愛知県春日井市のラーメン店で今月２４日、店員２人が死傷し、売上金が奪われた事件で、県警特別捜査本部が強盗殺人などの容疑で逮捕した同店の元従業員、宮地良多（みやじ・りょうた）容疑者（２７）＝同市牛山町＝が、任意の事情聴取中に県警春日井署から逃走して姿を消した後、実家の大阪府岸和田市に向けて計約７０キロを歩いていたことが分かった。【谷口拓未】

　◇金銭問題で店退職

　捜査関係者によると、宮地容疑者は春日井署で事情聴取中の２８日午後８時ごろに捜査員の制止を振り切って署の外に出た。捜査員１人が説得しながら追跡したが２９日午前２時ごろ、約２０キロ離れた名古屋市熱田区内で姿を見失った。宮地容疑者は調べに、その後は岐阜県大垣市のＪＲ大垣駅まで約４０キロ歩き、電車でＪＲ大阪駅に移動、さらに岸和田市の実家まで約３０キロを歩いた、などと話しているという。春日井署を出てから計約９０キロを歩いた宮地容疑者はサンダル履きだった。

　一方、宮地容疑者は店で金銭トラブルを起こし、８月末で事実上、解雇されていたことも関係者への取材で分かった。時間帯によっては店の責任者を任され、金庫の管理をすることもあったといい、大型連休最終日には大金が金庫にあることを知っていて、店を襲った可能性がある。

　逮捕容疑は２４日午前５時から午前７時１５分ごろの間、同店に侵入し、鈍器で従業員の荻原典章さん（３５）＝愛知県小牧市＝と男性店員（３９）の頭を殴打して荻原さんを殺害、金庫から売上金約２５０万円を奪ったとされる。容疑を認めている。