「中国に追い越される寸前」ソウル大教授らが韓国産業界に警鐘

「先進国が100年かけて得た技術、中国は10年で10倍の経験を積み猛追」
「韓国は先進国の技術を模倣するのは得意でも、新たな概念を設計するスキルは不足」

 仁川・松島と仁川国際空港がある永宗島をつなぐ全長21.38キロの仁川大橋は、韓国で最長の橋であると同時に世界で6番目に長い橋として2009年に完成した。建設当局と施工会社は当時「韓国建設業の底力を世界に知らしめた快挙」と自画自賛した。だが専門家らは「韓国製なのは見掛けだけ」と打ち明ける。独自技術が足りず、初期段階のプロジェクト企画や設計などを全て日本(設計)、カナダ(エンジニアリング)、英国(投資および技術)などの外国企業に委ねたためだ。仁川大橋だけでなく、首都圏の「ランドマーク」として建設されているソウルの第2ロッテワールド、仁川空港高速道路とつながる永宗大橋を建設する際も、外国企業から設計図書を購入した。

 先進国と新興国の狭間で限界にぶち当たった韓国産業技術の現状をソウル大工学部の教授が分析し、『蓄積の時間』と題する書籍を出版した。半導体、情報通信、海洋プラント、航空宇宙、ビッグデータなど各分野の教授26人がそれぞれの専門分野で「のど元にナイフを突きつけられている状態」「死にそうになっているのも知らずに沸騰しつつあるお湯の中にいるカエル」といった表現を使い、韓国産業界の危機を警告した。

 教授らが繰り返し指摘した問題は、依然として産業界にまん延する「技術軽視」の風潮だった。玄沢煥(ヒョン・テクファン)教授(化学生物工学)は「韓国企業は先進国で確立されたもの(技術)を持ち込んで使うやり方に慣れており、技術の種をまいて苗を育て、大木に成長させる経験を蓄積できなかった」と説明。「あらゆるプロセスを省略しておきながら、まるで雪岳山で大きく育った松の木をただ手に入れればいいかのように考えている」と批判した。

 また、コ・ヒョンム教授(建設環境工学)は「中国は橋梁の設計業務を担当するエンジニアが20-30年同じ仕事をして経験を積むが、韓国は5-10年ほど経歴を積むとすぐに営業に回り、それ以上経験を蓄積することがない」と、現場の問題に言及した。

 韓国が外国企業に依存している間に、中国は韓国を激しく追い上げ、今や追い越しそうな勢いだ。教授らは「ソウル大では高くてなかなか買えない設備が中国の大学の実験室にはたくさんある」「清華大のキャンパスで授業の終了ベルが鳴ると同時に多くの学生が広い道路を埋め尽くし、別の講義棟に移動する様子を見て畏怖の念を抱き、鳥肌が立った」「中国のハルビン大ではパワーエレクトロニクスを専門とする教授がソウル大の同じ分野の大学院生よりも多い」など、自身の経験を紹介した。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者
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