読むナビDJ :第155回:追悼・クルセイダーズのサックス/ベース奏者ウィルトン・フェルダーの名演10選

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第155回:追悼・クルセイダーズのサックス/ベース奏者ウィルトン・フェルダーの名演10選

クルセイダーズのサックス奏者であり、優れたセッション・ベーシストだった彼の追悼特集。ジャクソン・ファイヴ、マーヴィン・ゲイ、ビリー・ジョエル、ジャクソン・ブラウン、ボビー・ウーマックほか。

この記事の筆者

ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員。ミュージック・マガジン誌、レコード・コレクターズ誌、ギター・マガジン誌などの音楽誌に定期的に寄稿。『木田高介アンソロジー~どこへ』『THE FINAL TAPES はちみつぱいLIVE BOX 1972-1974』『ベルウッド40周年 三浦光紀の仕事』などのCDの解説、共著など多数あり。

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2015年の9月27日に、クルセイダーズの創立メンバーであり、サックス奏者のウィルトン・フェルダーがこの世を去った。享年75歳。 クルセイダーズの前身となるジャズ・クルセイダーズは、テキサス州ヒューストンの高校の同級生であった、ウェイン・ヘンダーソン(Tb)、ウィルトン・フェルダー(T.Sax)、ジョー・サンプル(Key)、スティックス・フーパー(Dr)で結成された。すでに三人が他界し、オリジナル・メンバーで残っているのはスティックス・フーパーひとりとなってしまった。

ジャズ・クルセイダーズは、61年にデビューを果たすのだが、最初から売れたわけではない。メンバーはそれぞれスタジオ・ミュージシャンとして生活の糧を得ることとなる。ウィルトン・フェルダーは西海岸に出て、サックスだけでなくベース・プレイヤーとしても数多くのアルバムに参加した。

そのごく初期の作品のひとつが、ジャクソン・ファイヴの「アイ・ウォント・ユー・バック(帰ってほしいの)」だ。あの躍動的で印象的なべースのリフが、ウィルトン・フェルダーによるものだったのをご存じだっただろうか。他にもモータウン系のセッションによく参加していたようだ。70年代に入りさらにセッション・ワークは増え、パシフィック・ガス&エレクトリックエスラ・モホークシュギー・オーティスグラント・グリーンアーロ・ガスリーなど、ジャンルを超えて大活躍する。

69年にスティーヴ・マックィーン主演の映画『ブリット』のテーマ曲をメインにしたアルバム『ブリット』をリリースするが、これがウィルトン・フェルダーの初のリーダー・アルバムとなる。ジャズ・クルセイダーズも71年にクルセイダーズと改名し、フュージン界の中核としてヒット・アルバムを量産していくこととなるのだ。

ジャクソン・ファイヴ

Jackson 5「I Want You Back (1969)」


ジャクソン・ファイヴが69年にモータウンからリリースした最初のシングル曲。リード・ヴォーカルは、当時10才だったマイケル・ジャクソンがうけもった。その可愛らしくもソウルフルな声が評判となり、全米チャートの第一位を獲得している。この一度聴いたら忘れられないダンサブルなベースを弾いていたのが、ウィルトン・フェルダーであったのだ。



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ウィルトン・フェルダー

Wilton Felder「Theme from Bullitt (1968)」


大胆なカー・アクションが話題となったスティーヴ・マックィーン主演映画だが、その映画『ブリット』の主題歌を中心としたアルバムだ。他にボブ・ディランの「見張塔からずっと」やビートルズ・ナンバー、それに「ハイ・ヒール・スニーカー」など、当時のヒット曲がウィルトン・フェルダーのサックスにのってソウルフルに演奏されている。



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マーヴィン・ゲイ

Marvin Gaye「Let's Get It On (1973)」


マーヴィン・ゲイのこんな有名な曲にも、ウィルトン・フェルダーがベースで参加していたのだ。71年にアルバム『ホワッツ・ゴーイン・オン』で新しいソウルの道筋を作ったマーヴィン・ゲイが、愛と性をメッセージの形で伝えたのが『レッツ・ゲット・イット・オン』であった。シングル・カットされたこの曲は、ポップ・チャート、R&Bの両方で第一位を記録している。



