国入りする構想を描く。

 首相はPKOに関する首脳級会合で「法改正し、従事可能な任務が広がった」と、安保法成立によって、日本の人的貢献の幅が広がったと強調した。

 同法は、離れた場所で武装勢力に襲われた他国軍を武器を使って守ることができる「駆け付け警護」などを可能にした。しかし、自衛隊員の危険は高まる。

 日本が常任理事国入りするには、国連憲章の改正が必要。改正には国連総会で三分の二以上の加盟国が賛成した上で、五カ国の常任理事国と十カ国の非常任理事国でつくる安保理で三分の二以上(十カ国)の批准が必要となる。

 常任理事国になると、PKO活動に使う経費の負担が増す。専門家からは、PKO活動で現在は日本政府が禁じている紛争地に自衛隊を送ることを求められるほか、PKOより危険な地域への自衛隊派遣を要請されるとの指摘も出ている。

 

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