原油安に泣く韓国造船業界、掘削船の引き渡し延期相次ぐ

原油安に泣く韓国造船業界、掘削船の引き渡し延期相次ぐ

 韓国造船業界は船会社による海洋プラント引き渡し要請で対応に追われている。昨年下半期から原油価格が下落し、掘削船(ドリルシップ)や半潜水式掘削装置(リグ)といった掘削設備の引き渡し延期要請が相次いでいるためだ。大規模な損失で昨年から総額8兆ウォン(約8180億円)以上の巨額の累積赤字を記録している韓国造船業界にとっては、まさに「泣きっ面にハチ」だ。引き渡しが遅れれば、船体価格の70-80%に達する残金の回収時期も遅れるからだ。サムスン重工業はこのほど、今年12月にオセアニアの船会社に引き渡し予定だった掘削船1隻の引き渡し時期を2016年7月に延期した。引き渡しまで3カ月という時点で船会社から延期要請があり、約1000億ウォン(約102億円)を代金に上乗せする条件で引き渡し時期を1年半先送りした。サムスン重工業は先月28日にも英油田掘削業者シードリルから受注した掘削船2隻(建造価格1兆1700億ウォン=約1200億円)の引き渡し時期を今年11月から17年3月に延期した。

■原油安が発端

 サムスン重工業は今年、6隻の掘削船の引き渡しを延期した。うち4隻は年内に引き渡し予定だった。同社が受注している掘削設備は計10基なので、うち60%の引き渡しが遅れた計算になる。

 掘削設備の引き渡し延期は年初からある程度予測されていた。原油価格が1バレル当たり60-70ドルを下回れば、掘削設備の新規発注が途絶え、原油高の時期に発注された掘削設備の引き渡し延期要請が相次ぐのは避けられないからだ。実際に最近引き渡し延期または契約解消となった掘削設備の大半は原油価格が100ドルを上回っていた12-13年に発注されたものだ。大手造船会社の関係者は「建造過程でさまざまなクレームをつけ、引き渡し時期を遅らせようとする船主もいる」と話した。

 引き渡しを延期しようとする船会社は、原油高が続くと見込み、需要を確保できていない状態で投機的に発注を行ったところが大半だ。そうした船会社は原油安で用船料が急落したことで、船舶の引き渡しを受けるのを渋っている。掘削船1隻の用船料は12-13年に1日当たり最高60万ドルに達したが、現在は半額の30万ドル前後まで下落した。

 ハナ大投証券のパク・ムヒョン研究員は「原油価格が早期に回復する可能性は低く、掘削設備の引き渡し遅延は続く可能性が高い。韓国造船各社が海洋プラント受注に力を入れた結果、しっぺ返しを食らった格好だ」と分析した。

金起弘(キム・ギホン)記者
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