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クルセイダーズ

The Crusaders「Put It Where You Want It (1972)」


ラリー・カールトンが加わり強力な布陣となった72年のアルバムから。野性味に溢れるこの時期が一番好きだというファンも多いのではないかと思う。ともかく勢いがあり、ファンクネスが渦巻いている。ウェイン・ヘンダーソンとウィルトン・フェルダーの二管体制も健在で、これぞクルセイダーズ・サウンド。



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ビリー・ジョエル

Billy Joel「Piano Man (1973)」


不遇時代を過ごしたビリー・ジョエルだが、自らの売れないピアノ弾きの体験を歌にした「ピアノ・マン」のヒットで、やっと陽の目を見るようになるのだ。ルーズなワルツのスタイルで、下降するベース・ラインが印象的だが、これを弾いていたのがウィルトン・フェルダーだったのだ。



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ジャクソン・ブラウン

Jackson Browne「Sing My Songs to Me (1973)」


ウエスト・コースト・ロックとウィルトン・フェルダーとは、あまり似つかわしくないように思うかもしれないが、フェルダーはベーシストとして、ランディ・ニューマンジョニ・ミッチェルジョーン・バエズなど、シンガー・ソングライター系のアルバムで名演を数多く残している。このジャクソン・ブラウンとの共演も、歌の持っている情感を引きだすのに大いに貢献しているのだ。



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ラリー・カールトン

Larry Carlton「With Respect To Coltrane (1973)」


西海岸で修行を積んだラリー・カールトンは、71年からクルセダーズに参加することとなる。その在籍中の73年に発表したソロ・アルバムが、この『シンギング/プレイング』だ。クルセダーズからは、スティックス・フーパージョー・サンプル、そしてウィルトン・フェルダーがレコーディング・セッションに加わった。曲はトム・スコットが書き下ろした「ウィズ・リスペクト・トゥ・コルトレーン」。



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ウィルトン・フェルダー/ボビー・ウーマック

Wilton Felder feat. Bobby Womack「(No Matter How High I Get) I'll Still Be Lookin' Up To You (1985)」


ウィルトン・フェルダーは85年にソロ・アルバム『シークレッツ』を発表する。このアルバムにはジョー・サンプルジェイムス・ギャドソンなどが参加しているが、フィーチャーリング・ヴォーカリストとしてクレジットされているのが、ソウル・シンガーのボビー・ウーマックだ。その彼とのライヴなのだが、もうひとり女性ヴォーカリストのオルトリーナ・グレイソンも加わっている。

ジョー・サンプル、ウィルトン・フェルダー、デイヴィッド・T・ウォーカー etc.

Joe Sample,Wilton Felder, David T. Walker, Larry Graham,Stanley Clarke「Put It Where You Want It (1985)」


85年に東京で開かれたライヴ・アンダー・ザ・スカイのステージより。ウィルトン・フェルダー、ジョー・サンプルデイヴィッド・T・ウォーカーに加え、スタンリー・クラークラリー・グラハムまで参加している。その熱狂の中で、ウィルトン・フェルダーも豪快にサックスを吹きまくっている。

クルセイダーズ

The Crusaders「Way Back Home (2003)」


2003年のモントルーでのライヴ映像だ。オリジナル・メンバーは、ジョー・サンプルとウィルトン・フェルダーの二人だけ。レイ・パーカー・ジュニアらがサポートとして加わっている。74年の『スクラッチ』時代の曲で、ウィルトン・フェルダーのテナー・サックスが朗々と鳴り響いていく。



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ウィルトン・フェルダー

Jackson 5「I Want You Back (1969)」


ボーナス・トラックは、ジャクソン・ファイヴの「アイ・ウォント・ユー・バック」のベース・ラインのみを抜き出したもの。グルーヴ感たっぷりのウィルトン・フェルダーのベースが堪能できる。

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